無線 LAN ルーターを買い替える時の注意点と交換方法


[初回公開] 2011年04月04日

Wi-Fi(無線 LAN)は事務所のみならず一般家庭でも欠かせない通信インフラだが、利用していた無線 LAN ルーターを新しい無線 LAN ルーターに買い替える場合は設定方法をインターネットで調べながら行うことが少なくないので、交換時の注意点と古いルーターを起動させながら新しいルーターの接続設定する方法について紹介する。

無線 LAN ルーターを買い替える時の注意点と交換方法

1.無線 LAN ルーターを常に新しい機器する理由

無線 LAN ルーターを常に新しい機器する理由としては、「セキュリティの向上」と「通信速度の向上」そして「電波強度の向上」の 3 点が挙げられる。



まず「セキュリティの向上」とは、パソコンやスマホと無線 LAN ルーターの間でやり取りされる無線電波の暗号強度である。
端末とルーター間の通信データは WPA と呼ばれる規格で暗号化されているが、古い WPA は既に解読方法が知れ渡っているため、悪意ある第三者が電波を傍受して通信内容を解析することが可能になっている。

もし通信内容を解析されると個人情報やクレジットカード番号を入手されて悪用される危険性があるため、新しい暗号化技術が使われたルーターを利用したほうがよい。

次に「通信速度の向上」とは、Wi-Fi5 や Wi-Fi6 のように Wi-fi も改良されるたびにバージョンが上がり、通信速度も速くなっている。
新しい Wi-Fi のバージョンが出るたびに対応した無線 LAN ルーターも販売されるため、新しいルーターにすることで快適に利用することができる。

最後に「電波強度の向上」とは、無線は壁など障害物があると通信が途切れやすい性質があるため各社が製造販売するルーターは障害物があってもより遠くに電波を届けられるように製品の改良が行われている。
また、無線 LAN ルーター 1 台に対して同時に接続できる端末数も制限があるが、新しい端末にすることで家族がスマホやゲーム機など複数台を同時に使っても通信が途切れることなく利用できる特徴がある。

2.WPA とは

WPA(Wi-Fi Protected Access)とは、Wi-Fi でやり取りされる通信を暗号化する規格である。
以前は WEP と呼ばれる規格で暗号化していたが、簡単に解読されることから改良されたものが WPA となっている。

さらに WPA からセキュリティ強度を高めた WPA2、WPA3 も存在している。
無線 LAN ルーターの製品によってはファームアップにより WPA に加えて WPA2 に対応追加できる場合がある。

3.Wi-Fi 6 とは

Wi-Fi に世代(バージョン)があり、新しい世代が出るたびに品質が向上している。
前述の WPA は通信のセキュリティに関する規格であるが、Wi-Fi は通信速度と利用周波数を規格化されたものである。



Wi-Fi 6 は現時点で提供されている Wi-Fi の最新規格で無線 LAN ルーターのパッケージ(外箱)には IEEE 802.11ax と表記されている。
Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)と Wi-F 6 の違いは下表のように利用周波数が 5GHz に 2.4GHz も加わっているのと、最大通信速度が 9.6Gbps まで向上している。

世代 規格名 最大通信速度 周波数
第 1 世代 IEEE 802.11 2Mbps 2.4GHz帯
第 2 世代 IEEE 802.11a
IEEE 802.11b
54Mbps

11Mbps

5GHz帯
2.4GHz帯
第 3 世代 IEEE 802.11g 54Mbps 2.4GHz帯
第 4 世代 IEEE 802.11n 600Mbps 2.4GHz帯/5GHz帯
第 5 世代 IEEE 802.11ac 6.9Gbps 5GHz帯
第 6 世代 IEEE 802.11ax 9.6Gbps 2.4GHz帯/5GHz帯

4.無線 LAN ルーター機器の発展遷移と比較

無線 LAN ルーターは WAP といった通信暗号化や Wi-Fi6 といった新しい規格が出れば間もなく対応製品として販売されるとともに、メーカー独自で価格や利用規模に応じてさまざまな機種が提供される。

例えば下図の ELECOM の無線 LAN ルーターは Wi-Fi5 まで対応した機器で、5GHz 帯で 867Mbps、2.4GHz 帯で 300Mbps の通信速度を出すことができる。
安価な機種ではあるが、同時接続数は最大 4 台となっているため単身世帯に適した機器となっている。

ELECOM の無線 LAN ルーターの例


次の BUFFALO の無線 LAN ルーターも Wi-Fi5 まで対応した機器となっており、前述の ELECOM のルーターと通信毒度はほぼ一緒ではあるが、同時接続数が 3 人(3 台)と若干少なくなっている。

BUFFALO の無線 LAN ルーターの例

実際は 3 人(9 台)以上でも同時に利用することはできるが、1 台がオンラインゲームや動画などを見ると他の機器の通信が遅くなるか切断することがある。
価格も 5,000 円前後と安価であり、1 人暮らしに向いている。

さらに接続台数や通信速度を上げたい場合は 10,000 円前後とやや高価にはなるが下図のように Wi-Fi6 に対応しつつ、5GHz で 4,803Mbps の出力を持つ無線 LAN ルーターも同社より販売されている。

BUFFALO の高スペックな無線 LAN ルーターの例

最大利用人数も 10 人(30 台)と増えており、家族向けの無線 LAN ルーターとなっている。

5.無線 LAN ルーターを買い替える時の注意点

無線 LAN ルーターを買い替える時の注意点としては、「利用台数」と「無線規格」の 2 点が挙げられる。

「利用台数」とは、無線 LAN ルーターごとに推奨される同時端末接続数または人数が設定されている。
もし家族 4 人がスマホやゲーム機で同時に通信することがあれば、接続人数は 4 人以上が推奨されている無線 LAN ルーターを選択する必要がある。
利用台数は機器の外箱に記されていることが多いので簡単に見分けることができる。

また、「無線規格」は前述の Wi-Fi5 と Wi-Fi6 の一覧表のように IEEE 802.11g や IEEE 802.11ac といったものがある。
自宅や事務所で利用するスマホやパソコンが対応している無線規格が古い場合、新しい無線 LAN ルーターが対応しておらず通信できないことがある。

無線 LAN インターフェイスの例


そこで、製品の外箱に上図のような仕様が記載されている箇所を確認し、IEEE 802.11g があれば古い端末でもほぼ通信できる。
もし IEEE 802.11g が無く、IEEE 802.11ac しかない場合は通信できないので注意が必要である。

6.無線 LAN ルーターの交換方法

既に無線 LAN ルーターを利用しており、故障やさらに高スペックの機器に交換する場合は、インターネット接続に必要なプロバイダの情報をどこに設定しているか確認する必要ある。

光回線の場合は NTT など回線業者からレンタルする終端装置(ONU)にプロバイダ情報を設定することがあり、その場合は古い無線 LAN ルーターにつながっている LAN ケーブルを新しい LAN ケーブルに接続するだけで利用できる。

対して、ONU ではなく無線 LAN ルーターにプロバイダ情報を設定している場合は、新しいルーターに LAN ケーブル等でパソコンと接続してブラウザで管理画面を開いてプロバイダ情報を登録する必要がある。

この時、新しいルーターの管理画面への接続方法がわからないなどトラブル時はメーカーのウェブサイトで確認する必要があるため、古いルーターに登録しているプロバイダ情報は残していつでも調べられるようにしておくとよい。

無事に新しいルーターでインターネット接続できるようになれば、古いルーターを破棄したり紛失時にプロバイダ情報が悪用されないように登録情報を削除するか、工場出荷時の状態にリセットしておくとよい。

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