[初回公開] 2013年01月11日
自宅でインターネットに接続するためにプロバイダの情報を光回線の終端装置である ONU や無線 LAN ルーターに設定するのが一般的だが、ネットワーク機器が故障した場合の代替え手段として、ネットワーク機器ではなくパソコンから直接インターネット接続する PPPoE の設定方法について紹介する。

このページの目次
1.PPPoE とは
PPPoE(PPP over Ethernet)とは電話回線を利用してインターネット接続する方式のことで、別名としてダイヤルアップと呼ばれることがある。
本来、音声通話で利用する電話回線で、データ通信も行えるように PPPoE にて信号を変換して通信が行われる。
例えば NTT の光回線の「フレッツ」の場合は終端装置となる ONU にプロバイダから提供されるインターネット接続に必要なユーザー ID とパスワードを入力することでインターネット接続する。
この時、ONU が PPPoE を利用して電話回線に接続が行われる。
最近のように ONU やルーターが一般向けに手に入らなかった時代は、パソコンにモデムと呼ばれる電話回線のアナログ信号を、パソコンなどのデバイスが理解できるデジタル信号に置き換える機能と、電話回線用のモジュラージャックが搭載されており、インターネット接続時には毎回 PPPoE を利用していた。
2.パソコンから直接インターネット接続する利点
最近ではインターネット接続するために必要なプロバイダの情報を ONU や無線 LAN ルーターに設定して常時インターネットに接続しているのが一般的だが、パソコンから直接インターネット接続する利点が 2 つ挙げられる。
1 つ目の利点は、プロバイダ情報の漏洩防止である。
プロバイダ情報は契約者個々に付与されており、プロバイダ事業者によってはインターネット接続情報以外にメールや契約変更を行うためのウェブサイトのログインなど個人情報に関わるサービスにも利用されていることがあり、プロバイダ情報の流出は個人情報の漏洩にもつながる。
また、インターネット上で爆破予告など犯罪につながる書き込みや脅迫行為を行った場合は、プロバイダ情報を元に捜査されるのでプロバイダ情報が第三者に渡り悪用されると身に覚えがない容疑をかけられる恐れがある。
ONU は通信業者からのレンタル品となり、サービス終了や故障による機器交換ではプロバイダ情報が入った状態でそのまま ONU を回収されてしまうので、回収先でプロバイダ情報が漏れることを想定しなければならない。
また、無線 LAN ルーターにプロバイダ情報を設定したときも同様で、譲渡や中古取り扱い店への買取、廃棄によりプロバイダ情報が第三者に渡る可能性がある。
パソコンから直接インターネット接続する 2 つ目の利点は、パソコンと電話回線があればどこからでもインターネット接続できる点である。
PPPoE はパソコン内に設定して、インターネット接続したいときに手動で接続を行うため、パソコンと終端装置につながった電話回線があればどこからでもインターネットに接続することができるので、場所を選ばない利点がある。
3.パソコンにプロバイダ情報を設定して PPPoE で接続する方法
パソコンにプロバイダ情報を設定して PPPoE で接続する方法としては、プロバイダとの契約時に提供されるユーザ ID とパスワードをパソコンに設定し、その接続情報でインターネットにつなげるだけである。
実際に Windows パソコンで PPPoE の設定を行い、インターネット接続する様子が次の通りである。
3-1.Windows へプロバイダ情報(PPPoE)を設定する
Windows へプロバイダ情報(PPPoE)の設定する方法はネットワークの設定画面から行うため、最初にデスクトップの左下にあるウィンドウズマークを右クリックし、「設定」をクリックする。
「設定」が一覧に無い場合は、「検索」を開いて『設定』と入力して探すと設定画面が表示される。

次にウィンドウ「設定」の中より「ネットワークとインターネット」を選択し、左メニュー内の「ダイヤルアップ」をクリックする。

ダイヤルアップの設定画面が表示した後は、その画面中にある「新しい接続を設定する」を選択する。
既に PPPoE の接続が入った状態であれば下図のようにリンク「新しい接続を設定する」の上に設定した接続名が表示される。

「新しい接続を設定する」を選択すると新たにウィンドウ「接続またはネットワークのセットアップ」が表示される。
いくつかある項目の中から「インターネットに接続します」を選択し、ボタン「次へ」をクリックする。

次に表示される画面では「新しい接続をセットアップします」をクリックする。

既に PPPoE の設定が入っている場合は下図のように既存の接続を利用するか問われるため、改めて「いいえ、新しい接続を作成します」を選択してボタン「次へ」をクリックする。

次のどのような方法で接続するかの問いの画面では「ブロードバンド(PPPoE)」を選択する。

ここから具体的にプロバイダの情報を入力することとなり、プロバイダから提供されているユーザ名、パスワードを入力してボタン「接続」をクリックする。
下図のプロバイダ情報の入力で接続名は任意の文字列でよいため、自身がわかりやすい名称を付けるとよい。

ボタン「接続」をクリックした後は、再びユーザ名とパスワードを入力する必要が無く、任意で付けた接続名をクリックするだけで PPPoE が開始されてインターネット接続できるようになる。
3-2.パソコンからインターネット接続(PPPoE)する
プロバイダ情報を入れて PPPoE できるようになれば、手動でインターネットに接続することができる。
PPPoE の設定時と同じく左下のウィンドウズマークを右クリックし、「設定 -> ネットワークとインターネット -> ダイヤルアップ」の画面まで進めると、設定登録した PPPoE の接続名があるのでその接続名をクリックする。

接続名をクリックするとボタン「接続」の他、内容を変更するボタン「詳細オプション」等が表示される。
ここでボタン「接続」をクリックするとインターネットへの接続を開始する。

PPPoE でインターネット接続が完了するとタスクバー右下のネットワークのアイコンがパソコンマークに変わる。

また、PPPoE を終了する場合は上図のように同じくダイヤルアップの画面でボタン「切断」をクリックすると終了する。
このように、ONU や無線ルーターは電源ケーブルをコンセントに挿して電源が入ると同時に PPPoE が開始して自動的にインターネット接続するのに対して、パソコンの場合はインターネット接続したい時だけ手動で接続し、終了時も意図的に切断することができる特徴がある。
関連記事
【付箋の紛失防止】デスクトップに消えない付箋や ToDo リストを作成する方法
職場でパソコンのディスプレイ周辺に付箋紙や ToDo リストを貼りつけてタスク管理する人は少なくないが、付箋の数が増えると粘着力が弱まったり、風で飛んでしまい紛失のリスクが高まるので、パソコンのデスクトップ画面…
パソコンで再生できない DVD をファイナライズして作り直す方法
HDD/DVD レコーダーで録画したテレビ番組は DVD にダビングして保管することができるが、その DVD をパソコンや別の DVD プレイヤーで再生しようとするとディスクが認識しない事象が発生することがあるため、ソフトウ…
ウィルス対策ソフト Norton(ノートン)のバージョンの違いと更新方法
日頃、SNS や動画再生などインターネットに接続して利用しているパソコンやスマホは、常に情報漏洩につながるウィルスやマルウェアの感染につながる脅威に晒されており、その脅威からデータを守るためにセキュリティ対…