【初心者でも使える】統合開発環境(IDE)の NetBeans の特徴と使い方


[初回公開] 2010年05月12日

これから IT 業界に入ろうとする人や興味がある人から「プログラムを始めるには何が必要か?」と聞かれることが多く、プログラムだけでなくデータベースの操作などもできる統合開発環境(IDE)を勧めることがあるが、その中で NetBeans の特徴と基本的な使い方について紹介する。

【初心者でも使える】統合開発環境(IDE)の NetBeans の特徴と使い方

1.ソフトウェアやアプリ開発に必要な物

ソフトウェアやアプリ開発に必要な物としては、プログラムをキーボードで入力することができるテキストエディタがあればよい。
ウェブサイトを構成する HTML や JavaScript、サーバ上で動作する PHP や Python といったスクリプト言語はテキストファイルとなっており、Windows に標準でインストールされているメモ帳でも開いて編集することが可能である。



また、Windows 用のソフトウェアや Android や iPhone 向けのアプリはプログラムファイルのままでは動作しないためアプリファイル化する対応ソフトウェアで開発する必要がある。

プログラムだけでなくサーバにアップロードしたり、各 OS 向けのアプリファイルに変換するソフトウェアを統合開発環境(IDE)と呼んでいる。

2.統合開発環境(IDE)とは

統合開発環境(IDE)とは、アプリケーション開発のためのソフトウェアである。
プログラムを行う他、アプリ開発の効率化を図ることができる次の機能が搭載されている。

  • ソースコードエディター – プログラムを入力する機能。テキストエディタに比べて各プログラム言語の入力支援や文法チェックを行うことができる。
  • ローカルビルド – ソースコードをバイナリーコードにコンパイルする機能。Windows やスマホアプリで利用する。
  • デバッガー – プログラムのテストを実行し、ソースコードのバグの場所を表示する機能。
  • アップロード – サーバに FTP や SCP でアップロードする機能。
  • データベース管理 – データベースを操作する SQL を実行する機能。プログラムが意図した動きでデータベースを操作しているか確認に利用する。

統合開発環境(IDE)はプログラム言語ごとに無料で利用できるとともに、1 つの IDE で複数のプログラム言語に対応している場合がある。

その中で Java と PHP、そして Python に対応している NetBeans の概要が次の通りである。

3.NetBeans とは

NetBeans とは、Java で動作するプログラムの総合開発環境(IDE:Integrated Development Environment)である。
プラグインによる拡張機能が搭載されているため、開発したいアプリケーションに応じてカスタマイズができる。

Netbeans の起動中の様子


NetBeans はウェブサーバの「Apache」を代表格に持つ Apache ソフトウェア財団から提供されている。
オープンソースのソフトウェアプロジェクトを支援する非営利の財団法人であるため、NetBeans も無料で利用することができる。

4.NetBeans の特徴

NetBeans の特徴としては、 Java の開発環境を主軸に、現在では PHP や C、C++ といった多くのプログラミング言語に対応している。

過去は Java だけが開発できるバージョン、PHP だけ開発できるバージョンに分かれていたが、現在は 1 つの NetBenas で多くのプログラムに対応している。

以前の NetBeans は下図のように対応したプログラム言語ごとにバージョンが分かれており、例えば PHP の開発だけ行いたい場合は下表の右端のバージョンをダウンロードして利用していた。

過去の Netbeans 比較表

NetBeans でプログラムを行うと、プログラムの記載に間違いがあるとマーカーで知らせてくれたり、各プログラムで用意されている関数やクラスは色別されるなどプログラムの効率が上がる機能が搭載されている。

プログラムの関数が色分けされた様子

また、NetBeans をインストールしたパソコン上で簡易的なウェブサーバを起動することができるため、実際にプログラムしたものをその場で動作確認することが可能である。

これによりプログラムの記述ミスなどで不具合があれば、問題のある行を色付きで通知され、効率良くプログラム開発することができる。

加えて、postgreSQL や MySQL などサーバにあるデータベースに直接接続して SQL で操作することができるとともに、SELECT 文で取得したデータが表示できるなどデータべース操作も可能になっている。

5.NetBeans の基本的な使い方

NetBeans の使い方としては、主に「プログラムのコーディング」であるが、その場でプログラムを実行させたり、サーバの接続情報を予め入力しておけば、直接サーバに設置することもできる。

プログラムやサーバの情報などはプロジェクトと呼ばれる単位で管理される。

5-1.プロジェクトを作成する

NetBeans でプログラムを始める際は、最初にプロジェクトを作成する。
プロジェクトとは、利用するプログラム言語を指定するとともに、動作確認のためどのウェブサーバを利用するかなど初期設定を行うことができる。

下図は NetBeans でプロジェクトを新規作成しようとしているところとなり、Java や PHP など言語選択している様子である。

NetBeans でプロジェクトを作成


また、Wordpress や EC-CUBE などオープンソースとして配布されているプログラム群を既に持っているなら、プロジェクトの場所を指定する際にそのプログラム群がある場所を選択すると自動的に読み込んですぐに開発に着手できるようになる。

5-2.プログラムを記述する

NetBeans でプロジェクトを作成すると下図ように右側にプログラムを入力できるウィンドウが表示される。
左側にはツリー状でファイルが一覧表示され、これは既にプログラムを階層別に用意したもので、既に書き終えたプログラムを修正したい場合など、すぐに開けるようになっている。

NetBeans でのプログラムの様子

5-3.プログラムを実行する

コーディングしたプログラムを実際に動かしたい場合は、NetBeans の上部メニューにある緑色の三角形をクリックすると実行される。

NetBeans でプログラムを実行する

PHP などウェブサーバ上で動作するプログラムの場合は予めローカル上でウェブサーバが動作するように準備しておく必要があり、NetBeans では Apache が利用できるようになっている。

ウェブサーバの設定が終わった状態でプログラムを実行すると Apache が起動し、ブラウザにプログラムの実行内容が表示される。

また、NetBeans にはブレイクと呼ばれる予めプログラムを止めたい場所を指定することができるため、プログラムを実行して任意の場所で動作を止めることができる。

これにより分岐処理でどのルートに入ったのかや、各所でどのような変数やパラメータが入っているかを随時確認するのに役立つ。

6.NetBeans のバージョンの違い

過去の NetBeans はオラクル社により開発及び提供されていたが、2016 年に Apache ソフトウェア財団への寄贈されている。
前述の通り、過去の NetBenas との違いは各プログラム言語ごとにバージョンが異なっていたが、現在は 1 つに統合されている以外は大きく機能が変わった点は無い。

過去の NetBeans 日本語版のサイト


また、過去の NetBeans は日本語版が独自に配布されていたが、現在は廃止されており NetBeans の入手先は公式サイトのみとなっている。

7.NetBeans の総評

NetBeans の総評としては、プログラムしたものをすぐに動作確認したり、デバッグしたい場合に重宝するためアプリケーション開発者には欠かせないツールである。

しかし、もしプログラムの実行が実際のサーバでしか動作しない場合はプログラムを別途サーバにアップロードする必要があり、その場合はデバッグ機能も使えないので NetBenas はプログラムを行うだけのツールとなる。

プログラムを行うだけであれば各プログラム言語に対応した動作の早いテキストエディタがあるので、用途に応じて使い分けるとよい。

便利だと感じる点が 2 点あり、1 点目はサーバにすぐアップロードできる点である。
プロジェクトごとに FTP または SFTP の先を登録できるので、NetBenas の左側に表示されるプロジェクトからアップロードしたいファイルの右クリックで即座にサーバへ転送でき、作業効率が格段に上がる。

また、2 点目の利点としてデータベースの操作が直接行えることで、実際のプログラムとは関係ないがプログラムの動作確認のためのテストデータの挿入や、プログラム内で利用する SQL 文を事前に NetBeans の画面で実行してどのような値が取得できるかなど確認できる点が便利である。

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