[初回公開] 2020年05月20日
法人でも個人でもインターネット上にショッピングサイト(EC サイト)が手軽に公開できるように無料で利用できるさまざまなオープンソースが配布されている中、国内でよく利用されている EC-CUBE の最新版となるバージョン 4 のインストール方法を紹介する。
このページの目次
1.EC サイトとは
EC(Electronic Commerce)とは電子商取引のことを差し、主にインターネット上で商品や製品の受発注が成立することである。
インターネット上に公開されているショッピングサイトを EC サイトと呼び、商品を購入して決済する機能が備わっている。
簡単な EC サイトであれば商品の一覧と商品の詳細を紹介する画面を設け、注文のデータがサイト管理者に送信するだけのものもある。
その場合、注文を受けた管理者はメールや電話で発注者に連絡して商品の受け渡しと支払い方法について調整を行う。
高機能な EC サイトになると商品の紹介と注文の機能の他、クレジットカードを利用してオンライン決済してサイト管理者と購入者の手間を減らすことができる。
2.EC-CUBE とは
EC-CUBE とは株式会社イーシーキューブが開発している EC サイトのプログラムである。
オープンソースであるため、利用規約に沿えば無償で利用することができる。
EC-CUBE はサーバにインストールすることでパソコンやスマートフォンのブラウザから商品を登録したり、発送待ちや過去の受注内容の閲覧を行うことができる。
また、配送業者と支払い先の登録など店舗運営する上で必要な機能が一通り揃っているため、プログラムができない担当者でも EC サイトを簡単に開設することができる。
さらに自身で拡張したり、有料のオプションを購入することでクレジット決済への対応や、納品書をカスタマイズするなど各社のルールに基づいた EC サイト構築が可能である。
3.EC-CUBE4 をインストールする方法
EC-CUBE のインストール方法はバージョンが違っても大きく手順が異なることはなく、最新版となるバージョン 4 のインストールの方法は次の通りである。
3-1.EC-CUBE をダウンロードする
EC-CUBE のプログラムは公式サイトよりダウンロードする。
ダウンロードするためには公式サイトで無料の会員登録を行う必要があるが、会員登録することで EC-CUBE の本体プログラムの入手だけでなく各種プラグインもダウンロード可能となる。
ダウンロードしたファイルは圧縮されており、ダウンロード時には .tar.gz か .zip のどちらかを選択できる。
EC-CUBE をインストールするサーバに管理者として操作できる場合は .tar.gz を選択するとアップロードにかかる時間が短縮される。
対して管理者権限が無いレンタルサーバ(ホスティング)を利用する場合は .zip を選択する。
3-2.圧縮ファイルを解凍する
次にダウンロードした EC-CUBE の圧縮ファイルを解凍する。
解凍すると下図のようにフォルダやファイルが展開される。
3-3.EC-CUBE をアップロードする
解凍して展開されたフォルダやファイル類は EC-CUBE をインストールするサーバにアップロードを行い。
アップロードはサーバの公開ディレクトリに FTP または SFTP といったファイルの転送機能を持つソフトウェアで全てのファイルをアップロードする。
3-4.パーミッションを変更する
アップロードしたフォルダやファイルにプログラムが読み書きできるようにパーミッションと呼ばれる権限を付与する必要がある。
アップロードで利用した FTP または SFTP のソフトウェアで次のように権限を与える。
- 読み取り、書き込み 707(rwx—rwx)
- EC-CUBE があるディレクトリ
- app/
- app/Plugin/
- app/PluginData/
- app/proxy/
- app/template/
- html/
- var/
- vendor/
- 読み取り 705(rwx—r-x)
- その他のディレクトリ
- 読み取り、書き込み 606(rw—-rw-)
- composer.json
- composer.lock
- 読み取り 604(rw—-r–)
- その他のファイル
- 店舗情報(会社名、連絡先等)
- 表品情報(商品画像、商品説明、販売価格)
- 配送情報(配送業者、送料)
- 支払情報(決裁手段)
- pgsql / mysqli (利用するデータベースに合わせること)
- pdo_pgsql / pdo_mysql / pdo_sqlite (利用するデータベースに合わせること)
- pdo
- phar
- mbstring
- zlib
- ctype
- session
- JSON
- xml
- libxml
- OpenSSL
- zip
- cURL
- fileinfo
- intl
3-5.データベースを作成する
EC-CUBE は商品情報や購入情報をデータベース(データを保管する器)に保存するため、インストール前にサーバにデータベースを作成する。
レンタルサーバ(ホスティング)であれば提供されている管理画面からデータベースの作成を行い、コマンド操作できるのであればコマンドでデータベースを作成する。
管理画面でもコマンドでも作成したデータベースの名称と、そのデータベースにアクセスするユーザ名とパスワードは後ほど必要になるためメモしておく。
3-6.ブラウザでアクセスする
ファイルのアップロードとデータベースの作成が終われば、ブラウザで EC-CUBE にアクセスする。
ダウンロードした EC-CUBE のバージョンが 4.0.3 で解凍したフォルダのままサーバにアップロードした場合は EC-CUBE の URL は次のようになる。
また、SSL による通信が可能であれば、http の箇所は https となる。
http://{設置したサーバの IP またはドメイン}/eccube-4.0.3/
ブラウザでアクセスして下図のようなインストール画面が表示されればボタン「次へ進む」をクリックする。
3-7.書き込み権限をチェックする
最初のインストール画面でボタン「次へ進む」をクリックすると、事前に設定したパーミッション(読み込み、書き込みの設定)が正しく行われているかチェック動作が行われる。
もしここでパーミッションの設定に不足があれば該当箇所が表示されるので再度 FTP ソフトなどを利用してパーミッションの設定を行う。
パーミッションのエラーの下図が多い場合は、個々にパーミッションを変えるのではなく、ファイルの所有権を Web サーバのものに変更すると解決する場合がある。
3-8.EC サイトの設定をする
次に EC サイトの設定としてインターネット上に公開する店舗名や管理画面にログインするためのユーザ名とパスワード、そして商品が購入された時などに通知する連絡先(メールアドレス)を登録する。
3-9.データベースを設定する
次に商品情報などを保持するデータベースへの接続情報を設定する。
インストール中にデータベースに接続できない場合はエラーが表示されるため、改めて接続情報を確認して再接続を行う。
3-10.データベースを初期化する
データベースの接続が問題無く終えれば、必要な初期データをデータベースに自動的に登録するためボタン「次へ進む」をクリックする。
3-11.EC-CUBE のインストール完了
データベースへ初期登録が終了すれば下図のようなインストール完了の画面が表示される。
この完了画面の表示と同時にインターネット上にも EC サイトとして EC-CUBE の初期状態で公開されているため、速やかに店舗情報の書き換えを管理画面から行う必要がある。
4.EC-CUBE のインストール完了後に行うこと
EC-CUBE のインストールを終えた後はは店舗情報を始め、次の項目を管理画面から行う。
5.EC-CUBE のインストール画面が表示されない場合の対応方法
ブラウザで EC-CUBE のインストール画面が表示されない場合は次の 2 つの点を確認する。
特にレンタルサーバ(ホスティング)ではデータベースが利用できなかったり、プログラム(PHP)の動作に必要なライブラリが不足している場合がある。
この場合は EC-CUBE が利用できないので EC-CUBE の推奨環境を満たすサーバに変える必要がある。
(1) PHP が動作するか確認する
EC-CUBE のプログラムをアップロードしたサーバで PHP の他のプログラムが正常動作するか確認する。
よく確認に利用されるのが PHP ファイルに phpinfo() のみを記載したファイルを設置し、PHP のシステム情報を表示させる手法である。
もしシステム情報が表示されない、または画面が真っ白な場合は PHP が正常に動作していないため Web サーバ(apache 等)が PHP のモジュール(libphp7.so 等)を正常に読み込まれているか確認したり、Web サーバのエラーログから原因を調査する。
(2) 必要な PHP ライブラリがインストールされているか確認する。
EC-CUBE が正常に動作するためには PHP だけでなく次の PHP ライブラリも必要になるため、サーバにインストールされているか確認が必要である。
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