ノートパソコンの電源をコンセントから抜くと落ちる場合の調査と対応方法


[初回公開] 2022年03月03日

ノートパソコンはバッテリー駆動のため据え置き型のデスクトップパソコンと違い常にコンセントから電力の供給を受けていなくても利用することができるが、バッテリー駆動時に急にパソコンが落ちたり、コンセントを抜いただけで落ちる場合の調査方法と対応方法について紹介する。

ノートパソコンの電源をコンセントから抜くと落ちる場合の調査と対応方法

1.ノートパソコンが急に落ちる状態とは

ノートパソコンが急に落ちる状態とは、ノートパソコンにコンセントから電力が供給されているときとバッテリー駆動に関わらず OS が起動した状態でも何の前触れも無くシャットダウンすることを指す。

ノートパソコンが急に落ちる状態とは


通常のシャットダウンであれば OS が電源がオフになってもデータの破損が無いように順次サービスを停止していくが、今回指す事象は電源を長押しして電力を絶つように強制シャットダウンした時と同じ状況となる。

そのため、次にパソコンを起動すると正常にシャットダウン処理されなかったことによるディスクチェックが動いたり、セーフモードで起動する場合がある。

2.ノートパソコンが急に落ちる原因

ノートパソコンが急に落ちてシャットダウン状態になる原因としては、主にバッテリーまたは電源回りの不具合が多い。
稀に OS の処理異常や冷却ファンの故障で CPU が高温になりパソコンが落ちることがあるが、今回は電源回りに焦点を置いて解説する。

3.電源回りの異常を調査する方法

電源回りの異常を調査する方法としては、ノートパソコンの「バッテリーの異常」と「電源ケーブルの破損」の 2 点に分けて確認を行う。
その上でバッテリーに異常があった場合は Windows のチェックコマンドで状態を確認する。

3-1.電源ケーブルを抜いて状態を確認

まずはノートパソコンに接続されている電源ケーブルをパソコンから抜いた時の状態を確認する。
ケーブルを抜いてすぐに落ちる場合は確実にバッテリーに問題があり、バッテリーの故障か経年劣化によりバッテリーが充電できない状態にある。

3-2.電源ケーブルを触診して状態を確認

コンセントを抜いてもパソコンが落ちないのを確認した次は、ノートパソコンに電源ケーブルを接続した状態で、ケーブルの端から上下左右に軽く曲げながら、ディスプレイ右下の電源アイコンに変化があるか確認する。

ノートパソコンはコンセントから電力が常に供給されている場合とバッテリー駆動の時でアイコンが変わるため、ケーブルを触診している時にアイコンに変化があるとケーブル内が断線していることがわかる。

電源ケーブルに問題があるとバッテリーが充電するのに必要な電力が届かず、そのままパソコンを利用しているとバッテリーが空の状態となりパソコンが落ちる。

この場合は電源ケーブルに原因があるため、電源ケーブルを買い替えるか、暫定対応ではあるが断線部分が通電するように折り曲げて固定する。

3-3.バッテリーの劣化を確認

最後に、バッテリーだけでもパソコンが動作し、電源ケーブルにも問題が無ければバッテリーの劣化状態を確認する。
バッテリーがフル充電の状態でも長年利用していると蓄電能力が衰えて短時間で電力を消費して OS が電力不足によりシャットダウンの準備やスリープモードに入る前に落ちてしまう。

バッテリーの劣化状態を調査するために、ディスプレイ左下の Windows マークから「Windows システムツール -> コマンドプロンプト」を選択するか、「ファイル名を指定して実行」から『cmd』と入力してコマンドプロンプトを起動する。

コマンドプロンプトが起動すれば、下記のように「powercfg /energy」と入力して実行する。

powercfg /energy

「powercfg /energy」と入力して実行

この時、「このコマンドには、管理者権限が必要です。管理者特権でのコマンドプロンプトで実行する必要があります。」と表示されるようであれば、コマンドプロンプトの右上の×マークを押して終了し、再度コマンドプロンプトを起動する。

「管理者権限が必要です」が表示される

起動時は、コマンドプロンプトのアイコンをクリックするのではなく、一度右クリックしてメニューを開き、「管理者として実行」を選択するとよい。

管理者権限で起動する

バッテリーチェックコマンドを動作させてチェックが終了すると下図のように問題の件数等と、レポートファイルの場所が表示される。

バッテリーチェックコマンドの結果


レポートファイルは C ドライブの C:\Windows\system32\energy-report.html のファイル名で保存され、このファイルをダブルクリックすると自動的にブラウザが起動して内容を確認することができる。

energy-report.html のレポートファイルを開いた様子が下図である。

レポートファイルを開いた様子

レポートファイルはバッテリーの状態以外に CPU の状態など数多くの結果が記載されている。
その中で見るべき場所は「バッテリ:バッテリ情報」の『容量の設計』と『前回の完全充電』である。

レポートファイルのバッテリーの状態

『容量の設計』はバッテリーが蓄電できる最大量で、『前回の完全充電』は充電した時に蓄電されている量を示す。
上図であれば容量に対して完全に充電した量が足りていないので、その分、劣化していることがわかる。

この容量と充電量に差が多いほどバッテリー駆動時間が短いことになる。

4.ノートパソコンが急に落ちるのを防ぐ方法

ノートパソコンが急に落ちるのがバッテリーに原因がある場合、それを防ぐ方法としては「バッテリーの交換」と「ドライバの更新」の 2 点が挙げられる。

4-1.バッテリーを交換する

バッテリーが劣化している場合は新しいバッテリーに交換するのが最も最適な方法である。
ただ、バッテリー単体での注文でも数万円以上することがあり、高額な出費は避けられない。

また、ノートパソコンの製造年から月日が経つほど在庫がなくなり、入手困難になる可能性もある。
入手困難な場合はオークションサイトなどから同型の中古パソコンを購入する手段があるが、同じく劣化している可能性があるのであまりお勧めしない。

4-3.ドライバを更新する

Windows 7 から 10 にするなど OS をアップグレードするとその中で動作するソフトウェアやディスプレイやバッテリーを制御するドライバも更新する必要がある。
もし古いドライバのままだと性能を活かしきれないか、最悪動作しないことがあるので利用している OS のバージョンに適合したドライバに更新すると改善することがある。

尚、実体験として前述の通りバッテリーの劣化はそれほど見られないものの、ノートパソコンから電源ケーブルを抜くと前触れなくパソコンが落ちる事象に見舞われたことがある。

そのため、ノートパソコンにも拘わらず常に電源ケーブルを差しながらの利用となっているが、このノートパソコンを購入した時の OS が Windows Vista で、その後 Windows 7、そして 10 にアップグレードしたものの対応するドライバが無くバッテリー駆動に切り替わらなかったのが原因と思われる。

関連記事

コメントを残す