[初回公開] 2021年06月13日
進学や進級を期に子供にスマホやタブレットの利用を許可する保護者が増えるとともに、スマホを利用した詐欺や誘惑などに晒される危険性も高まるため、安全に利用できるように私自身がこれまで長年セキュリティ対策と運用教育の経験から基づいた、スマホと上手に付き合うための確認事項と約束事について紹介する。
このページの目次
1.便利になる反面、危険に晒されるスマホデビュー
親が子供にスマートフォンを持たせるきっかけの多くは「周りの友達が持っているから」や「学校や塾の送迎で連絡するため」と子供の環境が変わることが挙げられる。
特に中学校や高校に進学する前の時期に集中することが多く、交友関係を広げたり、日常生活する上で欠かせないスマートフォンだが、未成年が被害に遭う事件やトラブルといったリスクも増えることから日頃の利用方法や、詐欺や勧誘があることも子供に認識してもらう必要がある。
2.スマホを利用する上で確認しておく 7 つのセキュリティ項目
スマホを利用しているとさまざまな問題に遭遇するが、その中でも「情報漏洩防止」と「被害に遭わない」そして「加害者にならない」ことを重点に次の 7 つのセキュリティ項目について親子で会話して認識してほしい。
2-1.ウェブサイトのフィルタリング機能を設定する
ウェブサイトのフィルタリング機能とは、特定のウェブサイトを表示できないようにする仕組みである。
スマホもパソコンと同じく、コンピュータウィルスの感染によりスマホ内の個人情報が漏洩したり、遠隔操作で知らない内に悪用されることがあり、その感染源の多くが悪質なウェブサイトからが多い。
うっかり悪質はウェブサイトを表示しようとしてもフィルタリング機能が働けば通信を遮断するので感染のリスクが大幅に減る。
フィルタリング機能はウィルスを検知できるセキュリティソフトをインストールしている場合や、各携帯電話会社が提供するサービスのオプションを契約することで利用が可能である。
また、問題があるウェブサイトには犯罪やトラブルの温床となっている掲示板サイトであったり、個人情報やクレジット番号を不正に入手しようとするフィッシングサイトが主に挙げられる。
フィルタリング機能を利用しているとメーカーや自治体など公式的に運営されているウェブサイトしか表示されないため、利用者は健全的に利用できるといえる。
反面、インターネットを利用した学習や技術情報などを検索した情報を得たい場合でも、サイトに掲載されている情報が正確で健全であってもブロックされることがある。
それにより学習機会を損なうデメリットもあるので、子供がアクセスしているウェブサイトを保護者がある程度把握できる環境下であればフィルタリング機能を利用しない方が良い面もある。
2-2.スマホの画面をパスワード付きでロックする
スマホやタブレットは友人・知人とすぐに連絡を取り合うことができたり、カメラで撮影した写真を現像しなくても端末内で楽むことができる。
反面、顔や住居周辺が映るなど個人情報に直結するデータを取り扱うことから、スマホを紛失して第三者にスマホの中を見られると悪用される可能性が出てくる。
そこで、紛失しても個人情報が漏れないように、待ち受けロックを設定することで第三者がスマホを自由操作できないようにしておくと安全である。
ロックの解除にはパスワードや指紋認証で解除できるようにするようにしておくのが一般的だが、小さな子供の場合はパスワード管理が不十分なため、ロックの設定に入力したパスワードは保護者が管理しておくのが好ましい。
また、スマホ本体だけでなく SNS やゲームなどオンラインアカウントの登録が必須のアプリが多く、Android であれば Google アカウント、iPhone であれば Apple アカウントのログインユーザ名とパスワードもメモして保管しておくことで、機種変更しても引き続き利用できるようになる。
もしスマホ本体を紛失したり盗難されても、どこにあるかを位置情報で追跡するサービスが各携帯電話会社で用意されている。
その位置追跡サービスを利用するためには待ち受け画面をロックする設定にしておく必要があるため、画面はロックして、利用時は都度ロックを解除する習慣を身につけておくとよい。
2-3.ウィルス検知の表記が出ても無視する
インターネットの初心者がよく遭遇して引っかかりやすい詐欺の一つに、ウェブサイトを開いた画面に「ウィルスを検知しました、下記の電話番号に連絡してください。」といった表示が出て慌てて電話してしまい、電話口の誘導により電子マネーを購入させたり、現金を振り込みさせて詐欺に合うケースである。
この手のウィルス検知の表示のほとんどが詐欺なので、もし表示されても無視して画面を閉じるように対応する。
パソコンでウィンドウの×マークで閉じられない場合は、キーボードの Ctrl + Alt + Del を同時に押して表示される「タスクマネージャー」でブラウザを終了させるか、パソコンをシャットダウンする対応を取る。
同じくスマホでもブラウザアプリを閉じたり、スマホ本体を再起動することでリスクを回避することができる。
もしウィルス検知ソフトなどセキュリティソフトがインストールされていれば、本当にウィルスを検知してもソフトウェアが自動的にウィルスの除去を行い感染を防いでくれるので、何等かの表示がでても無視する対応でよい。
また、「IP アドレス ***.***.***.*** を検出しました。」や「あなたのお住まいは○○市です。」と表示するケースがある。
自分の個人情報が漏れたとパニックになるかもしれない。
一般的にインターネットを利用していれば IP アドレスと利用している市町村程度であれば取得できる情報で、そこからさらに個人情報につながる氏名や住所、勤務先や学校名までは盗み取ることは難しいので安心してよい。
2-4.見知らぬ電話番号から着信があっても無視する
スマホを利用していると、見知らぬ電話番号から 1 コールだけして着信を残すケースがたびたびある。
これは電話番号が計 11 桁の数字を悪用したもので、0 から 9 まで順番に番号を変えて電話していけば誰かに着信する仕組みであるがゆえ、着信を残して折り返し電話をしてきた人をターゲットに詐欺や勧誘に引き込む事案がある。
基本的に見知らぬ電話番号が着信履歴にある場合はすぐに電話するのではなく、一度その電話番号を検索してどこかの会社か、それとも店舗なのかを調べる習慣をつけるようにしておきたい。
もし着信履歴の電話番号が 0120 から始まる場合はフリーダイヤルとなり、営業の電話であることが多いので無視しておいてよい。
03 や 06 など地域を示す数値で始まる電話番号であれば会社や店舗であることが多いが、明らかに自分が住んでいる地域より離れている地域からの電話であれば間違い電話の可能性もあるので無視してよい。
また、090 や 070 などで始まる携帯の電話番号である場合は個人であることが多いが、こちらから電話をかけるのではなく、改めて電話がかかってくるまで様子を見るようにしておきたい。
本当に用がある人なら後ほど改めて電話することが多いので、連絡を待つのがよい。
2-5.メッセージが来ても無視する
携帯の電話番号は通話時に利用するだけでなく、文字を使ったメッセージ、いわゆる SMS(ショートメッセージ)で連絡を取り合うこともでき、前述した通り電話番号は 0 から 9 までを順番に番号を変えてメッセージを送っていけば誰かに届く仕組みになっている。
メッセージも見知らぬ番号から届いている場合は返答せずに次に返答が来るのを待つようにしたほうがよい。
また、最近では下図のように配達の不在通知を装って個人情報を盗むフィッシングサイトに誘導するメッセージが届くことがある。
配達業者は有名な企業名を語ってはいるが、本文中の URL はその企業のものではないので、注視する必要がある。
この場合はメッセージ内の URL は押さないよう習慣付けておいたほうがよい。
2-6.間違いを装ったメールが来ても無視する
各携帯電話会社が提供する @docomo.ne.jp や @au.com といったメールアドレスは、送信すると同時に受け取った本人の端末にリアルタイムに通知されるので利便性が非常に高い。
しかし確実に届く点を利用してフィッシングサイトへの誘導や言葉巧みに親交を深めて実際に出会うなど犯罪に巻き込まれるパターンも多い。
メールを介したトラブルを防ぐには、各携帯電話会社のメール設定画面から受信を許可したいメールアドレスのみを設定するなど全てのメールを受け取らないようにすることで身を守ることができる。
また、メールアドレスの @ の前の文字列を長く、そして英数字を混ぜた複雑なものにすると送信する側は手当たり次第にメールを送りづらくなるためメールの受信設定をせずとも不要なメールを受け取りづらくすることができる。
2-7.送信した内容は消せないことを認識する
子供がスマホを利用し始めるきっかけは友達や先生と連絡を取るために Twitter や LINE など SNS を使いたい場合が多い。
最近では悪ふざけで撮影した動画が拡散して企業から何億円にもなる損害賠償請求に発展する事件も少なくなく、当事者の将来も台無しになってしまう。
もしアップロードして問題が発覚しても、動画や写真はすぐにコピーして拡散することが可能なので当事者が削除しても拡散を止めることはほぼ不可能である。
そのため送信したデータは取り消したり削除することができないことを認識し、送信する前に今一度、その内容で相手が傷ついたり、自分の立場が危うくなったりしないかを考えるくせをつけさせるとよい。
送った内容がさらに不特定多数に拡散させられると見知らぬ人から誹謗中傷されたり、身の危険にも及ぶので自身からの発信には気を付けておきたい。
また、友人と一緒に旅行に行ったり遊んでいる写真など事件性が無い内容でもアップロードには細心の注意が必要である。
たとえば被写体の回りのガラスや鏡や網膜からも周辺状況を把握できる情報を得ることが可能で、居住地が判明して付きまとい被害に遭うケースもある。
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