[初回公開] 2021年03月03日
PDF は Word や Powerpoint など元となるファイルを異なる機器でも閲覧したり、編集できないようにするファイル形式だが、反対に PDF にする前のファイルを紛失するなどして元の Word や Powerpoint のファイルに変換したい場合の方法と変換時の注意点について紹介する。
このページの目次
1.PDF とは
PDF(Portable Document Format)とは、アドビシステムズが開発した文書ファイルの形式である。
Word や Excel など Office 製品で作成したデータファイルや複合機でスキャンした書類を PDF にすることで、さまざまな OS や電子端末で閲覧することが可能になる。
PDF を表示するためには Adobe Acrobat Reader を始め、さまざまなソフトウェアが用意されている。
また、ブラウザの Google Chrome でも PDF を表示する機能が搭載されている。
2.PDF が編集できない理由
PDF が編集できない理由は、元の文書の体裁を保つためにレイアウトやフォントなどの情報を含んでいるためである。
そのため、通常のテキストエディタや Word など文字列を取り扱うことができるソフトウェアでは、PDF を直接編集することができない。
ただし、PDF 内の文字列はマウスでドラッグして選択することでコピーして利用することができるが、複合機でスキャンした PDF は画像化されているため文字を取り出すことはできない。
3.PDF から Word や Excel に変換する方法
一般的には PDF を編集することはできないが、PDF から Word や Excel に変換することも可能である。
PDF にする前のファイルを紛失したり、PDF の内容を編集して再利用したい場合などに活用される。
3-1.Adobe Acrobat Pro DC を利用する
Adobe Acrobat Pro DC は、Microsoft の Word、Excel、PowerPoint などから PDF に変換する場合に用いられることが多いが、反対に元のデータに変換することもできる。
Adobe Acrobat Pro DC を利用して PDF から Word にする方法は次の通りである。
- Acrobat で PDF を開く。
- 右側のパネルで、「PDF を書き出し」ツールをクリックする。
- 書き出し形式を「Microsoft Word」を選択する。
- ボタン「書き出し」をクリックして保存する。
ただし、Acrobat Pro DC は有料であるため、購入する必要がある。
3-2.オンライン PDF 変換ツールを利用する
PDF を Word に変換したい場合に無償で提供されている「Adobe Acrobat オンラインサービス」を利用する方法がある。
ブラウザから「Adobe Acrobat オンラインサービス」を表示して PDF ファイルをドラッグ&ドロップするだけで利用できる。
まず最初にインターネットに接続できるパソコンで「Adobe Acrobat オンラインサービス」にアクセスする。
-> Adobe Acrobat オンラインサービス
次に画面内に表示されるボタン「ファイルを選択」をクリックして PDF ファイルを選択すると自動的にオンラインサービスに送信されて変換可能なファイルかチェック動作に入る。
送信した PDF が問題無く Word に変換できるファイルであれば下図のように「ファイルの準備ができました」と表示されると同時にボタン「ダウンロード」も表示される。
そこでボタン「ダウンロード」をクリックすると Word に変換されたファイルをダウンロードすることができる。
変換された Word ファイルをダウンロードすると完了画面とともに、次に変換できるまでの時間が表示される。
3-3.OCR ソフトウェアを利用する
複合機などでスキャンした PDF は Word などに変換しても文字列を取り出すことができない。
しかし、OCR(Optical Character Recognition)ソフトウェアで文字認識させてデータ化することで編集可能なフォーマットに変換することができる。
ただし、OCR ソフトウェアには誤認識や書式(レイアウト)崩れが起こりやすいので、あくまで文字列の抽出用に利用するとよい。
4.PDF から Word や Excel に変換する場合の注意点
PDF から Word や Excel に変換する場合の注意点としてオンラインサービスを利用する上で気を付けることなど次の 4 点が挙げられる。
4-1.変換するファイルの重要度に注意する
「Adobe Acrobat オンラインサービス」で PDF から Word に変換する場合は PDF ファイルをインターネットを介して外部に送信されることである。
「Adobe Acrobat オンラインサービス」は SSL を用いた暗号化された通信で行われているのに加えて Adobe 公式のサービスではるが、企業が提供するサービスであるため情報漏洩のリスクがある点は考慮すべきである。
そのため、重要な内容が記載された PDF をオンライン上で Word に変換するのは情報漏洩の観点から避けたほうがよく、重要情報が無い PDF で利用するのが推奨される。
特に個人情報が記載された PDF の場合は個人情報保護法により外部に送信したことと見なされるため Word に変換する前に個人情報が無いかの確認は怠らないようにしなければならない。
4-2.オンラインで変換する先に注意する
「Adobe Acrobat オンラインサービス」はインターネット上に公開されているサイトで、誰でもアクセスできる環境があるが故に、デザインを模倣したサイト(フィッシングサイト)であっても見分けがつなかい場合がある。
もし間違って模倣されたサイトにアクセスして Word 変換のため PDF を送信してしまうと、ほぼ確実に PDF の中身を見られて情報漏洩につながると考えておいたほうがよい。
いると判断しておいたほうがよく、その PDF に重要な情報が記載されていれば悪用は免れないだろう。
これを防ぐ方法としては「Adobe Acrobat オンラインサービス」にアクセスした際にブラウザの URL を確認してホスト名が adobe.com でなければ公式サイトではないので何もせずにブラウザまたはタブを閉じるのがよい。
4-3.変換できる回数に注意する
無償で利用できる「Adobe Acrobat オンラインサービス」は Word に変換できる回数が 1 日 1 回と決められている。
そのため、PDF から Word にしたいファイルが複数ある場合や、変換したい PDF ファイルを間違ってアップロードしてしまった場合は、次に変換できるのが 24 時間後になる。
そのため変換してダウンロードするまでの操作を間違えないようにしたり、変換するファイルの優先度は計画的に行う必要がある。
4-4.完全に元の状態にならないことに注意する
Word や Powerpoint から PDF に変換した場合は、文字列などは元のファイルの情報を保持しているものの、PDF 後のファイルは軽量化されて自由に編集できないことが前提となっている。
そのため、Word に変換しても完全に元の Word の状態になるわけではないので注意が必要である。
特に表組みや図形の配置などはズレが生じるため、Word に変換して再利用したい場合は、変換後の Word を修正するか、場合によっては元の PDF を見ながらゼロから Word で作り直した方が早い場合があるので Word 変換する目的を見極めて利用するとよい。
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