[初回公開] 2008年02月26日
サラリーマンが会社から給与を得ながらブログの広告収入や写真や中古品の販売、そして実際に店舗で働いたり食事の配達員など実働で得た収入は会社で天引きされる社会保険料とは別に追加で所得税を支払う必要があり、追納する確定申告の方法と申告しなかった場合に発生する延滞税と無申告加算税について紹介する。

このページの目次
1.確定申告とは
確定申告とは、1 年間の所得を税務署に報告し、納めるべき税金を確定させる手続きで、主に以下のような人が対象になる。
- フリーランス・個人事業主:収入がある人は基本的に確定申告が必要
- 給与所得者(会社員):副業収入が20万円を超える場合など
- 年金受給者:一定額を超える場合
- 不動産所得がある人

企業や自治体など団体雇われて勤めるサラリーマンであれば職場が所得税の計算をして、給与支給時に収入から所得税等を差し引かれるので多くのサラリーマンは確定申告は不要である。
毎年11月から12月に雇用者が申請する年末調整は、会社が把握する各人の給与とは別に保険控除や別途給与以外に収入があった場合の総収入を計算して確定申告を代行し、総収入よりも多く所得税を納めていた場合は12月分の給与で還付する仕組みになっており、年末調整と呼ばれている。
確定申告を行う対象者は自営業など会社経営している人が主となるが、医療費を多く支払っている人は収めた税金が還ってくる場合もあるので確定申告の意味と内容について把握しておいたほうがよい。
2.確定申告の期間
確定申告が可能な期間は毎年定めれており、例年、2月中旬から4月中旬の2ヶ月間である。
前年の1月1日から12月31日までの1年間で得た収入から、所得税と復興特別所得税の額を計算して追加で税金を納めるか、反対に還付を受けるための申請を行う。
確定申告の期間内に税務署が指定する申告会場の現地に赴くか、パソコン・スマートフォンなどからインターネットを利用して申告する。
本業とは別に副業で得た収入を申告するだけでなく、収入を得るために資材を購入したり講習を受けた際にかかった費用は経費として認められることがある。
そのため、確定申告の期間以外でも日頃からレシートや領収書などをまとめて準備しておいたほうがよい。
3.確定申告の種類と方法
確定申告を行うには確定申告会場の窓口で手続きする方法とパソコンやスマートフォンなどインターネット接続できる端末で手続きする。
それぞれの申告の方法は次の通りである。
3-1.e-Tax(電子申告)
スマートフォンで確定申告を行う場合はブラウザで国税庁のサイトを開いて画面に沿って入力するか、専用のアプリをインストールして手続きを行うことができる。
申告にあたり、手元には申請に必要な源泉徴収票や副業で得た収入額がわかる書類の他、マイナンバーカードか確定申告の e-Tax 用の ID とパスワードが必要になる。
- メリット
- 自宅から申告ができる
- 還付金が早く受け取れる
- 24時間受付可能
- 必要なもの
- マイナンバーカード
- ICカードリーダー、またはスマートフォン
- e-Tax対応ソフト(国税庁の「確定申告書等作成コーナー」)
3-2.紙の申告書を提出
確定申告会場の窓口で手続きする場合は、確定申告に必要な書類は筆記用具とともに会場に用意されているので必要書類だけ持参すればよい。
ここで必要な書類とは、確定申告する前年12月に会社から配布される源泉徴収票と、副業で収入を得たことがわかる書類や銀行振込の通帳、そして追納する税金の減額に関わる経費類の領収書やレシートのことである。
もし前年に確定申告していれば、自宅または個人事業主として登録している住所に確定申告の有無に関わらず、申告に必要な書類が郵送されてくるので自宅で事前に用意することが可能になる。

確定申告には種類があり、「青色申告」と呼ばれる自営業や個人事業主のものと、それ以外の一般人が行う「白色申告」である。
申告用紙への記入は会場で行っても良いが、国税庁のサイトにダウンロード用の申告用紙が配布されているのでそれをプリントアウトして予め記入して持参すると楽である。
確定申告会場では混雑を避けるために整理券が配布されて順番に手続きを行っていく。
また、会場にもパソコンが設置されており、画面操作による確定申告も可能となってる。
人口が多い市町村での確定申告の会場ではパソコンが何百台と設置されており、数台おきにプリンタも併設されている。
会場にあるパソコンの画面は国税庁のサイトで公開されているインターネットで行う申告と変わらないが、不明点などわからなければパソコンの傍にスタッフがいるのですぐに聞くことができ、作成書類に不備があってもその場で修正できるので会場で行うメリットがある。
最後に窓口に申請書類を手渡すと、別の窓口で追納するための書類として振込用紙が手渡される。
反対に多額な医療費がかかった場合など還付される場合は振込先の口座を申請する。
- メリット
- 直接税務署で相談できる
- 提出方法
- 郵送または税務署へ持参
- 申告書は国税庁のウェブサイトからダウンロード可能
4.確定申告の流れ(ステップごとに解説)
- 必要書類を準備する
- 源泉徴収票(会社員)
- 収支内訳書(個人事業主)
- 医療費控除の領収書(必要な場合)
- 社会保険料や生命保険料の控除証明書
- 申告書を作成する
- e-Tax または紙の申告書で記入
- 税額を計算する
- 所得控除や税額控除を適用
- 申告書を提出する
- e-Tax または税務署へ提出
- 税金の納付・還付を受ける
- 指定の期日までに納税
- 還付金がある場合、銀行口座に振り込まれる
5.よくある質問と注意点
- Q. 確定申告の期限は?
- A. 例年3月15日が締め切りだが、土日祝日の場合は翌平日になる。
- Q. 申告しないとどうなる?
- A. 無申告加算税や延滞税が発生する可能性がある。
- Q. 会社員でも確定申告が必要なケースは?
- A. 副業収入が20万円を超える場合、医療費控除やふるさと納税の控除を受ける場合など。
6.確定申告が必要かどうかの基準
確定申告が必要な人はサラリーマンなど本業の収入とは別に副業などで年間 20 万円以上の収入がある場合に該当する。
本業とは別の収入には「雑所得」と呼ばれる労働や物品・資産の売買で得た収入と、「一時所得」と呼ばれる懸賞や福引、ギャンブルで得た継続性が無い収入とに分かれる。

「雑所得」は総収入額から経費を挿し引いたものが課税対象の金額となる。
例えばインターネット通販であれば売上金額(注文者から振り込まれた金額)から販売した商品の仕入れ金額を差し引いた金額が該当する。
そのため、売り上げが1年の間に 30 万円あったものの、商品の仕入れに 20 万円かかっていれば手元に残る金額は 20 万円以下となるため課税対象にならない。
また、株式の売買であれば年間通じて投資に対して株価の下落で損失になっていれば損失分を課税対象から相殺することができる。
加えて「一時所得」は懸賞金など収入が安定性が無いものが該当するが、宝くじの当選金は課税対象に含まれない。
それ以外でも最高 50 万円の特別控除があるので 50 万円以下の場合は課税対象にならない。
筆者はある年、コンテストで得た賞金が 20 万円、その他に副業としてアフィリエイトと個人的に受託した開発案件の報酬として合計 30 万円ほど本業とは別に収入があり確定申告を行ったことがある。
この場合、コンテストの賞金は継続性が無いので「一時所得」と見なされ、50 万円以下で課税対象にはならなかったが、副業で得た収入の方が課税対象となり 1,000 円強の所得税の追納となった。
このように収入内容によっては課税対象から外れて追納額が減る場合があるので、給与以外の収入をそのまま申告すると余分に所得税を納めることになるので、不明点があれば会場窓口で聞くようにしたほうがよい。
7.注意しなけれならない副業と副収入
サラリーマンが副業したり、不動産や株式などの売買で得た副収入は確定申告する必要があり、その一例が下表である。
項目 | 課税対象 | 補足 |
---|---|---|
せどり・転売 | 雑所得 | ヤフオクやメルカリなど個人間で商品を売買して年間 20 万円以上の利益があると課税対象になる。 販売する商品のレシートや領収書があると経費として認められることがある。 |
飲食配達サービス | 雑所得 | ウーバーイーツなど飲食物の配達で年間 20 万円以上の利益があると課税対象となる。 バイクなど燃料費、自転車など配達に利用する物品を購入した場合は経費として認められることがある。 |
アフィリエイト | 雑所得 | 運営するウェブサイトを介して得られる収益が年間 20 万円以上の利益で課税対象となる。 サーバやドメイン利用料は経費として認められる。 |
株の売買 | 譲渡所得・配当所得 | 売買に利用している取引口座に源泉徴収がある場合は確定申告は不要だが、源泉徴収が無い口座は年間 20 万円以上の利益で課税対象となる。 年間の投資に対して損失が出ていなければ確定申告の必要は無い。 |
FX・先物 | 雑所得 | 為替取引により年間 20 万円以上の利益が出ていれば申告が必要である。 |
仮想通貨 | 雑所得 | 売却時の利益だけでなく仮想通貨として交換したものも課税対象となる。 |
不動産(土地売買) | 譲渡所得 | 土地を売買した際の収入額を申告する必要がある。 |
不動産(家賃収入) | 不動産所得 | アパートや駐車場の賃貸で年間 20 万円以上の場合に課税対象になる。 |
保険 | 一時所得 | 生命保険など積み立て型の保険を解約したり満期で利益があった場合に課税対象となる。 |
8.延滞税と無申告加算税の額
年間を通して 20 万円以上の利益や収入がありながらも確定申告を行わなかった場合は、税務署から指摘が入り延滞税と無申告加算税が徴収される。
下表は本来支払わなければいけない所得税に加え、延滞税と無申告加算税の例である。
項目 | 滞納期間 | 徴収額 |
---|---|---|
飲食配達サービスで年間 100 万円の副収入があった場合 | 1 年半滞納 | 約 14 万円 |
株の売買で 50 万円の利益があった場合 | 1 年半滞納 | 約 7.5 万円 |
家賃収入で月 15 万円の収入があった場合 | 2 年滞納 | 約 140 万円 |
上表のように、年間の利益が多いほど追納額が増え、滞納期間が長いと罰則としてさらに追納額が増えるので副業や不動産の売買など収入に心当たりがあれば課税対象になるか国税庁や確定申告のウェブサイト等で調べ、必要に応じて確定申告が必要である。
9.まとめ
確定申告は、正しい手順で進めれば難しくない。
特に e-Tax を活用すれば、スムーズに手続きが完了するため、期限を守り、早めに準備を進めるとよい。
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