[初回公開] 2019年06月24日
IoT の機器はセンサーやカメラを取り付けて無人で稼働させるのに向いているものの、設定変更やデータ収集のため IoT 機器がある場所に都度赴くのは効率が悪いため、Raspberry Pi を Windows のリモートデスクトップのようにリモート操作する設定と接続方法について紹介する。
このページの目次
1.Raspberry Pi をリモート操作する構成
Raspberry Pi をリモート操作する構成としては、下図のようにパソコンやスマホでインターネット接続するようにルーターなどネットワーク機器と Raspberry Pi が LAN ケーブルまたは Wi-Fi で通信できるようにする。
同じルーターの配下にパソコンと Raspberry Pi があるため、パソコンから Raspberry Pi に対してリモートで操作できるようになる。
また、Raspberry Pi をルーターではなくパソコンと直接つなぐことでパソコンから Raspberry Pi を操作することももできるが、この場合は Raspberry Pi がインターネット通信できなくなり、Raspberry Pi の動作に必要なソフトウェアのインストールができなくなるデメリットがある。
尚、Raspberry Pi をリモート操作するために設定を行う必要があり、この設定はまだパソコンからリモート操作する前では実施できないため、設定時のみ Raspberry Pi にディスプレイやマウスをつなげて直接設定しなければならない。
2.Raspberry Pi をリモートデスクトップで操作するメリット
Raspberry Pi をリモートデスクトップで操作するメリットとしては、「リソースの有効活用」と「データ収集の効率化」の 2 点が挙げられる。
1 点目の「リソースの有効活用」とは、Raspberry Pi を操作するためにつなげるディスプレイやマウス・キーボードといったハードウェア資産の削減である。
Raspberry Pi を操作する上で 1 台ずつにディスプレイなどがあると操作時は楽だが、Raspberry Pi を複数台運用している時やディスプレイを置く場所も確保しなければならないことから、リモートで操作できるようにするほうがよい。
また、2 点目の「データ収集の効率化」とは、センサーやカメラなどでデータ収集する場合は作業するデスク周りから離れていることが多いため、データ収集のために Raspberry Pi がある場所に都度赴くのは効率が悪い。
IoT 機器は屋外で利用したり、製造現場では工場の要所要所に機器を配置することから、リモートで操作することで場所を取らずに 1 つのパソコンで複数台を同時に操作・処理できるメリットがある。
3.Raspberry Pi をリモート操作するための設定方法
Raspberry Pi をリモート操作するためにリモートデスクトップと呼ばれる機能を利用する。
リモートデスクトップとは Microsoft 社の Windows OS に搭載されている機能で、マウスとキーボードを利用した画面操作を Raspberry Pi でも行うことができ、そのためには必要なソフトウェアを別途インストールする必要がある。
3-1.Raspberry Pi のターミナルを開く
Raspberry Pi でリモートデスクトップできるようにするためには専用のソフトを事前にインストールする必要があり、そのためにはコマンド操作が必要となる。
Raspberry Pi にキーボード等を直接接続してターミナルを開くか、SSH による遠隔操作ができるようにしておく。
3-2.apt-get をアップデートする
次に apt-get のアップデートを実行する。
apt-get は Raspberry Pi にインストールするパッケージの操作・管理を行うコマンドで、これからインストールするパッケージを最新のものに対応するためアップデートしておく。
pi@raspberrypi:~ $ sudo apt-get update
取得:1 http://archive.raspberrypi.org/debian stretch InRelease [25.4 kB]
取得:2 http://raspbian.raspberrypi.org/raspbian stretch InRelease [15.0 kB]
取得:3 http://raspbian.raspberrypi.org/raspbian stretch/main armhf Packages [11.7 MB]
取得:4 http://archive.raspberrypi.org/debian stretch/main armhf Packages [200 kB]
取得:5 http://archive.raspberrypi.org/debian stretch/ui armhf Packages [41.6 kB]
11.9 MB を 43秒 で取得しました (277 kB/s)
パッケージリストを読み込んでいます… 完了
コマンドは「sudo apt-get update」だけ入力して実行すると自動的にデータを取得してアップデートされる。
3-3.xrdp をインストールする
apt-get を最新にした後、Windows からリモートデスクトップすることができる xrdp をインストールする。
xrdp はサーバのように常に起動してリモートデスクトップの要求が来るのを待ち続ける。
$ sudo apt-get install xrdp
コマンドは「sudo apt-get install xrdp」だけ入力して実行すると xrdp がインストールされる。
3-4.xrdp 利用時のキーボードの設定を行う
xrdp でリモートデスクトップ接続するとマウスはすぐに反応するようになるが、キーボードで文字を入力しても認識しない。
そこで、日本語対応キーボードで正常に操作できるように下記のコマンドを実行する。
$ cd /etc/xrdp/
$ sudo wget http://w.vmeta.jp/temp/km-0411.ini
$ sudo ln -s km-0411.ini km-e0010411.ini
$ sudo ln -s km-0411.ini km-e0200411.ini
$ sudo ln -s km-0411.ini km-e0210411.ini
コマンドの内容は xrdp があるディレクトリに移動してインターネット上からキーボードの設定ファイルをダウンロードしている。
その後、ダウンロードした設定ファイルに対してシンボリックリンクを行っている。
3-5.xrdp を再起動する
以上で xrdp の設定は終了だが、設定を変えただけでは反映されないため xrdp のサービスを再起動して設定を有効化させる。
$ sudo service xrdp restart
3-6.Raspberry Pi 起動時に自動的に xrdp も起動するようにする
一般的にサーバは OS の電源を入れた直後の起動時や再起動時には自動的に起動しないため、OS 起動時に自動的に起動するように設定を行う。
この設定を入れていない場合は、Raspberry Pi の電源を入れるたびに手動で xrdp 起動する必要がある。
$ sudo systemctl enable xrdp
3-7.Raspberry Pi の IP アドレスを確認する
最後に Raspberry Pi の住所となる IP アドレスを確認する。
IP アドレスはリモートデスクトップで接続する場合に必要になるのでメモしておく必要がある。
そのため、Raspberry Pi のターミナルの画面で下記のコマンドを入力してエンタキーを押すと Raspberry Pi の IP アドレスが表示される。
$ ifconfig
4.Raspberry Pi をリモートデスクトップでリモート操作する方法
Raspberry Pi をリモートデスクトップでリモート操作する方法は、Windows パソコンでリモートデスクトップを起動して利用する。
4-1.パソコンからリモートデスクトップ接続する
最初に手元の Windows パソコンから「すべてのプログラム -> アクセサリ -> リモートデスクトップ接続」を選択してリモートデスクトップを起動する。
リモートデスクトップが起動すると接続先を入力する欄が表示されるので、Raspberry Pi の IP アドレスを入力する。
4-2.Raspberry Pi にログインする
リモートデスクトップから Raspberry Pi への通信が成功すると、下図のように Raspberry Pi にログインする画面が表示される。
この画面で Raspberry Pi のログイン情報を入力することでログインすることができる。
Raspberry Pi の初期状態からパスワード等を変更していなければ次の情報でログインが可能である。
・Session :Xorg
・username:pi
・password:raspberry
無事にログインに成功すると Raspberry Pi のデスクトップが表示されるので、パソコン側からマウスとキーボード操作を行うことができる。
4-3.リモートデスクトップを終了する
リモートデスクトップを終了する場合は、画面上部にあるボタン「×」をクリックすると終了することができる。
この場合、Raspberry Pi はまだ起動したままなため、Raspberry Pi もシャットダウンしたい場合は Raspberry Pi のデスクトップ上で終了させる。
Raspberry Pi の電源がオフになり応答が無くなると自動的にリモートデスクトップも終了する。
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