電子工作入門の定番マイコン Arduino UNO の比較と使い方


[初回公開] 2017年12月20日

家電や電子基板が搭載された機器がインターネットにつながって操作やデータ収集できることを IoT と呼ばれ生活を便利にしているが、研究する学生や製品の開発者向けに IoT の学習キットがいくつか販売されており、電子工作入門の定番マイコン Arduino(アルデュイーノ)の比較と使い方について紹介する。

電子工作入門の定番マイコン Arduino UNO の比較と使い方

1.IoT とは

IoT(Internet of Things)とは、モノにセンサーやカメラなどを取り付けてインターネット回線を介してデータ収集またはデータ共有することを指す。
例えば屋内や屋外でよく見かける自動販売機は在庫切れにならないようにスタッフが定期的に巡回して商品補充してくれているが、IoT を利用すると不足している商品情報を遠隔で確認でき、データ収集が可能になる。
これにより商品と釣銭切れを予防でき、必要なときだけスタッフが稼働してムダを省くことができる。

Arduino UNO の外観


また、バスやタクシーなど GPS を利用して乗車までの待ち時間を計測するなどリアルタイムな情報共有が可能になる。
これにより利用者へのサービスが向上するとともに、遅延している運行車があれば空いている車でサポートするなど効率良く運営を進めることができる。

IoT は電子回路で構成されているため、主に電子機器を製造販売する企業で開発されている。
最近では小中学校でプログラムの授業が取り入れられているため、個人向けの IoT 学習キットとして Arduino(アルデュイーノ)や Raspberry Pi(ラズベリーパイ)がよく利用されている。

ここでは電子工作入門の定番マイコンとして利用される Arduino(アルデュイーノ)について紹介する。

2.Arduino とは

Arduino(アルデュイーノ)はイタリアが発祥の電子回路がむき出しになった最低限の入出力装置と制御するソフトウェアが搭載されたワンボードマイコンである。

パソコンの Windows や IoT の代表格の Raspberry Pi と異なり OS は搭載されていないので、必要な電子機器を Arduino 本体に接続して制御プログラムを自ら Arduino に書き込んで利用する。

3.Arduino の仕様

Arduino には外付けのセンサーやカメラを取り付けて電力を共有するピンや、通電を示す LED の他、取り付けたハードウェアを自作のプログラムを保存する制御メモリなどが基盤内に用意されている。

Arduino UNO の外観

Arduino にはいくつかの種類が販売されており、下記は電子部品店で取り扱いが多い Arduino UNO の仕様である。

項目 Arduino UNO Rev4 WiFi Arduino UNO Rev3
CPU Renesas Electronics America Inc
48MHz
AVR ATmega328P
16MHz
メモリ SRAM(メインメモリ)32KB
プログラム領域(フラッシュメモリ)256KB
SRAM(メインメモリ)2KB
プログラム領域(フラッシュメモリ)32KB
接続コネクター デジタル入出力 20 本
PWM出力 6 本
アナログ入力 6 本
USB Type-C
ICSP
UART
I2CSPI
デジタル入出力 20 本
PWM出力 6 本
アナログ入力 6 本
USB Type-B
ICSP
UART
I2CSPI
Bluetooth Bluetooth 5.0 無し
無線LAN ,IEEE 802.11b/g/n 無し
電源定格 DC 5V、5V DC 5V、3.3V
消費電流 8mA(各端子) 40mA(各端子)
外形寸法 約69(W) x 54(D) mm 約53(W) x 68(D) mm
質量(本体のみ) 約45g 約25g
動作温度範囲 不明 不明
取得規格 不明 不明

4-1.Arduino の全体像

Arduino は下図のように大きく 6 つのエリアに分かれて構成されている。
主に利用するのは上下にある「接続端子」の部分で、中央にある確認 LED で通電状態を確認することができる。

Arduino(Arduino UNO Rev3)の構成図


Arduino にパソコンからプログラムを入れるためには USB Type-B を利用するが、最近主流の USB Type-C ではないので注意が必要である。

主な機能は次の通りである。

項目 内容
リセットスイッチ 押下すると処理をリセットする。
USB Type-B パソコンから動作命令となるプログラムを転送するポート。
USB ケーブル接続時は電力も供給される。
DC ジャック 家庭用コンセントから電源を供給させるポート。
7~12Vが推奨電圧。
接続端子 デジタル・アナログの入出力端子。
3.3V、5V、GNDの端子。
確認 LED プログラムの動作確認用に点灯させることができる LED。
電源 LED Arduino に電力が供給されていれば点灯する LED。

4-2.USB Type-B と DC ジャック付近

USB Type-B 及び DC 電源ジャック側は下図のようになっている。
向かって左側に USB Type-B の差し込み口があり、右側に DC ジャックが備わっている。
パソコンと同じように抜き差しするだけで利用できる。

Arduino の USB と DC ジャック側の様子

4-3.アナログ入出力端子付近

アナログ入出力は DC ジャックに近い側面に配置されている。
各端子には利用できる仕様が決まっており、例えば 5V まで許容できるセンサーや 3.3V までしか許容しないセンサーを使い分ける場合は端子横に記載されている箇所にピンを指して利用する。

DC ジャック側のアナログ入出力端子の様子

また、グランド(GND)も配置されている。

4-4.デジタル入出力端子付近

デジタル入出力は USB Type-B に近い側面に配置されている。
デジタル端子のためセンサー類をどこに挿しても問題なく、プログラムで制御する際は挿した番号と同じピン番号を指定する。

USB Type-B 側のデジタル入出力端子の様子

5.Arduino の販売価格

Arduino は仕様が異なるいくつかの種類が販売されており、3,000 円から 5,500 円の幅で販売されている。
秋葉原を始め、地方でも電子部品を取り扱っている店舗で購入することができ、インターネットでも入手が可能である。

Arduino の商品パッケージ

6.Arduino の基本的な使い方

Arduino の基本的な使い方としては、アナログまたはデジタルの接続端子にセンサー等を配線して電力を共有させるのが主な流れとなる。

センサー等の動作を制御するためには別途、Arduino 用のプログラムを行うパソコンと、そのパソコンに Arduino にプログラムを書きこむソフトウエア(Arduino IDE)をインストールする。

Arduino IDE は無料でダウンロードすることができる。
最も簡単なプログラムは Arduino に搭載されている確認 LED を点灯させるもので、センサーなど付属品を利用せずとも動作確認が可能である。

電子工作の入門品のため、ブレッドボードにジャンパー線をつないで利用する。
Wifi 非搭載の Rev4 Minima の場合は別売りの Wi-Fi モジュールを購入することで無線通信が可能になる。

7.Arduino の総評

Arduino の総評としては、電子回路の学習やセンサー等を利用して実現したい IoT を模索する入門に最適なデバイスである。
Arduino には OS がないため、純粋に電子部品の仕様と機能を活かし、複数の電子部品を組み合わせる想像力を養うことができる。

購入価格も数千円と安価であるため小中学生の学習用や、ビジネスで IoT で改善点を図る際に低コストで調査・開発を行える利点がある。

7-1.Arduino の満足点

Arduino の満足点は、本来であれば電子部品を制御するマイコンを基盤にハンダ付けして土台を作らなければならないところ、電力供給を含めて全て揃っている点である。

センサーや電源ケーブルは別途購入する必要があるものの、Arduino 本体を含めてセット販売されていることもあるので電子部品店で手軽に入手できる点が良い。

7-2.Arduino の不満点

Arduino の不満点としては、電子基板がむき出しなので屋外や粉じんが発生する製造現場などで試験的に利用するのには向いていない。
あくまでデータ収集やデータ共有ができるかの確認程度に留まり、長期的な運用で Arduino を利用するのには向いていない。

関連記事

コメントを残す