[初回公開] 2019年02月22日
Windows10 のサポートが2025年10月14日に迎えるにあたり、多くの企業や団体では Windows11 への切り替えが開始または検討されているが、Windows10 から Windows11 にアップグレードする際に Windows10 が 32bit 版の場合は一度 64bit 版に変更する必要があるため、Windows OS を 32bit から 64bit にする方法を紹介する。
このページの目次
1.Windows OS の 32bit 版と 64bit 版の違い
Windows OS の 32bit 版と 64bit 版の違いは、パソコンに搭載できるメモリとストレージの上限である。
メモリの場合、32bit 版であれば最大で約 3GB ほどだが、64bit 版になると 4GB 以上を搭載して利用することができる。
また、ストレージに関しては 32bit 版は最大で 2TB までだが、64bit 版になると 4TB 以上のサイズを取り扱うことができる。
そのため、32bit 版の Windows OS にメモリを 4GB 以上搭載することはできても約 3GB 程度しか認識できないためハードウェアを有効に利用することができない。
反面、64bit 版にするデメリットもあり、例えば動作に必要なメモリが 32bit 版は 1GB 以上であるのに対し、64bit 版は 2GB 以上必要となり、求められるスペックも高くなる。
2.Windows11 で廃止された 32bit 版
Windows10 までは 32bit 版と 64bit 版が存在していたが、Windows11 では 32bit 版が存在しない。
これは Windows11 が動作するのに必要なメモリ量が最低 4GB となっており、約 3GB ほどしか認識できない 32bit 版では必要動作条件を満たさないため、事実上、Windows11 から 32bit 版が廃止されたことになる。
3.Windows10 の 32bit から Windows11 にアップグレードする場合の注意点
Windows10 の 32bit から Windows11 にアップグレードする場合の注意点としては、前述の通り 32bit 版の Windows11 が存在しないため、一度 Windows10 を 64bit 版に変更する必要がある。
また、Windows11 が動作するために必要なスペックはメモリが 4GB 以上の他に CPU が 1GHz 以上、ストレージは 64GB 以上となるため、ハードウェアをスペックアップしておく点も注意が必要である。
4.Windows OS を 32bit 版 から 64bit 版にする方法
Windows OS を 32bit 版 から 64bit 版にする方法としては、Windows のサイトから 64bit 版のインストーラーを入手して、32bit 版のパソコンをクリーンインストールする。
4-1.パソコンが 64bit版 に対応しているか確認する
32bit 版から 64bit 版に変更するためにはまず利用しているパソコンが 64bit版 に対応しているか確認する。
64bit に対応しているかを確認するためには「コントロールパネル -> システム -> バージョン情報」の順にクリックする。
「バージョン情報」を選択して表示される画面では上図のように「システムの種類」が「32 ビットオペレーティングシステム、x64 ベースプロセッサ」と表示されていれば 64bit 版に対応していることを示している。
また、パソコンに搭載している CPU の製造元のサイトの情報から 64bit 版に対応しているか確認することができる。
今回 32bit 版から 64bit 版に再インストールするパソコンの CPU は「インテル Core2 Duo プロセッサ P8400 (3MB L2キャッシュ、2.26 GHz、1066MHz)」を利用している。
インテルの公式サイトの仕様一覧にある「命令セット」が 64bit と記載されていれば 64bit 版に対応している。
-> インテル Core2 Duo プロセッサー P8400
4-2.Windows10 のメディア作成ツールをダウンロードする
次に 64bit 版の Windows10 をインストールするファイル(ディスクイメージ)を入手する。
今回は 32bit 版の Windows10 で「メディア作成ツール」を起動して 64bit 版のインストーラーを入手する。
もし Windows10 より古い OS から 64bit 版にする場合は Windows10 の OS を購入する必要がある。
「メディア作成ツール」には 2 つの利用方法があり、既にインストールしたソフトウェアや保存しているファイル類も引き継いだまま Windows 7 から Windows10 にアップグレードする場合と、必要最低限のソフトウェアだけが用意されている Windows10 へクリーンインストールする場合である。
32bit から 64bit にする場合は 64bit 環境で動作しないソフトウェアがあるため、後者のクリーンインストールで Windows10 を用意する。
Windows の「メディア作成ツール」は下記の Microsoft のサイトからダウンロードする。
-> Windows10 のディスク イメージ (ISO ファイル) のダウンロード – Microsoft
4-3.Windows OS の 64bit 版のディスクイメージを作成する
ダウンロードした「メディア作成ツール」のファイルをダブルクリックして起動させると、下図のように「言語」、「エディション」、「アーキテクチャ」を選択する画面が表示される。
画面が表示した直後は言語などを変更することができないが、画面下部にある「この PC におすすめのオプションを使う」のチェックを外すと選択肢を変更することができる。
チェックを外した後は「言語」は日本語、「エディション」は Windows10、「アーキテクチャ」は 64 ビット (x64) を選択してボタン「次へ」をクリックする。
ボタン「次へ」をクリックするとインストールディスクを保存するメディアを選択する画面が表示される。
一般的に OS 上で動作するソフトウェアやアプリをインストールする場合はインストーラーをダブルクリックして起動させるが、OS 自体をインストールする場合はダブルクリックなどの操作ができないため USB メモリや DVD といった外部記憶メディアが必要となる。
最近では OS のインストールは USB メモリが用いられることが多く、家電量販店などでも入手しやすいことから USB メモリを利用することとし、この画面では「USB フラッシュドライブ」を選択する。
もし今回用意する Windows OS のインストーラーを何度も利用したり、OS のディスクイメージを DVD に長期的に保存したい場合は「ISO ファイル」を選択するとよい。
「USB フラッシュドライブ」か「ISO ファイル」を選択してボタン「次へ」をクリックすると、「メディア作成ツール」がパソコン内の必要な情報を自動的に解析・収集してインストール用のディスクイメージを生成してくれる。
USB メモリにインストール用のディスクイメージが入った後はそのままインストールの作業に移るので USB メモリをパソコンに挿したままにしておく。
4-4.Windows OS の 64bit 版でクリーンインストールする
次に Windows OS の 64bit 版でクリーンインストールするために、パソコンの電源を入れた時にシステムデータを一番最初に読み込む先を BIOS(バイオス)で指定する。
通常はパソコン本体に搭載されているハードディスクや SSD に保存されている OS のデータを最初に読み込むようになっているが、クリーンインストールするためには「メディア作成ツール」で作成した OS のディスクイメージを最初に見込ませたいため、電源を入れた直後の読み込み先を変更する。
BIOS の表示方法はパソコンメーカーにより若干方法が異なっているが、ほとんどのメーカーでは電源ボタンを押した後に表示されるパソコンメーカーのロゴの画面または Windows マークが出る前に Esc や F1、F10 などファンクションキーを押す方法が採用されている。
上図は HP のノートパソコンで BIOS の画面を表示した様子である。
BIOS に表示される項目もメーカーにより異なり、今回は計 5 つの項目の中から「Boot Device Option」を選択する。
選択方法は画面に表示されており、上下キーでカーソルを移動させた後にエンターキーを押す方法の他、上図のように F9 キーで直接メニューを指定する方法がある。
「Boot Device Option」を選択すると上図のように CD/DVD ドライブやハードディスクなど電源を入れた後にデータを読み込む候補が一覧で表示される。
通常は HDD や SSD が設定されているので Notebook Hard Drive が選択されている状態だが、クリーンインストールするために USB メモリに入れたデータを利用するために「I-O DATAUSB Flash Disk 1100」を選択して Enter キーを押す。
今回利用した USB メモリは IO データ製だったため「I-O DATAUSB Flash Disk 1100」を指定したが、これは利用する USB メモリにより異なるので適宜読み替えて選択する。
データの読み込み先を BIOS で指定した後は BIOS の最初の画面に戻るため、エンターキーを押すと USB メモリ内のデータを読み込まれ 、下図のようにWindows の OS の種類を選択する画面が表示される。
選択肢に Windows Home の他に Education と Pro を選択してインストールすることもできるが、元々使っていた OS が Home であれば Home を選択する。
ここで HOme から Pro にアップグレードして OS をインストールすることも可能だが、インストールした後のライセンス認証で元の OS のエディションと異なるのでライセンス認証が失敗するので、元々利用していた OS のエディションと同じにしなければならない。
ライセンス認証に失敗する理由としては、Windows OS のライセンスは大きくこの 3 種類に分けられ、それぞれライセンスの料金が異なっているためである。
4-5.クリーンインストール後に 64bit になったか確認する
インストールする Windows のエディションを選択するとインストールが開始される。
Windows のクリーンインストールが終了し、32bit から 64bit に変更されたか確認するために画面左下の Windows マークを右クリックして「システム -> システムの種類」に「64 ビットオペレーティングシステム、x64 ベースプロセッサ」と表示されているのが確認できれば 64bit で動作していることになる。
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