日産セレナの燃費を実走行して調べた結果と形式による違い


[初回公開] 2018年04月20日

セレナ (SERENA)は、日産自動車が製造販売しているミニバンで、2022年以降の現在は 6 代目となる C28 型となり 5 代目で採用された自動運転の「プロパイロット」は全車標準装備となり長距離運転向きになったが、実際に市街地など走行して運転して気付いたポイントと実燃費について紹介する。

日産セレナの燃費を実走行して調べた結果と形式による違い

1.セレナの購入ポイントと買い替え時期

日産のセレナの購入を検討する上でポイントとなるのは、価格はさることながら、内装と走行性能が挙げられる。
特に長距離運転する場合は体への負担や、運転席周りのエアコンや各機能のボタン操作のしやすさは購入に至る抑えておきたいポイントとなる。

日産セレナを運転している様子


また、実際に車を購入していつまで乗れるのかも購入時のポイントとなり、セレナの買い替え時期は走行距離が 10 万 km を超えても乗り続けることができるので購入額が大きくても長い期間で見るとコストパフォーマンスが高いことが挙げられる。

1-1.セレナの購入に向いている人

セレナの購入に向いている人は、家族や友人・知人など複数人を乗せる場合や、長距離移動が多い人に向いている。
助手席と後部座席は十分な広さがあるため、同乗者の疲労度が少ないのがメリットである。

また、軽自動車に比べてハンドルを回すときに必要な力が少なく、走行していてもハンドルが取られることがないので運転手への体への負担も少ない。

1-2.走行距離 10 万 km を超えて出てくるセレナの問題

走行距離 10 万 km を超えたセレナの問題箇所とは、「点火バルブの劣化」や「室内など車全体のガタつき」が挙げられる。
日産の車は「電装系が弱い」「チューブ系が弱い」と昔はよく言われており、、実際にセレナ(C25 型)以前に乗っていた日産車は「パワーウィンドウのモーターが故障して窓が閉まらなくなった」や「クラッチペダルの油圧チューブが破れた」の故障に見舞われた経験がある。

それらに比べると2005年から発売されたセレナの形式「C25 型」を実際に購入して乗り続けたところ、ディーラーや整備工場に預けるほどの故障は発生しなかったものの、走行距離が 10 万 Km を超えたあたりから走行時の振動が目立ったり、低速時にエンストに近い兆候が出てきたりしていた。

最近はどのメーカーの車も走行距離を 10 万 Km を超えても乗り続けられるようになっているものの、消耗品は一定期間や走行距離に応じて交換が必要になる。

特に停車から発進時の低速時にエンストの兆候が出る場合は、消耗品となる点火バルブを交換することで収まる。
これ以外にも総走行距離が 10 万 km を超えるあたりで経年劣化で交換すべき部品がいくつか出てきて出費がかさむのでこの 10 万 km を目安に乗り換えを検討する人が未だに多いのも事実である。

1-3.セレナの買い替え時期

セレナの買い替え時期は、総走行距離が 10 万 km を超えるあたりが交換部品が増えてくるので買い替えの目安となる。
年間 6,000Km 走行する人であれば、4 回目から 5 回目の車検を受ける頃となるが、大きな故障は少ない車なので、必要な部品を交換すれば乗り続けることが可能である。

2.日産のセレナの旧モデルと新モデルの比較

ここからは日産のセレナの旧モデルと新モデルの比較を紹介する。
比較するセレナの形式は C27 型と C25 型である。

日産のセレナの形式「C27 型」はセレナの 5 代目になるモデルで、2016年から2022年に製造販売されたモデルである。
2024年時点の現在は形式「C28 型」となっているが、大きくは C27 型から変わっておらず、ここでは年間販売台数を 90,000 台と一番売れた「C27 型」を実際に購入して気付いたポイントが次の通りである。

2-1.仕様の比較

セレナの C27 型 の仕様概要としては、3 列シートの 3 ナンバー車種であり、C28 型のエアロ仕様でない一部のグレードでは 5 ナンバーになっている。
ガソリン車とガソリンと電気を動力とする e-POWER がラインナップされている。

日産セレナ C27 型の外観


日産は機能がパッケージ化されたグレード「ハイウェイスター」があり、C27 型と C25 型でも提供されており、双方ともにエアロパーツや LED ヘッドランプなどが標準装備されている。

C25 型に搭載されていなかった装備が C27 型では数多く増えているものの、アクセスを離しても走行する「自動運転」や全方向を上から見下ろすように見える「アラウンドビューモニター」などは「セーフティパック」と呼ばれる別途追加するオプションとなっており、ハイウェイスターの標準装備には含まれていない。

セレナ C27 型のハイウェイスターでは主に次の装備が搭載されている。

セレナ C27 型のオプション一覧


  • ハイウェイスター用外装
  • LED ランプ
  • LED フォグランプ
  • ステアリングスイッチ
  • 車両接近通報装置

2-2.外観の比較

セレナ C25 型と比べて C27 型の外観はフロントのフェイスが変わり、特にヘッドランプ部分が 4 つ目になり変化が大きい。
サイドやリアの様子は大きくは変わっていないが、セレナの特徴だった運転席と助手席の窓側にあった曲線と肘置きは撤廃されて直線上になっている。

前後のパンパーにある通気口のような箇所は色塗りされているだけで実際には通気できる口にはなっておらず、あくまでデザインとして存在している。

2-3.内装の比較

セレナ C25 型と比べて C27 型の内装は大きく変わっており、特に C25 型ではサイドミラー付近のピラーが邪魔をして中から外が見えづらい状態であったが、C27 型ではガラス化されて視界が良くなっている。

その他、エアコンやサイドミラーの調整、ワイパーの速度調整など C25 型にあった機能は全てほぼ同じ操作系統で引き継がれているのでセレナから引き続き新しい形式に乗り換えた人にとっては大きく運転で混乱することは少ない。

ただし、シガーソケットは運転席中央ではなく助手席テーブルの上部に配置されているので、シガーソケットから取り回して利用しているカー用品があればケーブルの長さには注意が必要である。

また、昨今のスマホやタブレットなど USB ポートを電源としてして利用する機器が増えていることから、C27 型では USB ポートが各席に付いており、シガーソケットを利用した電源供給は不要となっている。

セレナ C27 型の運転席側のデジタル表示の様子


速度計やガソリン残量を示す各種情報は上図のように全てデジタル表示となり、速度計の左側に位置するサブパネルにはハンドルに搭載されている操作スイッチでエンジン回転数や水温計、エコドライブ走行した履歴、燃費の表示に切り替えることができる。

反面、C25 型では運転席から後部座席へ移動する場合に中央の通路に十分なスペースがあったので車の中での移動が可能だったが、C27 型ではシフトレバーがあるセンターパネルが後部座席に向けて張り出しているため移動スペースが狭くなり後部座席への移動がしづらくなっている。

しかし全体的に C25 型に比べると室内は広くなっており、後部座席の足元の広さは余裕が増している。
運転席から助手席にかけても助手席に置いたカバンに手をのばすのが少ししんどくなるほどゆったりと過ごせるスペースが確保されている。

2-4.走行性能の比較

加速性能は良くないと言われるセレナだが、この面においては C25 型と変わらず C27 型も否定できない。
時速 40 km に達するまでの加速は他の乗用車と変わらないが、高速道路で 80 km 出して追い越す場合の加速は緩やかなため、高速道路で追い越す際は後ろから車が接近していない時を見計らって加速したほうがよい。

しかし、セレナにはスポーツモードが搭載されており、シフトレバーのスイッチがオンの場合は短時間での加速や、急な勾配を登る場合に出力を上げることができる。



スポーツモードにより走行性能を上げることができる反面、エンジンの回転数は常時上がり燃費が悪くなるので市街地など日常的に乗る場合はスポーツモードをオフにした方が燃費は良くなる。

また、C27 型は車高があるのでカーブ時の遠心力は強くなりやすく、半径 100m 前後の山道のカーブを下る場合はカーブ手前でしっかり減速しないと同乗者の体が傾くほどの影響を受ける。

加えて、運転席側のサブパネルに外気温が表示されるようになり、3 ℃以下になると雪の結晶マークが表示されるが、凍結防止の注意を促す以外にエンジンの回転数が高くなる傾向も示している。

春先など気温が 10 ℃以上ある場合は信号待ちの停止状態から加速して 1,500 回転ほどもあれば時速 60Km に達するが、気温が低いと定速運航に入ってもエンジンの回転数が常時 2,000 回転ほど維持されるため燃費も悪くなる。

2-5.追加された装備の比較

C25 型には無く C27 型で追加されたいくつかの装備の中で、自動運転オプションを付けていなくてもアクセルを踏まずに一定速度を保って走行してくれるオートクルーズ機能が付いている。

オートクルーズ機能を使うとエンジンの回転数も一定になるので信号の無い高速道路などでは劇的に燃費が良くなる。

また、「S ハイブリッド」と呼ばわれる補助モーターとバッテリーが搭載されており、信号待ちなど停車時にアイドリングがストップした状態で発車すると一瞬だがガソリンを使わずに補助モーターで走行するため燃費の節約につながっている。

その他、路面凍結時にタイヤが空転したり横滑りしそうな場合にタイヤの制動を整えてくれたり、前走車との急接近時に警告音を鳴らしてブレーキングしてくれるなど安全面でも装備が増えている。

3.セレナで実走行した燃費について

セレナ C27 型の燃費は電気モーター(e-power)を搭載していないガソリン車の場合、パンフレットに記載されている JC08 モードでの計測では 16.6km/ℓ とあり、実際に温かい気候であれば 14 から 15km/ℓ の実績がある。

ただし、エンジンが温まるのに時間がかかったり、燃費が悪くなりやすいスタッドレスタイヤ着用時の寒い時期になると 10.5km/ℓ までに落ちてしまう。

セレナ C27 型の S-HYBRID と e-POWER の燃費比較


しかし C25 型の燃費は 1 年を通して 10km/ℓ ほどだったので年間で見るとガソリンの給油回数とガソリンにかかる総額は C27 型ではかなり減っている。

尚、 C27 型から eco モードというアクセルを踏みすぎても車が自動的にエコドライブに近く制御してくれる機能があるが、燃費計算してみると eco モードはオフにした方が燃費が良くなる結果が出ている。

セレナ C28 型のパンフレット記載の燃費の状態


上図は2024年07月時点の C28 型のパンフレット記載の燃費である。
C28 型から燃費の計測が JC08 モードではなく、WLTC モードの記載となり、計測方法が変わったことで実走行の燃費に近い数値がパンフレットに掲載されるようになった。

JC08 モードは平均速度や最高速度を引き上げて実際の走行パターンに近い数値を算出しているのに対して、WLTC モードは市街地モード、郊外モード、高速道路モードの 3 つを計測して総合的な数値を算出している。

e-power が搭載されていないガソリン車であれば信号などが多い市街地では 10km/L にも満たない燃費だが、e-power 搭載車であれば 21.3km/L と燃費性能が 2 倍になる。

また、エアロパーツや内装装備が増えるハイウェイスターは重量が増える分だけ、燃費が悪くなるが、e-power 搭載車で 19.7km/L と軽自動車並みの燃費があるため、年間を通して給油回数を減らすことができ、コストパフォーマンスを上げることができる。

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