[初回公開] 2021年06月27日
iPhone などスマホなどに入れた音楽を再生すると音量が大きかったり小さかったりと音量が一定でないことがあります。その場合は毎回音量を調整したり、聞き取りづらいのを我慢しなければなりませんが、ソフトウェア「MP3Gain」を利用することで、音質を劣化させることなくバラバラな音量を一定に統一する方法を紹介します。

このページの目次
1.音量がバラバラで困った体験
実際に私も、車の運転中にスマホとカーナビを連携させて音楽を聴いていた際、曲ごとに音量がバラバラでとても困った経験があります。
ある曲はとても小さくて聞こえづらく、次の曲では急に音量が上がってびっくりしてしまいます。

また、電車の中で聞いているときも、静かな曲ではボリュームを上げないと聞こえず、次の曲で大音量になることが多く、周囲に音漏れしていないか心配になりました。
こうした状況を改善したいと考え、MP3Gain を使ってみることにしました。
2.音楽により再生時に音量が異なる理由
CD などから iPod やスマホに入れた音楽データの音量が再生時に大きかったり小さかったりする理由としては、音楽1曲ごとに音量に関する情報を値として持っており、その値が異なるためです。
音楽を再生する際には、音質のゲイン(Gain)、音量のボリューム(Volume)の2種類の値が音の大きさに関係してきます。
ゲインとは音圧の歪みを調整するもので、アンプやスピーカーで調整ツマミとして用意されていることが多いです。
ツマミを回すことで電気回路の電圧、電流、電力の入力と出力の比率を表した値で、単位はデシベル(dB)が利用されますが、MP3 など音楽データの場合はデシベルを上げることで音量アップにつながります。
対してボリュームは実際に出力する音の大きさとなり、パソコンやスマホの音量設定に該当します。
そのため、パソコンやスマホのボリュームを 50 にしていた場合、ゲインが 95dB の音楽データに比べて 93dB の音楽データは小さく聞こえます。
しかし、ここでボリュームを上げると 93dB の方は音割れするため、MP3 など音量が小さく感じる音楽データはゲインを上げる必要があります。
特に古い CD から取り込んだ音楽はゲインが低い傾向にあり、最近の CD の音楽でもパソコンなどに取り込む際に利用したソフトウェアによってはゲインが低くなる場合があります。
なお、MP3 など音楽ファイルはパソコンでプロパティを開くとアーティスト名やアルバム名を確認したり編集することはできますが、ゲインの値は変えることができないため、専用のソフトウェアを利用する必要があります。
そこでソフトウェア「MP3Gain」を利用してゲインであるデシベル(dB)の値の確認と音質を劣化させずに変更を行う方法をご紹介します。
3.音楽の音量を変更する MP3Gain とは
MP3Gain とは、音楽ファイル(MP3)の音質を劣化させることなく音量を変更することができる無料のソフトウェアです。
音楽ファイル自体を再変換(エンコード)しないため、データが壊れる心配がありません。
→ MP3Gain のダウンロード(窓の杜)
また、ゲインの設定値の変更は複数の MP3 ファイルを一括で瞬間的に変更することができるため、ゲインがバラバラで再生時に音量が異なる曲を統一することが可能です。
4.MP3Gain で音量を一定にする方法
MP3Gain で音量を一定にする方法としては、ゲインの値を変更します。
まず MP3Gain を起動させると、音楽データを読み込むためのボタン類と、読み込み済み曲の一覧が表示されます。
次に音量を変更したい音楽ファイル(MP3)を MP3Gain にドロップすると、読み込みが完了した音楽ファイルが表示されます。

音楽データを読み込んだ後は、上部メニューのボタン「トラック分析」をクリックすると、読み込んだ音楽データの音量などがどのような設定になっているか解析を開始して表示されます。

音楽ファイルを分析した結果、上図のように音量は 71.8dB であることがわかります。
最近の CD の音量は 96dB であることが多いため、この音楽ファイルは同じボリュームでも聞き取りづらいことを示しています。
この音楽ファイルの音量を上げるために、画面内の「目標 標準 音量」に変更したい音量を入力します。
一般的な CD の音量に合わせて 96dB にする場合は、下図のように 96dB を入力して、上部メニューのボタン「トラックゲイン」をクリックします。

ボタン「トラックゲイン」をクリックすると、MP3Gain に読み込んでいた音楽データすべてが 96dB に設定されます。
注意点として、「目標 標準 音量」に入力する値が高すぎると聴力機能に支障をきたすため、値は 100 未満にするのが望ましいです。
5.iPhone の音量の自動調整と個別設定が効かない場合の対応方法
iPhone や iPod など音楽ファイルを再生する端末には、ゲインが異なる曲でも音量を一定に保つように自動的に調整したり、機器に取り込む際に一曲ずつ個別に音量を設定する機能があります。
この機能を利用すると、MP3Gain でゲインを変更しなくても音楽ファイルを入手した状態のままで音量の調整を行うことができます。
iPod では「設定 → 再生 → 音量の自動調整(サウンドチェック)」を選択してオンにすると、iPod の再生時に音量調整しなくても自動的に音量を一定に合わせて再生してくれます。
もし iPod で音楽再生時に音量が一定にならない場合は、iTunes で音楽を同期する際に設定画面で音量の自動調整をオンにすると良いでしょう。
6.まとめ
音楽ファイルの音量がバラバラで困っている場合、MP3Gain は非常に便利なツールです。
音質を劣化させることなく、複数のファイルを一括で処理できるため、再生時の音量差によるストレスを大幅に軽減できます。
スマホや iPod の自動調整機能もありますが、確実に音量を統一したい場合は、MP3Gain を使ってゲインを調整する方法が効果的です。手間は多少かかりますが、快適な音楽ライフのために試してみる価値は十分にあります。









