[初回公開] 2022年03月30日
microSD カードを始め、ハードディスクや USB メモリなど大容量の記憶媒体にデータを保存する場合はファイルシステムと呼ばれるルールとして NTFS・FAT32・exFAT の 3 種類があり、その中で FAT32 でフォーマットされた microSD カードしかドラレコは利用できないことが多いため、FAT32 にフォーマットする方法を紹介する。

このページの目次
1.データ保存で利用されるファイルシステムとは
データ保存で利用されるファイルシステム(File System)とは画像ファイルや文書ファイルなどデータを保存する機能で、データを保存する形式(ルール)が複数用意されている。
代表的な保存形式は FAT32・NTFS・exFAT の 3 種類あり、家庭用パソコンでよく利用されている Windows であればどの形式でも対応できるが、Mac OS では NTFS が使えないなど OS により利用できない場合がある。

microSD カードを利用するドラレコもファイルシステムによっては録画データが保存できないことがある。
iPhone などスマホはどの形式のファイルシステムも利用できるが、FAT32 だと長いファイル名が利用できないなど制約が発生する。
2.FAT32・NTFS・exFAT の違い
FAT32・NTFS・exFAT の違いは、データを保存する時の保管方法が異なっている点である。
データはセクタと呼ばれる 512 バイトごとにブロックに分けて保存されるが、ファイルサイズが大きい写真や動画ではセクタの数が膨大になることから、セクタをさらに統合したクラスタが採用されている。
その 1 つのクラスタに対して統合するセクタの数が違ったり、データを読み書きする利用者の権限機能の有無、データエラー箇所の自動修復機能の有無などで FAT32・NTFS・exFAT の違いがある。
- FAT32(File Allocation Table) – Windows 98 / Me 時代に利用されたファイルシステムだが、OS に関係なく利用できることから現在でもドラレコや Linux 系 OS で利用されることがある。
1 つのファイルに付きファイルサイズが最大 4GB までの制限がある。 - NTFS(NT File System) – Windows NT 系以降で利用されているファイルシステムで、現在の Windows OS で一般的に利用されている。
1 つのファイルサイズが 4GB 以上でも利用することができるが、Windows OS でしか利用できないので Mac OS では読み書きできない。 - exFAT(Extended File Allocation Table) – FAT32 の上位となるファイルシステムで FAT のデメリットが改善されている。
64GB 以上の USB メモリや microSD カードなどで採用されていることが多いが、exFAT が出始めた 2006 年以前のパソコンやデジカメは exFAT に対応していない。
3.ドラレコが FAT32 しか使えない理由
ドラレコの多くが動画を保存する microSD カードのファイルシステムが FAT32 しか使えないことが多い。
その理由としては、「Windows OS ではない」と「大容量の microSD カードの利用を想定していない」の 2 点が挙げられる。
まず 1 つ目の「Windows OS ではない」とは、ドラレコはカメラで映像を撮ってデータ化することに特化した OS が搭載されているものの、独自で開発された OS か Linux 系の OS で Windows 系ではないので Windows OS 向けの NTFS が利用できないことが挙げられる。
次に 2 つ目の「大容量の microSD カードの利用を想定していない」は、microSD カードの 16GB や 32GB など大容量のタイプが安く製造できるようになってきているものの、屋外利用用の 64GB 以上の microSD カードは未だ 10,000 円ほどで販売されており高価である。
また、夏場の車内は高温になるため耐久度があり、常時動画を保存するため書き込み速度が速い microSD であることが条件になるためドラレコに対応した 8GB の microSD でも高価なため、exFAT まで仕様を求めないので FAT32 で落ち着いている背景がある。
そのため、microSD カードを購入すると工場出荷時のフォーマットが NTFS や exFAT になっていることがあり、そのままドラレコに挿すと microSD カードを認識しない、またはエラーを発生させるため、FAT32 にフォーマット(初期化)する必要がある。
4.microSD カードを FAT32 でフォーマットする方法
microSD カードを FAT32 でフォーマットする方法は「OS の機能でフォーマット」する方法と「フォーマッターの利用」する方法の 2 種類ある。
前者の「OS の機能でフォーマット」は Windows OS の標準機能でフォーマットする方法である。
別途フォーマット用のソフトウェアをインストールする必要がなく、さまざまな大容量記憶媒体に手軽に使えるが SD / SDHC / SDXC カードといった SD カード類に最適なフォーマットは行われないため、専用のフォーマットソフト(フォーマッター)を利用する方がよい。
ここでは microSD 用にフォーマットが可能なフォーマッターを利用する例が次となる。
4-1.フォーマッターをダウンロード
microSD カードを始め、多くの SD カードは SD メモリカード規格を策定する規格標準化団体(SDA)が発行する規格に沿って製造されている。
その SDA が提供するソフトウェアのフォーマッターを利用することで最適な状態でフォーマットが可能になる。
-> SDメモリカードフォーマッター(SD Association)

上記サイトより「SD / SDHC / SDXC 用 SD メモリカードフォーマッター 5.0.2」をダウンロードする。
ダウンロードしたファイルは ZIP 形式で圧縮されており、解凍するとインストーラーが出てくるので利用しているパソコンにインストールする。
ダウンロードしたソフトウェアは Windows OS、Mac OS ともに利用できるようになっている。
4-2.フォーマッターを起動してフォーマット
インストールした SD メモリカードフォーマッターを起動すると下図のようにフォーマットするカードを選択するウィンドウが表示される。
パソコンに microSD カードを挿すとウィンドウ内の「カードの選択」に表示されるため、選択してボタン「更新」をクリックするとフォーマットが開始される。

この時、フォーマットオプションは「上書きフォーマット」を選択する。
「クイックフォーマット」はフォーマットにかかる時間は短いが、microSD カード内には磁気状態でフォーマット前のデータが残ったままになっている。
対して「上書きフォーマット」はフォーマットにかかる時間はかかるが、保存されている情報を空のデータで上書きして完全に新しく再構築するため、可能な限り「上書きフォーマット」を選択するほうがよい。

フォーマットが終了すると上図のように完了画面が表示される。
表示の通りファイルシステムが FAT32 になっているのが確認できれば、パソコンまたはカードリーダーから microSD カードを抜き、ドラレコに挿すと正常に認識して利用できる。
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