人材育成の指南書「9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方」のまとめ


[初回公開] 2012年03月02日

4月は人事異動や新入社員が入るなど新しく部下や後輩を迎え入れる人が増える時でもあり、どうやってコミュニケーションを図って仕事を進めていくか悩みどころであるが、人材育成の指南書として役立つ「9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方」から参考になる点とまとめを紹介する。

人材育成の指南書「9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方」のまとめ

1.「9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方」とは

「9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方」とは、東京ディズニーランドがオープンした年に第1期の正社員として入社した著者が各配属先での課題や、アルバイトと社員の仕事に対する考えの持ち方を事例に人材教育の仕組みと仕掛けを紹介するビジネス書である。



部下や後輩への接し方や意識の共通化を図り、布いては社員やアルバイト全員に浸透して会社の雰囲気づくりや士気にもつながることから経営者を始め、部下と後輩をもつ役職者向けの内容である。

2.ディズニーの教え方の要点

ディズニーの教え方の要点としては、人材でも育てることを重視するディズニーが教える側(上司・先輩)がどのような環境とモチベーションにあり、それを教育される側(部下・後輩)に共有されるかがポイントとなっている。

本書を大きく分類すると次の 5 点にまとめられる。

  1. 育てる前に教える側の「足場」を固める
  2. 部下、後輩との信頼関係を築く
  3. 部下、後輩のコミュニケーション能力を高める
  4. 部下、後輩のモチベーションを高める
  5. 部下、後輩の自立心 / 主体性を育てる

3.書籍の販売価格とページ数

本体価格は税抜 1,300 円で全 287 ページで構成され、第一刷発行は2010年11月25日である。

9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方

4.ディズニーの教え方を読んだ感想

「なぜ東京ディズニーランドは、いつも笑顔にあふれ、ピカピカなのか?」から始まる本書はディズニーランド内で働くスタッフの事例を交えながら後輩・部下を育成する指南書となるビジネス書である。

ディズニーランドの広大な面積とともに設置されているアトラクションやショップがある中で、園内で働くほとんどのスタッフの雇用形態がアルバイトであることが本書で語られている。
しかし、その立場に関わらずアルバイトでも社員以上に仕事にモチベーションと責任を持って日々従事していることもわかる。

東日本大震災では東京を中心に大きな地震に見舞われたが、その際にキャストがゲスト(ディズニーランドでは従業員をキャスト、入園する客をゲストと呼ぶ)に安全を最優先に迅速に行動した点がたびたび話題に挙がる。



それは、防災頭巾の代わりにぬいぐるみを配布したり、落下物や倒壊の危険があるところではキャスト自らが演じることでゲストが近寄らないようにするなど的確に対応できたことは自ら考え、何を優先すべきか一人一人に浸透できている証拠である。

本書では会社を運営する中でも人材育成を通して実践すると経営がうまくいくと感じる点として次の 2 つ挙げられる。

4-1.優先度を付けること

経営に良い影響を与える 1 つ目としては、優先度を付けることである。

ディズニーランドでは社員とアルバイトでも立場に関わらず行動する際に優先すべき順番が行動理念として掲げられている。
その順番が Safety(安全)、Courtesy(礼儀正しさ)、Show(ショー)、Efficiency(効率)となっている。

いかなる事象が発生してもスタッフがこの順番に基づいて行動すれば指示系統が無くても皆が同じ方向を向き、統制が取れるというものである。

そのため、前述した東日本大震災でディズニーランドが千葉も強い揺れに見舞われた時も第一優先の「安全性」をスタッフ全体が重視して行動したためゲストへの気配りができたと思われる。

これを本書や本記事を読む人の自社に当てはめて考えてみるとどうだろうか?
仮にあるメーカーやシステム会社で、社員の一人が効率を優先し、違うもう一人が品質を優先して方向性が異なってしまうとどうしても生産物にばらつきが出るだけでなく、社員同士が持っている行動理念に食い違いが出て人間関係を悪くする発端になりかねない。



そこで、社長を始め経営層からその下の役職者へとトップダウンで行動すべき優先度と理由を示すことで業務における伝達ミスや、思い込みからの食い違いを防止することができ、契約先やエンドユーザの信頼につながると考える。

4-2.部下や後輩が見られてると感じること

経営に良い影響を与える 2 つ目としては、部下や後輩が見られてると感じることである。

ここでの「見る」とはサボらずに業務に真面目に取り組んでいるかの監視的な要素もあるが、それ以上に日頃から正しいことを行い、他者の模範となる行動ができているか良い評価ポイントが見られているかである。

そして上司や先輩はその良いポイントを口に出して部下・後輩に伝えることで信頼関係が維持しやすくなる。
お互いの信頼性が築けていると先輩や上司の言っていることに信憑性が増すので、もし間違った言動があっても修正しやすく、ミスで落ち込んでいても心のリカバリを図りやすい。

もしコミュニケーションが無く、お互いの信頼性が築けていない環境下では上司や部下から注意を受けても「自分のことを何も知らないのに」と反発心が起き、言葉に拒絶反応してしまうので業務が円滑に進まなく恐れがある。

以上より、教える側と教えられる側が事例として書かれてはいるが、教える側が会社の社長といった経営層も例外では無く、会社全体を通して良好なコミュニケーションが図れていると指示系統がスムーズになるとともに、気持ちよく働く社員やアルバイトの思いやりがサービスを受ける顧客やユーザにも反映されると感じる。

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