HDD と SSD の速度の比較とベンチマークテストの方法


[初回公開] 2020年01月22日

パソコンのストレージを HDD(ハードディスク)から SSD にすることでパソコン起動時や Windows アップデートにかかる時間が劇的に短くなるメリットがあり、実際に HDD と SSD の速度の比較とベンチマークテストの方法について紹介する。

HDD と SSD の速度の比較とベンチマークテストの方法

1.HDD と SSD の違い

HDD(Hard Disk Drive)と SSD(Solid State Drive)の違いは、データを保存する方法とデータを読み書きする速度の 2 点が挙げられる。
HDD は回転する円盤に磁気でデータを読み書きしており、磁気ヘッドと呼ばれる音楽レコードの再生で利用する針のような部品で磁気を操作している。
磁気ヘッドは強い振動や長時間利用の劣化で故障しやすい。



対して SSD は USB メモリーと同じように内蔵しているメモリーチップに電気信号でデータの読み書きしているため、振動に強く故障率が低い。
また、HDD は磁気ヘッドが移動するのでデータの読み書きに時間がかかるが、SSD は物理的な移動時間が無いため高速処理が可能になっている。

HDD と SSD ともに安価になるほど耐久性やデータの読み書きが遅くなる傾向がありメーカーや機器によってその性能にバラつきがあるが、ベンチマークとして性能を数値化することで比較が可能になる。

2.ベンチマークテストとは

ベンチマークテストとは、パソコンに一定の負荷(処理)をかけることでパソコンの性能を計測することである。
CPU や GPU そして HDD など、パーツ単体でベンチマークテストを行う他、総合的にベンチマークを取得してパソコンの性能値として比較する際に利用される。

一般的には高画質で処理能力を必要とするパソコン向けのゲームで、利用しようとしているパソコンが快適に動作するかチェックするのに用いられることが多い。

3.ベンチマークテストの方法

ベンチマークテストの方法としては、ソフトウェアをインストールして実行するだけでパソコンの性能を数値化することができる。
ベンチマークで利用されるソフトウェアは無料で利用できるものが多く、パソコン向けゲームであればゲームメーカーから直接ベンチマークソフトが配布されていることもある。

無料で利用できるベンチマークソフトの中より CrystalMark を利用して HDD と SSD の性能を比較したものが次となる。
CrystalMark は CPU、ビデオカード、メモリ、ハードディスクなど部品単位でパフォーマンスを計測することができ、各数値は次の通りである。

  • Mark – ベンチマークの合計
  • ALU – CPU(整数演算速度)のベンチマーク
  • FPU – CPU(浮動小数点演算速度)のベンチマーク
  • MEM – メモリのベンチマーク
  • HDD – ハードディスクなどストレージのベンチマーク
  • GDI – 2D グラフィックスのベンチマーク
  • D2D – 2D グラフィックスのベンチマーク
  • OGL – 3D グラフィックスのベンチマーク


4.HDD と SSD の速度の比較

HDD と SSD の速度の比較した結果、Windows の起動は HDD では数分かかっていたものが SSD により 10 数秒になり高速化されるのが確認できた。
また、CPU の処理速度が早ければデータの読み書きが SSD により早まるので例えば 3D ゲームの「フォートナイト」では HDD から SSD にすることでロード時間は半分ほどになった。

しかし、ゲームが開始されて建物や自キャラのテクスチャが綺麗に表示されるまでの時間は変わらないため、CPU の処理性能もしくはグラフィックの描画性能が足りていないと SSD にしてもメリットは少なくなる。

尚、ベンチマークテストに用いたパソコンは CPU が Intel Celeron の 1.80GHz、メモリは 6.0GB を搭載しており、グラフィックボードは非搭載となり、Office など事務用ソフトや Photoshop など画像加工ソフトが不自由なく利用できている状況である。

4-1.HDD のベンチマークテストの結果

HDD のベンチマークテストの結果としては、下図のようにシーケンシャルアクセス(Seq:連続読み込みまたは書き込み)を見てみると 1 秒間に読み込みは 48.23MB、書き込みは 44.21MB 掛かっているのがわかる。
尚、ベンチマークテストは 1GiB(1,024KB)でテスト回数を 5 回行い、1 番良いスコアを表示するものである。

HDD の読み書きにかかるベンチマークテストの結果

次に HDD を搭載したパソコン全体のベンチマークテストの結果が下図である。

HDD 搭載のパソコンの総合的なベンチマークテストの結果


パソコンに搭載されている CPU やメモリにより総合的なベンチマークの数値は左右されるが、今回テストに利用したパソコンでは HDD のベンチマークは 3,625 を示している。

4-2.SSD のベンチマークテストの結果

SSD のベンチマークテストの結果としては、下図のようにシーケンシャルアクセス(Seq:連続読み込みまたは書き込み)を見てみると 1 秒間に読み込みは 279.6MB、書き込みは 271.2MB となり、前述の HDD と比べるとデータの読み書きに約 5 倍の性能の高さを確認できる。

SSD の読み書きにかかるベンチマークテストの結果

また、SSD を搭載したパソコン全体のベントマークテストの結果が下図である。

SSD 搭載のパソコンの総合的なベンチマークテストの結果

今回テストに利用したパソコンでは SSD のベンチマークは 35,694 を示し、前述の HDD と比べると CPU やメモリとも相まって約 10 倍の性能に上がるのが確認できる。

SSD はメーカーや搭載されているチップによりデータの読み書きにかかる時間が変わってくるため、SSD 同士で性能を比較したい場合もベンチマークテストを行うことで性能を視覚的に見ることができる。

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