[初回公開] 2014年09月26日
携帯電話を買い替える際にこれまで利用してきたスマホ本体は買取に出したりそのまま保管していることが多いが、スマホのカメラとデータを記録する機能を活かしてドライブレコーダーとして再利用する方法について紹介する。
1.古いスマートフォンの再利用例
古いスマートフォンの再利用例としては、「自宅内だけで利用する動画再生機器」や「デジカメの代わり」など携帯キャリアの通信を伴わないものが挙げられる。
利用してきたスマートフォンが不要になる場合は機種を変更するなど新しい機種を購入するのを期に、買取に出して換金したり、自宅にそのまま保管している人が多い。
しかし、10 年前のスマホでも再利用できるシーンがさまざまあり、通話・通信するために携帯業者から提供される SIM カードが無くてもカメラや電卓アプリなどは引き続き利用することができる
主なスマホの再利用例は次の通りである。
- 自宅や公衆 Wi-Fi でのみインターネットやアプリを楽しむ
- デジタルカメラの代わりにする
- 新しい機種が故障したときの予備機として保管する
- まだスマホを持っていない家族や知人に譲渡する
- 買取に出して換金する
- ドライブレコーダーにする
通信を行わないカメラや電卓アプリの他、Word や Excel などファイルを開くアプリも事前にスマホに入れておけば外出先でも利用できる。
そのため日常的に通話や SNS で利用するスマホとは別に、通信を必要としないアプリをインストールした古いスマホも持っておけば、通話など連絡手段として利用しているスマホのバッテリー消費を抑えることができる。
2.ドライブレコーダーを取り巻く環境
ドライブレコーダーを取り巻く環境としては、あおり運転でトラブルに遭遇した際の情報提供、もしくはあおり運転に合わないための抑止としてドライブレコーダーの車への搭載が注目されている。
ドライブレコーダーは事故などで強い衝撃を受けた際にその衝撃より数十秒前からの様子を動画として保存するものである。
そのため、自動車保険や自己の示談で証拠材料として利用することを目的としている。
タクシーやバスなど乗客がいる交通機関では車外だけでなく車内を録画するために搭載されていることも多く、強盗などの事件防止にも活用されている。
また、国道や高速道路を走行してその風景の様子を動画サイトにアップしている人も少なくない。
3.古いスマートフォンをドライブレコーダーにする方法
古いスマートフォンをドライブレコーダーにする方法としては、スマホ以外に車載に必要な製品を準備し、ドラレコアプリを用いて録画する。
ドラレコとして再利用するために必要な準備物から車載して録画するまでの流れは次の通りである。
3-1.古いスマホをドライブレコーダーにするために必要な物を準備する
古いスマホをドライブレコーダーにするために必要な物としては、カメラが内蔵されたスマホを始め次の内容である。
一般的に販売されているドライブレコーダーはカメラ本体の他、車に取り付けるパーツや電源ケーブル類が一式が揃っており、購入すれば取り付けるだけでよいのに対して、スマートフォンを利用する場合はそれらの代替品が必要となる。
- カメラが内蔵されたスマートフォン本体
- ドライブレコーダーアプリ
- 車載用電源ケーブル
- スマートフォンホルダーまたはスタンド
3-1-1.カメラが搭載されたスマートフォン本体
ドライブレコーダー本体の代わりとして一番重要なのがカメラと映像を記録する装置である。
今回はそれをスマートフォンで代用するため、カメラが内蔵された機種が必要となる。
また、利用するカメラは外を録画するため本体の外向きについた高画質のレンズを利用する。
広範囲に撮影する場合は、別途広角レンズを取り付けるとよいが若干画質が悪くなることあるので録画した映像を確認して判断するとよい。
3-1-2.ドライブレコーダーアプリ
次に、走行中の状態を動画として録画するアプリが必要となる。
カメラが内蔵されたスマホであれば標準のカメラアプリがインストールされているため、このアプリで常時録画してもよいが、録画した動画ファイルが録画時間の経過とともにデータサイズが大きくなってしまう欠点がある。
そこで、ドライブレコーダー用のアプリを利用することで一定のファイルサイズで録画した映像を分割してくれるので後で見返す場合に見やすくなる。
また、最近では GPS を利用して録画の映像に合わせて走行した道順も保存してくれるドラレコアプリもある。
ただし、GPS を利用するためには SIM カードや Wi-fi で通信しなければ利用できない場合があるので注意が必要である。
3-1-3.車載用電源ケーブル
スマートフォンをドライブレコーダーとして利用する際に、常時録画状態となりバッテリーの消費が多くなる。
そのため、車のシガーソケットからスマホに電源を供給するために車載用電源ケーブルを用意する。
3-1-4.スマートフォンホルダーまたはスタンド
スマートフォンで車の外を録画するために車のダッシュボード等にスマホ本体を固定するスマホホルダーまたはスタンドが必要となる。
スマホの取り付け位置はダッシュボードが一般的だが、サンバイザーにぶら下げる形で固定するタイプもあるため、車の内装の形状や電源ケーブルの長さに応じて取り付け位置を決めるとよい。
3-2.ドライブレコーダー用のスマホアプリをインストールする
スマホをドラレコの再利用するために準備物が整えば、スマホにドライブレコーダー用のスマホアプリをインストールする。
前述の通りドライブレコーダーとして車外の様子を常時録画するのに、スマートフォンに既にインストールされているカメラアプリで録画する方法があるが、ドライブレコーダー用のスマホアプリを利用する方が録画したデータの管理が非常に楽である。
通常のカメラアプリだと録画中は 1 つのファイルに録画されていくので本体のデータ保存領域(ストレージ)の利用率が上昇するのと、後から見直したい場合に目的の位置を探すのに苦労する。
対してドライブレコーダー用のアプリは録画しているファイルのサイズが一定になると違うファイルに分けられるため後から確認しやすくなる。
また、違うファイルに分けられるタイミングで一番古い録画ファイルを削除するので、スマホ本体のデータ保存領域がいっぱいで録画できなくなるということが無くなる。
3-2-1.ドライブレコーダー用アプリの特徴
ドライブレコーダー用のアプリの特徴は録画ファイルを分割して保存してくれる他、次のような機能がある。
- 強い衝撃を検知すると、前後何秒間ずつ映像を記録する
- 前方の車との車間距離が短くなると警告音を発する
- 停車中に前方のクルマが発進すると音声で通知する
- 走行ルートを地図アプリ上に表示する
- 運転中の車間距離やスピードなどから運転技能を採点する
今回は数あるドライブレコーダー用のアプリの中から AutoBoy を利用する。
3-2-2.ドライブレコーダー用アプリ AutoBoy とは
ドライブレコーダー用アプリの AutoBoy とは、一定のファイルサイズで区切って保存し、自動的に一番古いファイルから録画したファイルを削除してスマホ本体のストレージが一定になるようにしてくれる無料のアプリである。
有償版は広告を非表示にして利用することができるが、無料版は広告が表示される仕様となっている。
また、GPS を利用して録画映像と地図アプリと連携することができる。
走行ルートと録画された地点がどこかを後から地図アプリ上で確認することが可能となっている。
3-3.車内でスマートフォンに電力を供給する環境を作る
次に車内でスマートフォンに電力を供給する環境を作るために、電源ケーブルを利用して車内に配線する。
スマートフォンを利用する問題として上位に挙げられるのがバッテリー切れである。
通話やメールなど集中して使うと 100% だったバッテリーも 1 時間ほどで半分以下になることもあり、特に古いスマートフォンやタブレットにおいてはバッテリーが購入時よりも劣化しているため、さらに電力の消費率が高く、すぐに充電が必要になることが多い。
ドライブレコーダーとして利用すると常時録画状態となり、電源供給も安定して行うほうがよい。
3-3-1.電力供給するのに必要なシガーチャージャーと USB ケーブル
スマホに安定して電力供給するためにはシガーチャージャーと USB ケーブルを利用する。
従来より車内で電力供給するためにシガーソケットが利用されてきたが、最近の車にはシガーソケットの代わりに USB ポートが搭載されていることもあり、車内でスマホなど携帯端末が利用しやすい環境にある。
シガーソケットを利用する場合はシガーチャージャーが必要となり、USB ポートを利用する場合にはスマートフォンまたはタブレットの充電で利用している一般的な USB ケーブルが必要となる。
前者のシガーチャージャーは車内のシガーソケットから電力を得る製品で、カー用品店などで購入することができる。
今回はエレコムが出している、microUSB 端子のケーブルと USB 端子が付いたシガーチャージャー「MPA-CCRMU21BK」を利用する。
シガーチャージャー「MPA-CCRMU21BK」の特徴は次の通りであり、車載充電機として多機能である。
- コードが巻き取り型で未使用時はコードが邪魔にならない
- USB ポートがあるのでもう 1 台充電が可能である
- 充電中は LED が青く発光するので電力供給できているか一目でわかる
また、後者の USB ケーブルはスマホ本体の購入時に付属している充電ケーブルをそのまま利用でき、別途購入する場合は家電量販店で購入することができる。
3-3-2.シガーソケットを利用するシガーチャージャーを選ぶ時の注意点
シガーソケットを利用するシガーチャージャーの製品を選ぶ際に注意点があり、「スマホ側のケーブル端子の形状」と「ケーブルの長さ」の 2 点が挙げられる。
まず「スマホ側のケーブル端子の形状」とは、数年前のスマホやタブレットの充電を行うケーブルの差し込み口は microUSB と呼ばれる端子で、上下の形が違うタイプであった。
最近では USB Type-C と呼ばれる端子の上下の向きを気にすることなく差し込むことができる形状のものが多い。
今回のように古いスマホやタブレットの場合は旧型の microUSB であることが多いのでシガーチャージャーのケーブル先端の形状を購入時によく確認する必要がある。
また、iPhone と Android 端末では端子の形が全く異なるので、利用する端末の OS がどちらかも確認が必要である。
もう 1 点の「ケーブルの長さ」とは、ドライブレコーダーは一般的に前方を録画するので、スマホやタブレットはダッシュボードに取り付けるか、ルームミラーの周辺に吊り下げることになる。
そのため、電力を供給するシガーソケットや USB ポートから端末を設置する場所まで遠い場合も考えられるので充電ケーブルの長さが短いと充電しながら録画ができなくなる。
また、車によってはシガーソケットが床近くにある場合があるので、そこからダッシュボードまでは 1.0m から 1.5m ほどのケーブル長が必要となる。
上記の製品はケーブルの長さが 90cm あるが、設置する関係上、販売されている製品のケーブル長が足らなければ延長ケーブルも家電量販店で購入できる。
3-4.スマートフォンをホルダーに装着する
スマホで車の外を撮影するためにはスマホ本体を車内に取り付ける必要があり、そのためにホルダーやスタンドを利用する。
一般的に売られていているスマートフォンの車載ホルダーやスタンドは手元で操作できるようにエアコンの通風口やドリンクホルダー周辺に設置するものが多い。
ダッシュボードに設置するタイプも増えてきてはいるが、ダッシュボードが平らであることとドライブレコーダー用にカメラ部分が外向きに設置できることが条件となる。
残念ながらダッシュボードに平らな面が無い場合は、市販のスタンド類ではスマホの設置が難しく、仮に接着剤などで無理やり設置しても吸着面に粘着物が残る恐れがあるのでこの手のものは使わないほうがよい。
そこで、車のダッシュボードの形状に合わせてスマホを固定することができるソフトワイヤーを利用すると上図のように自由にスマホを置くことが可能である。
3-4-1.ソフトワイヤーでスマホを固定する
ソフトワイヤーでスマホを固定する場合は、ホームセンターで販売されている製品を利用する。
ソフトワイヤーは 100 円均一の店舗では「ねじり棒」や「ねじねじ棒」という商品名で販売されていることがあり、針金をウレタンで包んだもので自由に変形させて形状を作ることができる。
また、ホームセンターにも類似のものがあり、金具のコーナーに NITE-IZE(ナイトアイズ)の GEARTIE という針金の回りをゴムで覆った製品がある。
上図の GEARTIE は全長が一番長く、ワイヤーの直径も大きいためスマホ本体をしっかり固定することができる。
販売価格は 1,000 円弱 で他には 3 種類あり、ワイヤーの両端にもゴム状の滑り止めが付いているので設置しても滑ることがない。
ソフトワイヤーを使えば、ダッシュボードが湾曲していても載せることができ、接着しないので脱着も簡単で後も残らない。
問題点としては、写真の形態だとブレーキ時は前のめりになるので落ちないが、カーブを曲がる際と急な発進時にはスマートフォンが安定せずダッシュボードから落ちやすい。
また、しっかり固定できていないので道路の凹凸やエンジン回転による振動がダッシュボードを伝ってくるので撮影した動画は細かくブレる欠点がある。
4.スマートフォンで撮影したドライブ映像の様子
上記の内容で実際にスマートフォンで撮影した走行映像の様子が次の動画である。
映像は岡山県から香川県に架かる瀬戸大橋を通過した際の様子である。
スマートフォンはソフトワイヤーで載せているだけの状態であるためエンジンや道の凹凸による振動が多いものの、大きく振動していないのがわかる。
録画時に手ぶれ機能があるスマホであればさらに振動を抑えて録画することが可能である。
4-1.古いスマートフォンをドライブレコーダーにする問題点
古いスマートフォンをドライブレコーダーにする問題点としては、スマホ本体の熱の問題である。
今回撮影したのは 5 月初旬で日差しがやや強い日ということが関係してか充電しながらダッシュボードに置いて録画するとスマートフォン自体にかなりの熱を持ってしまい Android の OS が高温検知で強制終了する事象が発生した。
通常の録画状態を続けるだけでもスマホ本体は熱を持ちやすいが、常時充電によるバッテリーの温度上昇と外からの日差しを受けてさらに温度が上がったためと考えられる。
対策案としてはスマートフォンに日よけを付けるか、常時電源供給を止めてバッテリーでの利用が考えられる。
4-2.古いスマートフォンをドライブレコーダーに再利用した考察
古いスマートフォンをドライブレコーダーに再利用した考察としては、十分にドライブレコーダーとして再利用できると考える。
昨今のあおり運転のトラブルや事件の問題があり、より省バッテリーで高機能なドライブレコーダー向けアプリが多く出てきており、スマートフォンのカメラの性能も格段に上がっているので正規製品として販売されているドライブレコーダーの代用として十分活用できる。
もちろん正規のドライブレコーダーを車に搭載する方がバッテリーの問題や撮影される視覚範囲など適している面は多い。
その反面、ドライブレコーダー設置後は放置しやすくなるため、録画保存するための microSD カードが破損していて録画できていなかったり、カメラが故障しているのに気が付かずに乗り続けているという問題もある。
その点、スマートフォンをドライブレコーダーとして利用することで乗車時に必ず録画の状態を確認できるので常に電源が入っていること、容量不足かどうかも画面操作でわかり録画できていない状態を避けられるメリットがある。
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