[初回公開] 2019年02月20日
センサーやカメラを取り付けることでできる IoT 機器は遠隔地に設置して無人で情報収集することができますが、設定変更や収集したデータを都度、IoT 機器がある場所に行くのは効率が悪いため、Raspberry Pi を例にリモートで操作できるようにする設定と接続方法について紹介します。
このページの目次
１．Raspberry Pi で SSH 接続ができずに困ったこと
私が初めて Raspberry Pi をリモート操作しようとした際、SSH 接続がうまくできずに非常に困りました。
設定変更後に IP アドレスを確認し、SSH でコマンド操作する「Tera Term（テラターム）」で接続を試みましたが、接続エラーが出てしまい、原因がわからず途方に暮れました。
ネットワーク設定やケーブルの接続、電源状況などを何度も確認し直し、最終的には SSH が有効化されていなかったことに気づきました。この経験から、最初に確実に SSH の有効化を行うことと、IP アドレスの確認、ネットワーク環境の見直しが非常に重要だと痛感しました。
２．Raspberry Pi をリモート操作する構成
パソコンやスマホなどでインターネット接続する場合は下図のように「パソコン」など操作する端末と「ルーター」などネットワーク機器とが LAN ケーブルや Wi-Fi で通信できる状態で、さらに「ルーター」から「インターネット」に接続することでパソコンでウェブサイトを閲覧したりデータのダウンロードができるようになります。
同様に電子工作の入門や IoT 機器として利用される Raspberry Pi もルーターと通信できるように LAN ケーブルで接続するすることで Raspberry Pi はインターネットに接続できるようになるとともに、同じネットワーク内にいるパソコンから Raspberry Pi をリモートで操作することも可能になります。
また、Raspberry Pi をルーターではなくパソコンと直接つなぐこともできますが、この場合は Raspberry Pi がインターネット通信できなくなり、Raspberry Pi の動作に必要なソフトウェアのインストールができなくなるデメリットがあります。
尚、Raspberry Pi をリモート操作するために設定を行う必要があり、この設定を行うためにはパソコンからリモート操作する前では実施できないため、設定時のみ Raspberry Pi にディスプレイやマウスをつなげて直接設定しなければなりません。
３．Raspberry Pi をリモート操作するための事前の設定
Raspberry Pi の初期状態はリモート操作できないようになっているため、設定変更する必要があります。
設定変更にあたっては専用の画面が Raspberry Pi に用意されているので画面に沿って進めるだけで設定が完了します。
3-1．Raspberry Pi のターミナルを開く
Raspberry Pi のリモート操作を許可する設定変更の画面はデスクトップ上をマウス操作で表示することができず、コマンドで操作する「ターミナル（LXTerminal）」でのみ呼び出すことができます。
そのため、Raspberry Pi のデスクトップ画面の上部にある「ターミナル（LXTerminal）」をマウスでダブルクリックして開きます。
ターミナルが起動すると上図のようにコマンド（文字による指示）操作するウィンドウが表示されます。
Windows OS に標準インストールされている「コマンドプロンプト」もコマンドで操作するもので、このターミナルと類似のソフトウェアとなります。
3-2．Raspberry Pi の設定画面を開く
ウィンドウ「ターミナル」が起動すると、その画面内には文字入力の待機を示すためカーソルが点滅しています。
カーソルが点滅している状態で下記のコマンドを入力し、キーボードのエンターキーを押すと Raspberry Pi の設定ウィンドウが表示されます。
$ sudo raspi-config
sudo は OS を設定したりサービスを起動する最高権限のアカウントにて raspi-config で設定を呼び出す指示をしています。
3-3．リモート操作に必要な設定を行う
Raspberry Pi の設定ウィンドウが表示されると英語で表記された下図の画面が表示されます。
この設定画面より Raspberry Pi へログインするパスワードを変更したり、ネットワークの設定を行うことができます。
その中よりリモート操作の設定を行うためにキーボードの「↓」キーを押して「5 Interfacing Options」を選択します。
「5 Interfacing Options」は Raspberry Pi に接続するセンサーやカメラなど入出力に関する設定を行うことができ、表示された項目の中より再度「↓」キーを押して「P2 SSH」を選択します。
「P2 SSH」は Raspberry Pi を SSH と呼ばれるリモート操作機能であり、初期状態では「いいえ」になっているためキーボードの「←」を押して「はい」を選択して、エンターキーで決定するとリモート操作できるようになります。
3-4．Raspberry Pi の IP アドレスを確認する
前述の設定画面で Raspberry Pi へ SSH でリモート接続できるようにはなりましたが、実際にパソコンから SSH の機能を利用して接続するために接続先となる Raspberry Pi の IP アドレスが必要になります。
そのため、Raspberry Pi のターミナルの画面で下記のコマンドを入力してエンターキーを押すと Raspberry Pi の IP アドレスが表示されます。
この IP アドレスは後ほど利用するのでメモしておきましょう。
$ ifconfig
ifconfig はネットワーク内での自身の住所となる IP アドレスを表示するコマンドで、LAN ケーブルを接続すると自動的に IP アドレスが割り当てられたり、常に固定になるように設定を行うことも可能です。
Raspberry Pi の初期状態は IP アドレスを自動で取得する仕組み（DHCP）が働いており、今回は「192.168.***.***」という IP アドレスが得られたのが確認できます。
４．Raspberry Pi に SSH でリモート操作する方法
Raspberry Pi にリモート操作するためには SSH と呼ばれる機能を利用します。
SSH とは Secure SHell の略で端末間でやり取りされる情報を暗号化して安全に操作するものです。
Windows パソコンには標準で SSH が使える状態にはなっていないため、一般的には「Tera Term（テラターム）」と呼ばれる SSH で異なるパソコンやサーバをリモート操作するソフトウェアをダウンロードして利用します。
4-1．パソコンから SSH 接続する
パソコンから Raspberry Pi にリモート操作するためには「Tera Term（テラターム）」を起動します。
テラタームを起動するとリモート接続したい端末の IP アドレスと、その端末にログインするためのユーザ名とパスワードの入力を求められます。
そこで、前述で確認した Raspberry Pi の IP アドレスを利用します。
また、ログインに必要な情報は Raspberry Pi の初期状態から変更していなければ下記のようになっています。
・ホスト名：ラズパイの IP アドレス（今回なら 192.168.***.***）
・ユーザ名：pi
・パスワード：raspberry
SSH を利用する際の順序としては、最初にリモート操作したい端末の IP アドレスを入力してその端末と通信できるかがソフトウェアが診断します。
通信できると判断されれば次に認証に必要なユーザ名とパスワードを入力する画面が表示されます。
もしユーザ名とパスワードを入力する画面が表示されない場合は、パソコンと Raspberry Pi が同じネットワーク内に存在しているか、LAN ケーブルが接続されているかを確認する必要があります。詳しくは次の通りです。
4-2．テラタームで Raspberry Pi にアクセスできない時の対処法（１）
テラタームで接続エラーが出る場合は、パソコンと Raspberry Pi が同じネットワーク上に存在しない場合が多いです。
ルーターの電源が入っていない、Wi-Fi の接続先が異なる、LAN ケーブルが正しく挿さっていないなどが考えられます。
まずはこれらをチェックしましょう。
4-3．テラタームで Raspberry Pi にアクセスできない時の対処法（２）
SSH 接続は初期状態で無効になっている場合もあります。
今回のように sudo raspi-config から SSH を有効化していない場合、接続はできません。
また、Raspberry Pi 側のファイアウォール設定やルーターのポート開放が必要になる場合もあるため注意してください。
５．Raspberry Pi をリモート操作するメリット
Raspberry Pi をリモート操作することで、現地に行かずに機器の監視や設定変更、データ収集が可能になります。
特に IoT 機器としてセンサーやカメラを利用する場合、現場に直接行くことなく遠隔から効率的に管理ができるため非常に便利です。
また、複数の Raspberry Pi をまとめて管理する際にもリモート操作は必須となります。
６．まとめ
本記事では、Raspberry Pi をリモート操作するための基本的な設定方法と接続手順について解説しました。
初期状態では SSH 接続が無効化されているため、直接ディスプレイやキーボードを接続して設定を有効化する必要があります。
また、IP アドレスの確認やネットワーク環境の整備も重要なポイントです。
リモート操作ができるようになると、遠隔地から Raspberry Pi の操作や管理が可能となり、IoT 機器の運用が格段に効率化されます。
是非この記事を参考に、Raspberry Pi のリモート操作にチャレンジしてみてください。
