iTunes で入れた音楽の長さが実際と異なり早送りと巻き戻しができない場合の対応方法


[初回公開] 2019年07月05日

CD から取り込んだり、MP3 など音楽ファイルを iTunes から iPhone に入れて再生すると音楽は正常に再生されるがスライダーを見ると曲の長さが 2 倍近くになって表示されることがあり、音楽の長さが実際と異なり早送りと巻き戻しができない場合の対応する方法について紹介する。

iTunes で入れた音楽の長さが実際と異なり早送りと巻き戻しができない場合の対応方法

1.iPhone で実際の音楽とスライダーの曲の長さが異なる様子

iPhone で実際の音楽とスライダーの曲の長さが異なる様子としては、iTunes から iPhone や iPod に入れた音楽ファイルを再生すると曲は正常に聴くことができるが、スライダー形式のシークバー(曲の再生箇所を表示する機能)に表示される曲の長さが実際と異なっている状態である。

スマホで音楽を聴いている様子


例えば 3 分(180 秒)の曲の場合、曲の再生が終わり差し掛かっているとスライダーはほぼ右端までバーが伸びているが、正常でない場合はバーがスライダー全体の真ん中あたりに位置して、曲の再生位置がおかしくなっている。

2.実際の音楽とスライダーの曲の長さが異なることの影響

実際の音楽とスライダーの曲の長さが異なることの影響としては、「曲のどこを再生をしているかわからない」点と「早送りと巻き戻しができない」点の 2 点が挙げられる。

曲が正常に再生できている下図のように、再生している位置が曲全体に対する割合で表示される。
しかし、曲の長さが再生プレイヤーが正常に認識できていない場合は、曲の終盤に差し掛かっていても違うところにバーがあるので再生位置が把握できず不便を感じる。

音楽再生時に正常にスライダー表示される様子


また、スライダーが再生中の曲の正しい位置を示していないため、曲を早送りや巻き戻しをするためにタップしたりスライダを移動させてもその位置に曲がジャンプしない不具合が生じる。

3.音楽の長さが違って表示される原因

音楽の長さが違って表示される原因としては、音楽ファイルに付帯しているファイル情報が破損、または情報が無いことが挙げられる。
MP3 など音楽ファイルは曲となる音声データ以外に、曲名や音声チャネルなどさまざまな情報を付帯情報(ヘッダ情報)として保持している。

付帯される音楽情報は Windows パソコンであれば下図のように音楽ファイルを右クリックしてプロパティで一部確認することができる。

MP3 のプロパティ


プロパティにある 1 つの項目に「ビットレート」と呼ばれる 1 秒間に再生するデータの量の情報があり、MP3 の形式にデータを圧縮する際に可変とするか固定にするかが定義されている。

多くは可変ビットレート(VBR)と呼ばれる方式が取られており、音数が少なかったり無音の場合は 1 秒あたりのビットレート数を少なくして音楽ファイルのデータサイズも少なくする工夫がされている。

この可変ビットレート(VBR)は再生位置のシークを高速に行う役割もあるため、何らかの理由で VBR の情報が破損すると曲を再生するアプリで再生されるものの、曲全体の位置の取得ができなくなる事象が発生する。

4.iTunes で入れた音楽の長さが実際と異なり早送りと巻き戻しができない場合の対応方法

iTunes で入れた音楽の長さが実際と異なり早送りと巻き戻しができない場合の対応方法としては、iTunes のライブラリに登録する MP3 など音楽ファイルの VBR を正常化することで解決する。

VBR を正常化する 1 つの方法にフリーソフトの「VBR Header Maker」を利用する。
VBR Header Maker はインストールする必要がなく、ダウンロード直後に現れる「vbr_head.exe」をダブルクリックするだけでソフトウェアが起動する。

ソフトウェアをダウンロードするにはフリーソフトを紹介しているポータルサイトから入手し、VBR Header Maker が不要になればフォルダまたはファイルを削除するだけでアンインストールの扱いとなる。

VBR Header Maker を起動すると下図のような画面が表示されるため、上部メニューのフォルダのアイコンをクリックして VBR を正常化させたい MP3 ファイルを読み込むか「Path」にファイルの場所を入力する。

VBR Header Maker に MP3 を読み込んだ様子


MP3 ファイルを読み込むと画面下部に「This File includes no VBR Hrader.」と表示されることがある。
このメッセージはファイルに VBR の情報がないことを示しており、この音楽ファイルは VBR が無いことでスライダーが正常に動作しないのがわかる。

次に、読み込んだ MP3 に正常な VBR の情報を書き込むために画面上部の保存アイコン(画面内のアイコン右側)をクリックすると VBR が書き込まれて音楽ファイルが上書き保存される。
上書き保存するだけで曲を解析して VBR が自動的に書き込まれるため、特に何かの設定が不要なため手間がなく初心者でも扱える点が特徴である。

VBR Header Maker で MP3 を正常化した様子


VBR が音楽ファイルに書き込まれれば上図のように画面下部の表示が「This File includes a VBR Hrader Now.」に変化する。

正常化した MP3 ファイルは iTunes のライブラリに再度読み込みを行い、iPhone など音楽プレイヤーのアプリがある機器と同期し、曲を再生するとシークバーも実際の曲の長さと同じとなり、早送りまたは巻き戻しが可能となる。

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