企業型確定拠出年金が無い会社に転職した場合の iDeCo への移換方法

企業によっては厚生年金とは別に定年後に年金が受け取れる「企業型確定拠出年金」を積み立ててくれている場合があるが、転職や独立で次の職場に企業型確定拠出年金が無い場合は半年以内に「個人型確定拠出年金(iDeCo)」に移換する必要があるため、移換方法について紹介する。

企業型確定拠出年金が無い会社に転職した場合の iDeCo への移換方法

1.企業型確定拠出年金とは

企業型確定拠出年金とは、「企業型 DC」とも言われ、企業が掛金を毎月積み立て(拠出)し、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う制度である。

資産運用で思案している様子


企業に勤めるサラリーマンは厚生年金が毎月の給与から天引きされている。
これは定年後に年金を受け取れるようになった場合に、国民年金(基礎年金)に加えて納めてきた厚生年金分が上乗せされて年金が受け取れる仕組みになっている。

国民年金の上に厚生年金が上乗せされることから家に例えて「年金の 2 階立て構成」と言われる。

企業によっては 3 階部分に相当する積み立てを行うのが「企業型確定拠出年金」で、厚生年金と違い給与から天引きされることはない。
また、企業が負担することから企業型確定拠出年金を取り入れていない企業は多い。

企業型確定拠出年金はあくまで年金なので、積み立てている途中で退職しても受け取れるのは定年を迎えて年金を受け取れる年齢になってからである。

もし企業が「企業型確定拠出年金」を取り扱っていなくても、個人で「年金の 3 階部分」を積み立てる個人型確定拠出年金(iDeCo)が金融企業から提供されている。

2.個人型確定拠出年金(iDeCo)とは

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せされる、定年後の収入を目的とする年金制度のひとつである。
加入者が掛金を出して、自ら金融商品を選んで運用を行い、積み立てた資産は 60 歳以降に一括または分割で受け取ることができる。



資産運用のため、銀行の普通口座のように積み立てて利息だけ増やす運用や、投資のように目減りするリスクはあるものの、積み立て金を大きく増やす運用などプランを選択できるのが特徴である。

3.退職した後の企業型確定拠出年金の取り扱い

退職した後の企業型確定拠出年金の取り扱いとして、定年を迎えていれば手続きすることで受け取ることが可能である。
もし定年の場合は、転職先に企業型確定拠出年金があれば移換して継続して企業が積み立てを行ってくれる。

しかし次の転職先に企業型確定拠出年金が無い場合は、自ら積み立てる個人型確定拠出年金(iDeCo)にしなければならない。
さらに退職してから 6 ヶ月以内に移換しなければ自動的に国民年金基金連合会に移換され、加入者資格を失うので速やかに手続きする必要がある。

4.企業型確定拠出年金を個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換する方法

企業型確定拠出年金を個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換する方法としては、iDeco の取り扱いがある金融会社に口座を作成して移換する。

流れは企業が加入している企業型確定拠出年金により異なるので、ウェブサイト等で確認した上で手続きしたほうがよい。



今回は転職先に企業型 DC が無く、今までの金融会社から異なる口座に個人型確定拠出年金(iDeCo)として移換するのを想定し、手順が次の通りである。

4-1.必要な書類を用意する

企業型確定拠出年金から個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換する場合、企業型 DC の加入者番号や基礎年金番号が必要になるので、企業 DC を管理する団体から自宅に送られてくる通知書と年金手帳など年金番号がわかる書類を用意する。

4-2.取り扱い中の金融機関で流れを確認する

まず最初に企業が加入してい企業 DC の金融機関から移換方法を確認する。
例えば「三菱 UFJ 信託銀行」の場合は企業型確定拠出年金のページ(https://www.dc.tr.mufg.jp/)にアクセスする。

三菱 UFJ 信託銀行の企業型 DC のウェブサイト


ログインする下図のように現在の資産運用状況を確認することができる。

自分の企業型確定拠出年金の運用の状態

口座を変えない場合はこのまま iDeCo に移換してもよいし、他社に移換するかを決める。
企業型 DC を脱退して移換する流れはウェブサイトにもある通り、下図のようになっている。

企業型 DC を脱退して移換する流れ


4-3.iDeCo の取り扱いがある証券会社に口座を作成する

企業型確定拠出年金から個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換するためには、移換先の口座を用意する必要がある。
今回は「楽天証券(https://dc.rakuten-sec.co.jp/)」に口座を作成して移換することとする。

楽天証券の iDeCo のウェブサイトの様子


楽天証券の口座作成はオンラインで全て完結し、次の流れである。

  1. パソコンでボタン「お申込み」をクリックする
  2. メールアドレスと氏名等を入れて登録用の QR コードを表示させる
  3. スマホで QR コードを読み取る
  4. 画面指示に従い、運転免許証など顔写真付き身分証を撮影する
  5. 身分証の本人確認のため自分の写真を撮る
  6. 審査の後、ログイン ID がメールで届く

口座の申込からログイン ID が届くまでは約 2 営業日で連絡が入る。
尚、ログインに時に必要なパスワードは上記の氏名等を入力する際に一緒に申請するため、忘れないようにメモしておく必要がある。

4-4.基礎年金番号を入力する

登録しているメールアドレスに届いたログイン ID を使って楽天証券の iDeCo のウェブサイト(https://dc.rakuten-sec.co.jp/)にログインする。

ログインすると加入者情報の確認画面が表示されるので、ボタン「次へ」をクリックする。

ボタン「次へ」をクリック


お客様情報の確認が済むと下記の画面表示と同時に、登録しているメールアドレス宛てに申込用の URL や必要書類が記載されたメールが届くので、メール本文を見て必要書類を用意する。

お客様情報の入力完了画面

楽天証券口座未保有の場合はマイナンバーカードなど本人確認書類が必要になるが、前述で既に口座は作成しているので、未入力の場合は基礎年金番号がわかる年金手帳などを用意する。

メール本文中の URL にアクセスすると下図のように基礎年金番号と移換前の企業型 DC の管理団体名の選択肢が表示されるので入力して画面下部のボタン「入力内容を確認する」をクリックする。

企業型確定拠出年金の移換元の情報入力


移換の申込が終了すると下図の完了画面が表示される。

移換の申込の完了画面

4-5.審査を待つ

iDeCo への移換の申込を行うと、下図のように 2 つの審査を経て完了となる。
1 つ目は楽天証券の審査で、次いで国民年金基金連合会の審査となる。

移換の申込後の審査の様子


審査には約 3 週間ほどかかり、登録しているメールアドレス宛てに件名「確定拠出年金口座の移換手続が完了しました」と通知される。

4-6.審査の承認後に残高を確認する

iDeCo の審査の承認後に残高を確認するためには移換した口座にログインすると確認することができる。
厚生年金のように積み立てではなく資産運用のため、自分でプランを選択して運用することができる

iDeCo の残高の様子

5.個人型確定拠出年金の口座を作成する場合の注意点

個人型確定拠出年金の口座を作成する場合の注意点として、企業型と違い自分で費用を捻出して積み立てるか、掛金の拠出をしない「運用指図者」を選択する必要がある。

今回は掛金の拠出をしない方を選択したため、移換のみを行ったが、iDeCo の場合は口座の維持費として運用指図者でも毎月 66 円が口座から自動的に差し引かれる点、留意しておいたほうがよい、

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