【今から対策する】Cookie 利用の廃止によるアドセンスへの影響と対策


[初回公開] 2022年02月25日

Google が提供するブラウザ「Google Chrome」でサードパーティークッキー(Cookie)の利用を2024年第 1 四半期(1~3月)に無効化するにあたり、ウェブサイトの運営側としてはサイトを見る利用者の情報が取得しづらくなるとともに、Google がサービス提供しているアドセンスへの影響について紹介する。

【今から対策する】Cookie 利用の廃止によるアドセンスへの影響

1.Cookie 廃止の背景

ウェブサイトとブラウザの間では Cookie と呼ばれるファイルを利用して閲覧回数やどのページを参照したかなど利用者の情報を保持することができる。
最近では Cookie を利用して閲覧者に合った広告が表示される点がプライバシー保護の観点から問題視され、Google のブラウザ「Cherome」では2024年第 1 四半期(1~3月)に Cookie の利用を廃止すると発表されている。
(当初は 2023 年後半に Cookie の利用を廃止すると発表されていたが延期されている。)



Cookie には 2 種類の利用があり、ブラウザとウェブサイト間でのみ情報がやり取りできる「ファーストパーティークッキー」と、複数のウェブサイトが 1 つの Cookie を共有して利用できる「サードパーティークッキー」がある。
今回、廃止の動きがあるのは後者の「サードパーティークッキー」の方となっている。

尚、Apple 社が提供する Safari ブラウザでは既に 2020 年 03 月よりサードパーティークッキーを完全にブロックしている。

2.サードパーティークッキーとは

サードパーティークッキーとは、利用者が利用しているブラウザ内にある Cookie ファイルを複数のウェブサイトで共有して利用できるものである。

これは主に広告配信で利用されており、ドメインが異なるウェブサイトを閲覧した情報を Cookie に保持することでどのウェブサイトでも利用者に合った広告が表示できる。

例えばスポーツ関連のブログ記事やネットショッピングでスポーツ用品を参照したことが Cookie に保存され、他のニュースサイトやウェブサイトを表示した際、スポーツ関連の広告が優先的に表示するように利用されている。

3.サードパーティークッキーのブロックによる懸念点

サードパーティークッキーのブロックはインターネット上の広告主や EC サイトを運営している企業側への影響が大きい。
その懸念点としてはウェブサイトを横断して得られていた利用者の属性情報が取れなくなるため、購買・購読意思の低い利用者にも自社の広告が表示されることが多くなり、成約(コンバージョン)率が低くなる。



そのため、広告の費用対効果が低くなるので、広告主(スポンサー)が広告を出し控えると考えられる。
広告主からの収益が減ると広告配信が収益源となっている検索サイトの Google などの収益も減ることになり、広告を掲載しているアドセンス利用者への報酬単価の減少にも波及する。

延いては、副業またはウェブサイトの広告収入で利益を得ている個人や企業にも影響が出てくる。

4.サードパーティークッキーのブロックでも安心できる点

サードパーティークッキーのブロックが開始されても、広告主とアドセンスを利用している副業者でも安心できる点がある。
Google アドセンスの広告形態には広告を配置した前後の文章から適切な広告を表示するインフィード広告があるため、Cookie の情報を頼らなくてもコンテンツの内容に近い広告を表示することができる。

ただし、インフィード広告は文章が少ないサイドバーへの配置は非推奨となっているため、サイドバーの広告は衰退すると考えられる。

5.サードパーティークッキーのブロックによる今後

サードパーティークッキーのブロックにより今後考えられる点としては、広告主においてはウェブサイトへの出稿よりも YouTube や TikTok といった動画アプリや Twitter など SNS アプリへの広告費が増えると想像される。

これは、アプリを利用している人の情報を Cookie を利用せずにアプリ自体の機能として収集するためである。
例えば、利用者がペット関連の動画視聴が多い場合は、アプリ運営側で傾向を判断してペット関連の広告を出すといった、その人にあった広告を表示することができるからである。



ただ、動画アプリへの広告の出稿は動画で求められることがあり、静止画像の広告に比べて CM 作成費が高くなるため広告をどのアプリに出すかは広告主となる各企業の懸念材料にもなっている。

6.アドセンスを利用する広告掲載者の取るべき対策

以上より、Google アドセンスなど広告を自身のウェブサイトやブログに掲載して収益を得ている管理者もサードパーティークッキーのブロックによる収益減少が考えられるが、今から取っておいたほうがよい対策が 2 つある。

まず 1 つ目が、広告を配置したコンテンツまたは前後の文脈から判断して広告が表示される、アドセンスのインフィード広告のようなタイプに切り替えることである。

現時点で広告を配置している場所がウェブサイトのヘッダーやフッター、サイドバーが主であれば本文があるコンテンツ内に組み込むことでインフィード広告の効果が発揮できる。

もう 1 つはアドセンスのように広告クリック型ではなく、ASP と呼ばれる商品購入や会員登録で報酬が得れる従来のアフィリエイトに切り替えることである。



ASP の広告は Cookie を利用せずに定型の文章または画像をウェブサイト内に埋め込むため、今回のサードパーティークッキーのブロックの影響はほぼ受けないためである。

ただし、ASP の機能として Cookie を使って広告の表示回数を集計している場合は、正常にカウントされない、もしくは表示回数を把握する手段が無くなる可能性がある。

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