[初回公開] 2021年01月26日
SMS(ショートメッセージ)は電話番号しか知らない相手にメッセージを送れたり、アプリの認証や本人確認で利用される便利なツールである反面、これを逆手に金銭を要求するトラブルが多発しているため、SMS を使った詐欺の実情と身を守る方法について紹介する。
このページの目次
1.SMS とは
SMS(Short Message Service)とはショートメールサービス、またはショートメッセージサービスと呼ばれ、各携帯電話会社が所有する通話回線を利用したメールサービスである。
一般的な電子メールはインターネット回線を利用してメッセージが送信されるのに対して、SMS は音声通話で利用する電話回線が用いられている。
そのため、電子メールの受信者はメールボックスにメールがあるか不定期に行うのでメールに気付かないことがあるが、SMS は電波圏内であればリアルタイムに通知される。
また、送信先は携帯電話番号を使うため、差出人も自身の携帯電話番号が相手に通知される。
反面、電子メールと比較してデメリットもあり、SMS で扱える文字数に制限があるため長文では送ることができず、添付ファイルを付けることもできない。
加えて、メールでありながら通話と同じ扱いとなるため、1 通あたりの送信料金は電子メールより高額となる。
複数宛先への一斉送信はできないが、携帯電話番号のみで送信できることから手当たり次第に携帯電話番号宛てに SMS を送りつけるスミッシングと呼ばれる詐欺が横行している。
2.スミッシングとは
スミッシング(Simishing または SMS phising)とは SMS を利用したフィッシング詐欺のことで、本文に電話番号や URL を記載して SMS を送り付けて金銭や電子マネーを要求する事案が発生している。
インターネットを利用した電子メールと違い、差出人が電話番号となるため詐欺かどうかの見分けがつかず、本文を鵜呑みにする人が後を絶たない現状である。
3.SMS で届いた詐欺(スミッシング)メールの様子
SMS で届いたスミッシングメールでよく挙げられるのが「料金未納」、「不在連絡」、「出会い系」、そして「現金など当選」といった内容である。
特に「料金未納」と「不在連絡」は身に覚えがあると誤認しやすいので、次の実際に SMS で届いた内容を参考に注意してほしい。
3-1.未納に関する詐欺メールの内容
未納に関する詐欺メールの内容は、下図のように電話番号やメールアドレスを記載して連絡を待つタイプが多い。
この手の詐欺は「至急」や「裁判所」といった SMS の受信者に不安を煽る内容で電話を掛けさせて、未納となっている金額または遅延金を指定する口座に入金させたり、電子マネーのシリアルコードを連絡させる詐欺である。
もし利用しているサービスで未納がある場合は、郵送による文書通知、または実在するコールセンターから電話が掛かってくるのでこの手のメールは無視してよい。
3-2.配達の不在を装う詐欺メールの内容
配達の不在を装う詐欺メールの内容は、下図のように実在する配達業者名を利用して URL を記載するタイプが多い。
この URL をよく見ると配達業者のドメインになっていないのが確認できる。
URL をクリックすると実在する配達業者のサイトを真似て氏名や住所などを入力させる画面が表示し、個人情報を不当に収集する詐欺である。
配達の不在通知は自宅のポストに不在票が入れられるか、最近では専用のアプリで確認できることから、配送員から SMS で連絡することはないのでこの手のメールは無視してよい。
3-3.出会い系の詐欺メールの内容
出会い系の詐欺メールの内容は、下図のようにウェブサイトに誘導する URL が記載された内容となっている。
URL をクリックすると会員登録する画面が表示されるが、実際に会員登録しても出会えることはほぼ無い。
出会い系サイトは昔からある詐欺の手法で、実際に会えることはなく、画面越しの相手はアルバイトの男性であったり、最近ではシステム化された AI プログラムである。
手元に届いた場合は無視するのでよい。
3-4.当選の詐欺メールの内容
当選の詐欺メールの内容は、下図のように応募したことがないサイトや運営団体から現金や現物が無料で獲得できる旨の内容で送信されてくる。
SMS の本文内にある URL をクリックすると「ウィルスに感染しました」や「会員登録されたました」といった画面が表示され、解決するために金銭を要求する詐欺も存在する。
「ウィルスに感染しました」という画面は素人でも作成でき、実際にはウィルスに感染していないことが多いため、その画面が表示されても無視または閉じる対応でよい。
また、「会員登録されました」と表示して会員登録と同時に課金が発生したように思わせる画面が表示されることもあるが、それも無視または画面を閉じる対応でよい。
4.SMS を使った詐欺から身を守る方法
SMS を利用した詐欺(スミッシング)から身を守る方法は「無視する」または「SMS を削除する」とし、こちらから連絡することなく相手にしないことである。
本当に未納がある場合は SMS ではなく電子メールや登録している住所に郵送で文書通知で行われることが多く、仮にうっかり長期に渡り未納が続いて裁判所から通知されたとしても基本的に書類の郵送のため SMS で来ることはない。
また、配達の不在通知においても自宅の郵便ポストなどに紙で不在通知を入れるのが基本となっており、もし不在通知を紛失しても再配達をしてくれるので SMS で連絡されることはないので、SMS での連絡は無視する対応でよい。
5.迷惑な SMS を拒否する機能
携帯電話を利用する以上、SMS が届くのは避けられないが、昨今の SMS を利用した詐欺の増加から携帯電話会社のドコモとソフトバンクは SMS の受信拒否を設定する機能を 2022 年春からリリースしている。
機能としては SMS に不正なアプリのダウンロードやフィッシングサイトに誘導する URL があれば SMS の受信を拒否したり、特定の相手からのみ SMS を受け取るといった次の機能が用意されている。
- 危険と判断された SMS を拒否する
- 非通知の SMS を拒否する
- 国内の他の携帯電話事業者から送信された SMS を拒否する
- 海外事業者から送信された SMS を拒否する
- 指定した番号からの SMS を拒否する
SMS の拒否機能に際しては申し込みや利用開始の手続きは不要で、使用料は無料となっている。
また、自ら設定せずとも発信者の電話番号が詐欺に加担しているものであれば AI で自動判別してブロックする機能も検討されている。
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