[初回公開] 2017年06月07日
冬のシーズンは太平洋側でも山に近いと積雪するので冬用タイヤ(スタッドレスタイヤ)に交換する地域は少なくないが、少なくとも年に 2 回は冬用タイヤと夏用タイヤの交換が発生し、業者に依頼すると楽で安全だが、自宅で行うと節約になるのでタイヤ交換に必要な器具と交換方法について紹介する。

このページの目次
1.夏用タイヤと冬用タイヤの違い
乗用車を始め、トラックやバスなど車道を走る車のタイヤには主に夏用と冬用の 2 種類が存在する。
夏用タイヤはノーマルタイヤと呼ばれることもあり、雨の日に道路に水が溜まっていても路面とタイヤの間に水膜(ハイドロプレーニング現象)が発生しにくい溝の深さと形状が取られている。
また、熱さに強く、走行しても擦り減りづらい材質になっている。
対して、冬用タイヤはスタッドレスタイヤと呼ばれることもあり、夏用タイヤに比べると材質が柔らかく、表面に細かく溝が彫られている。
この溝が凍結した路面で滑りづらくするとともに、ゴムの柔らかさで路面への接地面積を広くしている。
反面、溝が細かい故に雨の日は水膜が発生しやすく、熱さに弱いので夏場に冬用タイヤを使い続けるとタイヤの消耗が早まるだけでなく、スリップの恐れも出てくる。
2.自宅でタイヤ交換するメリット
自宅でタイヤ交換するメリットとしては、業者にタイヤ交換を依頼する費用が全く掛からなくなる点と、自分の好きな時にタイヤ交換できる点が挙げられる。
2-1.タイヤの交換費用が節約できる
タイヤ交換をガソリンスタンドやディーラーに依頼すると、軽自動車やコンパクトカーで 4 本で 2,500 円ほどかかる。
もし軽自動車でもタイヤの直系が大きい RV タイプや、ワンボックスカーなどタイヤが大きいものになるとさらに費用が上乗せされる。
それに対して、自宅で交換すると費用が全く掛からなくなるので、冬シーズンに向けて夏用タイヤから冬用タイヤへの交換と、反対に春シーズンの冬用タイヤから夏用タイヤへの交換で年 2 回のタイヤ交換費用の約 5,000 円が節約できる。
2-2.好きな時にタイヤ交換できる
タイヤの交換時期、特に天気予報でシーズン初めて雪の予報が出た時はガソリンスタンドやディーラーにタイヤ交換の依頼が殺到するので期を逃すと交換できずに彷徨うことになる。
その点、自宅でタイヤ交換できる器具が揃っている場合は好きな時に交換できるので店舗の混雑を気にすることがない。
また、交換したタイヤを保管する場合に濡れているとカビの発生などでタイヤの劣化が早くなるので、天気の良い日を狙って交換できるメリットもある。
3.自宅でタイヤ交換するために必要な器具
自宅でタイヤ交換するために必要な器具としては、車を持ち上げるジャッキと、タイヤを留めているホイールナットを緩めたり締めたりするレンチの 2 つがあればよい。
どちらも車の購入時にスペアタイヤと一緒に車に搭載されていることが多いが、最近の車はスペアタイヤの代わりにパンク修理剤を搭載することがあるため、別途ジャッキとレンチを購入する必要がある。
3-1.車を持ち上げるフロアジャッキ
車を持ち上げるフロアジャッキは、車の購入時に付いているものは車の下に設置して手回ししてタイヤが浮くまで車を持ち上げる。
このジャッキの手回しが車の持ち上げと下げる時に何回転もする必要があり、時間がかかる。
そこで、上図のように油圧式のフロアジャッキを利用するとジャッキを手回しすることなく簡単な操作で車を持ち上げることができる。
使い方は、車の下にフロアジャッキを設置してレバーを 10 回ほど上下するだけで車が持ち上がる。
反対に車を下げる場合は、油圧の気圧を緩めるだけで瞬時に車が下がってくる。
3-2.タイヤの脱着を容易にするトルクレンチ
タイヤは車体にホイールナットと呼ばれる内側にネジ状のギザギザがある部品で留められている。
これにより、タイヤが走行しても車体から外れるのを防いでくれている。
そのため、タイヤが走行中に外れたり、タイヤが左右にぐらつかないようにホイールナットはレンチできつく締められている。
タイヤ交換時はきつく締められているナットを緩めるとともに、タイヤ装着時はしっかりと締める必要があるので男性でも力が必要となる。
ホイールナットを力を使うことなく簡単に脱着するのに、電動のトルクレンチを利用すると全く疲労しなくなる。
また、ナット 1 つあたりに必要な時間は電動トルクレンチを使うと数秒で終わるので時間短縮にもなる。
3-3.タイヤ交換の速度が上がる延長コード
タイヤ交換で前述の電動トルクレンチを利用する場合、電源の延長コードがあるとタイヤ交換に必要な時間がさらに短縮できる。
例えば家の壁等のコンセントに電動トルクレンチのコードを挿して利用する場合、コードが短いとタイヤに届くように車を移動しなければならない。
そこで、延長コードを数本つなげて長くすれば、車を移動させることなくタイヤ交換することができ、より早くタイヤ交換を終わらせられる。
4.自宅でタイヤ交換する方法
自宅でタイヤ交換する方法は、ジャッキで車を持ち上げ、ホイールナットを外してタイヤ交換する。
交換後は、ホイールナットを締めてから車を下げるといった簡単な工程だが、全て手作業で行うと 4 本のタイヤを交換し終えるのに 1 時間以上かかるので、油圧式のフロアジャッキと電動トルクレンチがあれば疲れることなく 20 分ほどで終了する。
4-1.フロアジャッキで車を持ち上げる
タイヤ交換の最初の工程はまず、フロアジャッキで車を持ち上げる。
ジャッキを車の下にもぐりこませてジャッキを上げる(ジャッキアップ)だけだが、この時に注意点として、ジャッキと車体が触れる場所が決められており、車体の下をのぞき込んで 2 箇所の凹みがある間にジャッキが接するようにする。
この 2 箇所の凹みの場所をジャッキアップポイントと呼ばれ、ジャッキで効率良く車を持ち上げられるとともに、ジャッキによる車の破損を防ぐ目的がある。
4-2.ジャッキの隣にタイヤを置く
フロアジャッキでタイヤが地面から離れるぐらい車を上げた後は、ジャッキの横にまだ装着していないタイヤか、交換済みのタイヤを寝かせて配置する。
これは、もしジャッキが倒れたり、ジャッキアップが不十分で車が下がった場合に体が挟まれないようにする予防策である。
タイヤを配置する際、できるだけタイヤが地面に擦れなくするとより良い。
タイヤの側面はあまり強度がないため、地面と擦れて破損するのを防ぐ。
4-3.トルクレンチでホイールナットを外す
車が持ち上がれば、トルクレンチでホイールナットを外す。
トルクレンチはレバーの操作で右回転か左回転かを選択できるので、レンチをナットにはめて左回転するとナットが緩み外れる。
4-4.タイヤを交換する
ホイールナットを全て外せば、タイヤも車体から外れる状態なので次のシーズンのタイヤに付け替える。
タイヤを付ける際に車体から出ているボルトにタイヤの穴にうまく入らない場合は、ジャッキで少し車を上げると入りやすくなる。
4-5.トルクレンチでホイールナットを付ける
次のシーズンのタイヤを車体に取り付けられれば、ホイールナットをトルクレンチで固定する。
タイヤを外す時とは逆に、トルクレンチは右側に回転させることでナットが締まる。
この時、ナットは対角線上に締めるとタイヤが均一に装着できる。
例えばホイールナットが 4 本ある場合、まず左上にナットを付けて次は対角線上の右下のナットを装着する。
次いで、右上のナットを付けてから最後に左下のナットを締めるとよい。
全てのナットが付け終えれば、念のためトルクレンチで緩まないように数打ずつ締めると安心である。
4-6.フロアジャッキで車を下げる
最後にフロアジャッキを下げて車も下げると 1 本のタイヤ交換が終了となる。
まずはジャッキの横に安全のため置いたタイヤを撤去する。
そして油圧式のフロアジャッキの場合は圧を下げるだけでジャッキが下がるので非常に楽だが、急にジャッキの圧を下げると車も急に下がり危険なので、ゆっくりと圧を下げると車も緩やかに下がって安全である。
5.店舗でタイヤ交換した場合の費用
もし車をジャッキアップできなかったり、自分でタイヤ交換するのに自信が無い場合はディーラーやタイヤ販売店などで有料で交換する方法がある。
この場合、交換したいタイヤを持ち込んで店頭スタッフに交換したい旨を伝えるだけでよい。
交換にかかる費用は店舗によって異なるが、タイヤ専門店であれば 16 インチまでのタイヤは一律 3,500 円で、それ以上のインチは別途費用がかかる。
タイヤ交換の他に空気圧の調整も行ってくれるので交換後は次のシーズンまで安心して乗れるメリットがある。
また、自身でタイヤ交換するとタイヤの摩耗状態を均等にするようにローテートしてくれたり、車が真っすぐ走行するようにタイヤをセンター調整して取り付けてくれるといった専門業者だからできる技術を受けられる点も大きい。
ガソリンスタンドなど自動車整備の工具がある店舗や工場では 2,500 円ほどとタイヤ専門店に比べると安価だが、交換以上のサービスは無いため支払う額でどこまでサービスを求めるか決めておくとよい。
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