[初回公開] 2021年12月09日
スマホやデジカメで撮影した拡張子が MP4 の動画をパソコンで再生しようとしたときに映像がカクカクする、もしくは全く動かないなど視聴できない場合は h.265 が影響していることがあり、正常に再生する対応方法について紹介する。
1.MP4 の動画がパソコンで再生できない様子
MP4 の動画がパソコンで再生できない様子としては、Windows Media Player など動画を再生するソフトで表示されるがなめらかに動かずカクカクする、もしくは全く動かない状態となる。
このような事象が発生した場合は、「動画ファイルの問題」と「パソコンの問題」のどちらに原因があるか調査する必要がある。
同じ動画再生ソフトを利用して、他の MP4 の動画が正常にされるのであれば動画ファイルに問題があるのがわかる。
反対に問題があった動画ファイルを異なる再生ソフトで視聴できるようなら、パソコンを再起動するなどで問題が解決することがある。
ここでは MP4 など動画ファイルに問題があることを前提にした原因と対応方法が下記となる。
2.MP4 の動画が再生できない原因
MP4 の動画ファイルがパソコンで再生できない原因としては、「動画ファイルの問題」と「パソコンの問題」の 2 点が挙げられる。
動画ファイルに問題がある場合は、動画ファイルのデータの一部が破損していることが原因であることが多い。
動画の録画中やファイルに保存する際に何らかの事象で中断されたり、動画の編集過程で再生を阻害するデータが混じることで正常に再生できなくなる。
また、パソコンに問題がある場合は、再生に必要な拡張機能(コーデック)が不足していることが多く、このコーデックをインストールすると解決することが多い。
3.コーデックとは
コーデック(Codec)とは、動画を圧縮する際に用いられる機能のことで、高画質の動画でもファイルサイズを小さくしたり、パソコンだけでなくスマホやタブレットでも再生することが可能になる。
動画ファイルは映像に利用されている色が多かったり、動画の縦横のサイズが大きくなるとそれらに比例して動画ファイルのデータサイズが大きくなり、動画再生ソフトが読み込めない事象が発生する。
そのため、できるだけデータサイズを小さくしつつ、映像品質は悪くならないように圧縮の技術として新しいコーデックが日々開発されている。
コーデックには国際標準で定められた MPEG-1、MPEG-2 を始め、Apple 社から提供される QuickTime File Format(MOV)や Flash Video(FLV)など企業が独自に開発したものなどいくつか種類が存在する。
最近の動画は MP4(拡張子が .mp4)が利用されることが多く、コーデックは h.264 が主流だったが、さらに高圧縮の h.265 が普及しつつある。
しかし、数年前のパソコンやスマホでは h.265 がインストールされていないため h.265 で圧縮された動画ファイルが再生できない問題も浮上している。
4.h.265 とは
h.265 とは、正式名称は H.265/MPEG-H HEVC を略したもので、従来利用されてきた h.264 に比べると動画のファイルサイズは半分になる。
h.264 より以前は MPEG-2 のコーデックがよく利用されており、MPEG-2 から h.264 になったときも動画のファイルサイズが半分になったため、MPEG-2 と h.265 と比較すると、h.265 を利用することで動画ファイルサイズは 1/4 にまで圧縮される。
また、旧式の h.264 はフレームレート(1 秒あたりのコマ数。単位は fps)が 60fps までに対して、h.265 は 300fps まで対応可能になったため、動画がより滑らかでスローモーション動画など繊細な動画に対応できる。
加えて、動画の縦横幅は h.264 は 3,840 x 2,160px のいわゆる 4K まで対応しているのに対して、h.265 は 2 倍の 7,680 x 4,320px の 8K まで対応している。
h.265 自体は 2013 年頃から提供されているが、普及率が上がりスマホやデジカメで利用されるようになったのはこの数年であるため、少し古いパソコンでは使えないといった問題が出ている。
5.視聴できない MP4 の動画を再生する方法
視聴できない MP4 の動画を再生する方法としては、パソコンに拡張機能または h.265 に対応したコーデックをインストールすると解決する。
Windows の場合は Windows Store を開き、「デバイス製造元からの HEVC ビデオ拡張機能」を検索してインストールすると h.265 で圧縮された動画も Windows Media Player などでスムーズに再生されるようになる。
上図のように「デバイス製造元からの HEVC ビデオ拡張機能」が表示されれば、画面右上のボタン「インストール」をクリックすると拡張機能がインストールされる。
「デバイス製造元からの HEVC ビデオ拡張機能」をインストールすると Windows のアプリとして取り扱われる。
ただし、h.265 のコーデックがインストールされていても動画を再生するためにはハードウェアも対応している必要がある。
スペックの低い CPU やグラフィックボードが搭載されていない場合は、h.265 の動画が再生されるものの、カクカクしてスムーズに動かない事象が発生する。
また、色の正確な再現には、HDR(High Dynamic Range)規格の映像入力をサポートしているディスプレイが必要となる。
4K テレビにも採用されている規格であり、HDR に対応していないディスプレイやモニターの場合は利用できる色調内で近い色に自動調整して映しだされる。
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