パソコンのメモリ交換後など性能を計測する Windows エクスペリエンスインデックスの利用方法


[初回公開] 2013年03月27日

デスクトップやノートパソコンなど処理が遅いと感じ始めたらメモリやストレージの交換を行うことで性能が上がるが、体感だけでなく数値として性能が上がったかを確認するために Windows に標準搭載されているベンチマークの役割となる Windows エクスペリエンスインデックスの利用方法について紹介する。

パソコンのメモリ交換後など性能を計測する Windows エクスペリエンスインデックスの利用方法

1.パソコンの性能を測るベンチマークとは

ベンチマークとは、パソコンに一定の負荷を数回に分けてかけて処理能力を測り、その結果を数値化して性能を視覚的にわかるようにしたものである。
パソコンを構成する CPU、メモリ、ストレージ(ハードディスクや SSD)それぞれで性能結果がわかるようになっている。

パソコンのベンチマークを測定している様子


ベンチマークを取るためにはベンチマークソフトと呼ばれるものが必要となるが、Windows であれば標準で性能を数値化してくれる Windows エクスペリエンスインデックスがインストールされている。

2.Windows エクスペリエンスインデックスとは

Windows エクスペリエンスインデックスとは、Windows に標準インストールされているベンチマークを測定する機能である。
CPU、メモリ、ストレージ(ハードディスクや SSD)の他、ゲームなどで利用するグラフィックスもスコア形式で取得できる。

Windows Vista 以降の OS に搭載され、システム画面からすぐに確認が可能だったが Windows 8.1 から表示されなくなった。
しかし、測定用の実行ファイルは Windows 8.1 以降の Windows 10 や Windows 11 にも残されており、コマンド操作で性能を測ることは可能となっている。

3.Windows エクスペリエンスインデックスの利用方法

Windows エクスペリエンスインデックスの利用方法としては、コマンドプロントを利用して性能スコアをファイルに出力する方法と、コマンドで操作する PowerShell でスコア表示させる方法がある。

3-1.コマンドプロンプトで性能を計測する

コマンドプロンプトでベンチマークを計測する場合は、デスクトップにある Windows マークをクリックして「スタート → すべてのアプリ → Windows システム ツール」選択し、一覧にある「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選ぶ。

右クリックして「管理者として実行」をクリック


コマンドプロンプトが起動すれば、「winsat formal」を入力してエンターキーを押すことで性能測定の実行が開始される。
実行中は下図のように状況が表示される。

winsat formal を実行している様子

winsat formal の実行後は下図のように「合計実行時時間」の行が表示されることで終了したことがわかる。
測定が終わるまではパソコンの性能に左右されるが、大よそ数分で完了する。

winsat formal が終了した様子

winsat formal で性能測定した結果は、Windows 内に XML ファイルとして保存される。
XML はテキストファイルとなっているため、ブラウザにファイルをドラッグしたり、メモ帳などテキストエディタで開くことで内容を確認することができる。

出力されたファイルは「C:\Windows\Performance\WinSAT\DataStore」に測定を実行した日付がファイル名に付いて保存されている。

winsat formal の結果がファイルで保存されている様子


ファイル名が「***(Initial).WinSAT.xml」のように Initial の文字が入っているものは初回テストの結果である。
また、「***(Recent).WinSAT.xml」のように Recent の文字が入っているファイルは 2 回目以降の測定結果が掲載されている。

3-2.PowerShell で性能を計測する

Windows パソコンの性能を計測して、その結果をすぐに数値化して見たい場合はコマンド操作ツールの PowerShell を利用する。
PowerShell の起動はデスクトップ上の Windows マークを右クリックして表示されるメニューより「Windows PowerShell(管理者)」をクリックする。

「Windows PowerShell(管理者)」をクリック

「Windows PowerShell(管理者)」をクリックするとコマンドプロンプトの背景色を青色にしたコマンドによる操作画面が表示されるので、「Get-CimInstance Win32_WinSAT」と入力してエンターキーを押すと下図のように性能測定によりスコアが表示される。

Get-CimInstance Win32_WinSAT を実行した様子

Get-CimInstance Win32_WinSAT で表示される結果が Windows エクスペリエンスインデックスとなるが、基本スコアとサブスコアに分類される。
各項目を評価したサブスコアの中で最も低いスコアを、基本スコアとなっている。



Get-CimInstance Win32_WinSAT の結果が示す各項目は次のようになっている。

  • CPUScore – CPU(プロセッサ)の速度を 1 秒あたりで計算したスコア
  • D3DScore – グラフィックスの 3D 処理のスコアだが、Windows 8.1 以降のバージョンはスコア表示されるものの計測はされていない
  • DiskScore – ストレージ(ハードディスクまたは SSD)のデータ転送速度に基づくスコア
  • GraphicsScore – グラフィックスの 2D 処理のスコア
  • Memory – メモリの速度を 1 秒あたりで計算したスコア

尚、Windows エクスペリエンスインデックスは Windows 7 では 1.0 から 7.9 までのスコア表示だったが、Windows 8 以降のバージョンでは 1.0 から 9.9 が結果として返ってくる。

3-3.Windows 7 以前で Windows エクスペリエンスインデックスを利用する場合

Windows 7 以前で Windows エクスペリエンスインデックスを利用する場合は、コントロールパネルからシステムを選択すると OS のバージョン等と一緒に下図のように評価が表示される。

Windows 7 の Windows エクスペリエンスインデックスの様子


上図の上部はメモリを増設する前で、Windows エクスペリエンスインデックスは 4.4、実装メモリは 2.0GB となっているのが確認できる。
対して図の下部はメモリを増設した後で実装メモリは 6.0GB となっているが、Windows エクスペリエンスインデックスは 4.4 のままなので Windows 全体の評価としては性能は上がっていないと判断されている。

しかし、メモリ増設前はシャットダウンを選択してからパソコンの電源 LED が消灯するまで 30 秒から 1 分ほどかかっていたものが、メモリ増設後は 30 秒かからずに電源がオフできるようになったため、必ずしも Windows エクスペリエンスインデックスが性能を示すものではない。

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