[初回公開] 2005年06月15日
IP アドレスを意識するのはパソコンを同じネットワーク内に共存させる会社や事業所での利用が多かったが、最近では一般家庭においてもプリンタを始め家電がネットワーク対応することで家族で共有する場合があり IP アドレスは身近になっている中、適切に把握しないと思わぬトラブルに見舞われるためネットワーク内の IP アドレスの一覧を取得する方法を紹介する。

1.IP アドレスとは
IP アドレス(Internet Protocol Address)とは、パソコンやプリンタなど電子機器がネットワーク内でデータ通信する際に送信元または宛先となる住所のことである。
Wi-Fi など無線もネットワークとなるため、インターネット接続する際にはスマホやゲーム機器にも IP アドレスが自動的に割り振られている。
IP アドレスは端末ごとに任意に固定で設定することもできるが、家庭内においては OS が IP アドレスを自動的に割り振る機能(DHCP)があるため日常的に IP アドレスを意識することはほぼ無い。
IPv4 の場合は「192.168.1.1」のように 0 から 255 までの範囲で指定される数値が .(ピリオド)で 4 つの形で構成されている。
2.IP アドレスにまつわる問題点
IP アドレスにまつわる問題点としては、同じネットワーク内で同じアドレスが存在してはいけないことである。
端末が通信する場合は IP アドレスを元に送信者から宛先にデータが流れるため、同じアドレスが複数あると競合して通信できなくなってしまう。
そのため、自動的に IP アドレスが割り振られる DHCP の機能を用いると IP アドレスが重複することは無くなる。
反面、ネットワークを分けたり、端末の管理を行いたい事務所では固定で IP アドレスを設定することが多いため、同じネットワーク内に IP アドレスが重複しないように一覧を取得する必要がある。
3.ネットワーク内の IP アドレス一覧を取得する方法
ネットワーク内の IP アドレス一覧を取得する方法としては、ネットワークコマンドを実行するか、ネットワークの状況を確認するソフトウェアを利用する。
Windows OS であればコマンドプロンプトでネットワークコマンドを実行することができ、Windows 10 であれば「スタート -> Windwos システムツール -> コマンドプロンプト」でコマンドプロンプトを起動することができる。
Windows 10 より古い Windows 7 などでは「スタート -> アクセサリ -> コマンドプロンプト」で起動する。
コマンドプロンプトが起動した後は下記のコマンドを実行すると該当する IP があればその IP を持つ端末との通信にどれだけ時間を要すか計測することができる。
> ping IP アドレス
反対に応答が無ければその IP アドレスは同ネットワーク上に存在しないと判断することができる。
しかしこの方法ではネットワーク内に存在する IP アドレスの一覧を取得することができないため、ソフトウェアを利用するとさらに容易になる。
そのネットワーク関連のソフトウェアの中で NetEnum を利用した例が次の通りである。
3-1.NetEnum とは
NetEnum とは、ネットワーク上に存在する端末情報を取得する無料のソフトウェアである。
NetEnum には IP アドレスの一覧を取得する他、簡易的なパケットキャプチャが取れるなど次の機能が搭載されている。
- ホスト/IPアドレス/MACアドレス/コンピューターの説明の一覧作成機能
- Windowsネットワークが認識しているホスト/IPアドレス/ルートの検索
- ワークグループ/ドメイン指定
- 調査範囲の指定
- PING試験時のタイムアウト/TTL/スレッド実行間隔指定
- 複数のネットワークカードから選択して指定
- MACアドレス/ベンダーの取得選択指定
- ログインユーザー取得
- OS種別の取得
- 簡易パケットキャプチャ機能
- NetEnum5を実行しているホストの入出力パケットダンプ(バイナリ/アスキー)
- 複数ホストの一括スキャン
- TCP/UDPポートの接続可否を一覧表示
3-2.NetEnum で IP アドレス一覧を取得する方法
NetEnum で IP アドレス一覧を取得する方法は、ソフトを起動した後に調査したい IP アドレスの範囲を指定してボタンを押すだけである。
NetEnum はパソコンにインストールするタイプでは無く、実行ファイルが圧縮された状態でダウンロードされるため配布されているサイトからダウンロードするとまずは解凍する。
解凍したフォルダ内には NetEnum.exe があるのでこのファイルをダブルクリックで起動する。

起動後は上図のように上部メニューより「ファイル -> 検索」を選択すると検索の設定画面が表示される。
次に下図のように同じネットワーク上の Windows ワークグループ名を取得するとともに、取得した情報を指定する画面が表示される。
ここで存在する IP アドレスの一覧を取得するために「PIMG が通るホスト」にチェックし、開始アドレスと終了アドレスに調査したい IP アドレスの範囲を入力してボタン「検索」を押下する。

NetEnum がネットワーク上の情報を検索し始めると、存在する IP アドレスが下図のように一覧で表示される。

今回は「PIMG が通るホスト」をチェックして IP アドレスの一覧を取得したが、「Windows ネットワークが認識しているホストの列挙」をチェックして検索すると Windows の端末名称も取得されるので端末名と IP アドレスの一覧を取得することも可能である。
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