[初回公開] 2011年06月27日
Excel の値の入力方法はセルに直接入力する場合と、既に決められた値を選択するドロップダウンリスト(プルダウン)があり、ドロップダウンリストの 1 つ目の選択肢を選ぶことで、異なる 2 つ目のドロップダウンリストの選択肢が連動して切り替わる方法について紹介する。
このページの目次
1.ドロップダウンリスト(プルダウン)を使うメリット
Excel でドロップダウンリスト(プルダウン)を使うメリットとしては、シート上のセルに入力する数値や文字列が常に統一されるため、漏れなく検索対象になるのと、集計に誤りが発生するのを防ぐことができる。
セルに数値や文字列をキーボードで入力する場合は、異なる入力者や、同じ入力者でも入力文字が全角半角とまちまちであったり、誤字脱字などで入力値が統一されないことがある。
それにより検索対象から除外されたり、関数の計算など集計範囲に入らないなどリスクがあるため、入力する数値や文字列が定まっている場合はドロップダウンリストの他、ラジオボタンやチェックボックスなど一定の値が入るようにフォームを利用するとよい。
また、ドロップダウンリストを利用することでマウス操作だけで入力できるので作業の効率化を図ることができる。
2.連動するドロップダウンリストの利用シーン
連動するドロップダウンリストの利用シーンとしては、組織や商品カテゴリー、都道府県など情報が階層で分かれている場合に利用される。
例えば、都道府県であれば、1 つ目のドロップダウンリストに「大阪府」や「兵庫県」といった都道府県を選択肢として用意し、「兵庫県」を選択するともう 1 つ別に用意したドロップダウンリストには「神戸市」など兵庫県内の市町村のみが選択肢に現れるようにすることで県名と市町村名の入力間違いを防止することができる。
また、商品カテゴリーの利用であれば 1 つ目のドロップダウンリストに「上着」や「ボトム」といった衣類の大カテゴリーで分類し、「上着」を選択するともう 1 つ別に用意したドロップダウンリストに「長袖」「半袖」といった上着に関連するカテゴリーが選択肢に現れるようにすることで利便性が向上する。
3.連動するドロップダウンリストの作成方法
Excel で連動するドロップダウンリストを作成するためには、選択肢となる情報を Excel のシートに用意し、第一階層と第二階層のドロップダウンリストの複数作成する流れとなる。
今回は会社の組織体制を選択する場合を例に、第一階層に「部署」、第二階層に「課」の構成を取るドロップダウンリストを次の流れで作成して、第一階層で部署を選択すると関連する課だけが第二階層のドロップダウンリストに表示するものが次となる。
3-1.ドロップダウンリストの選択肢を用意する
連動するドロップダウンリストを作成するために、まずは第一階層と第二階層それぞれの選択肢を Excel のシートに用意する。
下図は第一階層の「部署」の選択肢として表示させたいデータを入力した状態である。
今回は「総務部」「商工労働部」「保健福祉部」の 3 つを例に用意している。
上図では分かりやすいようにドロップダウンリストの選択肢とするセルの背景色と文字色を変えているが、実際に作成する場合は図の通りでなくてもよい。
次に第二階層のドロップダウンリストの選択肢に表示させるデータを下図のように入力する。
今回は第一階層の「総務部」に所属する課として「財政課, 税務課, 人事課」を紐付けることとして、「総務部」の下に入力する。
第二階層となる選択肢は必ずしも第一階層の選択肢に隣接する必要は無いが、第二階層の選択肢同士で隣接しておいたほうが後述するセル範囲の名前付けの時に操作が楽になる。
選択肢の準備の最後に、第二階層に表示する選択肢を選択した状態で、連動させたい第一階層の選択肢名を設定する。
下図のように入力した「財政課, 税務課, 人事課」を選択した状態で、Excel の左上の名前入力欄に第一階層の「総務部」を入力する。
この時、名前となる「総務部」を入力した後は必ずエンターキーで確定させる必要があり、名前だけ入力してマウス操作すると名前の登録が未完了の状態となる点に注意である。
セルを選択した状態で左上に名前を付けたことで「財政課, 税務課, 人事課」が「総務部」と紐づけることができた。
続いて同じように C 列の 3 行目以降にある「商工政策課, 企業支援課」を選択した状態で「商工労働部」を左上の名前欄に入力することで部署「商工労働部」に 2 つの課が紐づけることができる。
3-2.第一階層のドロップダウンリストを作成する
第一階層と第二階層となる選択肢の準備ができれば、第一階層となるドロップダウンリストをシートの F2 に配置してマウスでクリックすると部署の選択肢が表示せれるようにする。
ドロップダウンリストを配置するには下図のようにセル F2 を選択した状態で、上部メニューの「データ -> データの入力規則」を選択してウィンドウ「データの入力規則」を表示させる。
「データの入力規則」を選択するとウィンドウ「データの入力規則」が表示されるため、下図のように入力値の種類から「リスト」を選択し、元の値の入力欄右にあるセル範囲指定ボタンをクリックする。
セル範囲指定のボタンを押すと、値の範囲をマウスで指定できるようになるため、下図のように第一階層の選択肢となる「総務部」「商工労働部」「保健福祉部」の 3 つを選択した状態でエンターキーを押下して決定する。
範囲が指定できると再度ウィンドウ「データの入力規則」が表示され、元の値の欄に次の内容が入っているのを確認してボタン「OK」をクリックする。
=$B$2:$D$2
これにより、セル F2 の横にドロップダウンリストを示す三角形マークが付き、マウスでクリックするとウィンドウ「データの入力規則」で指定した第一階層となる選択肢 3 つが表示されるのが確認できる。
3-3.第二階層のドロップダウンリストを作成する
第一階層のドロップダウンリストの作成を終えて、次は連動して選択肢が変わる第二階層のドロップダウンリストを作成する。
第二階層はセル H2 に作成することとし、H2 をマウスで選択した状態で先ほどと同じく上部メニューの「データ -> データの入力規則」を選択してウィンドウ「データの入力規則」を表示させる。
第一階層を作成したときと同じく、入力値の種類から「リスト」を選択するが、次の元の値の入力欄は下図のように Excel の INDIRECT() 関数を入力する。
=INDIRECT({第一階層のセル})
INDIRECT の () 内には第一階層のドロップダウンリストを作成したセルの位置を入力し、今回であれば F2 を記入する。
ボタン「OK」を押すと下図のように「元の値はエラーと判断されます。」と表示されるが、これは第一階層の選択肢が何も選択されていないことで表示されるもので、このままボタン「はい」をクリックするとセル H2 に第二階層のドロップダウンリストが作成される。
3-4.選択肢が切り替わるか確認する
以上で第一階層と第二階層のドロップダウンリストの作成が完了したので、実際に第一階層で選択した情報により第二階層の選択肢が切り替わるか確認する。
セル F2 に配置した第一階層に該当するドロップダウンリストからいずれかを選択して、セル H2 に配置した第二階層のドロップダウンリストを表示すると選択肢が切り替わるのが確認できる。
今回のサンプルの場合、セル F2 に配置したドロップダウンリストから部署「保健福祉部」を選択するとセル H2 に配置した第二階層に該当するドロップダウンリストの選択肢は「保険課」「医療政策課」「福祉課」が表示され、他部署の課の情報は表示されない。
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