アシナガバチの巣を殺虫剤で除去する方法と駆除を依頼した時の費用を比較


[初回公開] 2020年09月29日

桜が咲く春頃から、夏のお盆頃にかけて活発化するのがアシナガバチやスズメバチで自然が周辺にある場所でも家の外壁に巣を作り、近づくと人に害を与える可能性があるので自分でアシナガバチの巣を殺虫剤で除去する方法と除去後の様子、そして駆除を依頼した時の費用を比較を紹介する。

アシナガバチの巣を殺虫剤で除去する方法と駆除を依頼した時の費用を比較

1.アシナガバチとは

アシナガバチ(Paper wasp)は全長が 1.5cm から 4cm ほどの腹が黄色と黒の縞模様を持つスズメバチ科のハチである。
飛行中は音を出しながらするので近くにいることが耳で認識しやすい。

アシナガバチとは


体の腹が大きく色も似ていることからスズメバチと間違えられることが多いが、スズメバチと比較すると手足が長く、攻撃性が低いのでアシナガバチの巣に近づいたり危害を加えない限り人に襲ってくることは少ない。

アシナガバチの活動期間は 1 年の中で 6 月から 8 月に最盛期を迎え 11 月頃まで活動する。
そのため、春頃から家の周辺を飛んで巣作りするための場所を探す傾向がある。
1 日の中での活動は明け方からエサの収集や巣の保全資材を確保するために巣から飛び立ち、夕暮れ時に巣に戻ってくる。

2.アシナガバチの巣の特徴

アシナガバチの巣は木の枝や家の軒下、排気口の中に作ることが多い。
ハチの巣の形状はシャワーヘッドのように花を逆さにしたような形で育房が露出している。

スズメバチの巣は丸状でハチが出入りする口が狭まってトックリを逆さにしたような形状で外からは巣の様子がうかがえないのに対して、アシナガバチの巣は卵がある様子も外から目視することができる。



アシナガバチの巣の大きさは場所に囚われず約 10cm から 15cm ほどの大きさである。
巣が小さく、育房数(卵から孵化する部屋の数)が少なくても、同じ育房を複数回に渡り利用するので、巣の大きさに反して回りにいるハチの数が多い場合があるので注意が必要である。

3.ハチの巣を業者に依頼した場合の費用

アシナガバチなど人に危害を与えるハチは装備を整えずに自身で駆除しようとすると刺され、ハチの毒により強いアレルギー反応(アナフィラキシーショック)で命を落とす危険性がある。

また、巣を中途半端に破壊すると近所にハチが飛び立ってしまい、近隣住人や通行人を襲うことがあるので、ハチの巣駆除の専門業者に依頼するのが安全だ。

ハチの駆除が可能な業者は各自治体のホームページまたは窓口に問い合わせると紹介してもらえるとともに、白アリなど外注駆除を行っている会社に問い合わせるとよい。
アシナガバチやスズメバチの巣を業者に依頼すると大よそ 2 万円から 5 万円が必要になり、下記が主な費用明細である。
1) 基本料金:約 10,000 円
2) 活動期割増:約 4,000 円
3) 高所作業:約 3,000 円
4) 薬剤:約 2,000 円
5) 清掃:約 5,000 円
6) 処分:約 2,000 円

2) はアシナガバチやスズメバチの活動期である夏頃は狂暴性が増し作業員に危害が及ぶので割増賃金が必要になる場合がある。
3) は高所作業時の保険等で業者側に必要になり、業者によっては高所作業用のハシゴや足場などが別途費用が必要になる。
4) の薬剤は巣の中にいる成虫したハチを駆除する殺虫剤であり、また同じところに巣を作らないように予防薬も散布してくれる。
5) 及び 6) は駆除したハチの死骸や巣の破片を清掃して持ち帰って処分してもらう費用となる。



対して、自分で除去する場合はハチの巣がハシゴや脚立に立って手が届く範囲であればハチ用の殺虫剤で除去することが可能である。
その場合は、550ml の殺虫剤 1 本が 1,100 円から 1,400 円ほどでホームセンターで購入することができる。

4.アシナガバチの巣を自分で除去する方法

アシナガバチの巣を自分で除去する方法は、ハチ用の殺虫剤で成虫のハチを数日に渡り駆除した後、数ヶ月放置して自然に朽ちているのを確認してから除去するとよい。

梅雨に入る前のハチの巣が出来て間もない頃、もしくはハチの活動期が終わる冬であれば長い棒等を使って巣を壊すことができるが、既に成虫がいる場合は次のように細心の注意を払いながら駆除を行う。

4-1.巣にいるハチを殺虫剤で駆除する

夏頃になると巣が完成し、女王蜂は産卵して次々に働きバチが成長してくる。
働きバチが成長すると巣に近づくだけで警戒してこちらに飛んでくるため、市販されている殺虫剤をハチの巣に噴霧して成虫したハチの数を減らす。

巣の除去が難しくても、成長したハチの数が減るだけでも近隣に迷惑が掛からないので殺虫剤を利用しておくとよい。

最近ではホームセンター等で 1,300 円ほどの価格でハチ撃退に効果がある殺虫剤が販売されており、簡単に入手することができる。
また、ゴキブリ用の殺虫剤など虫の神経を破壊する効果がある薬剤であればハチ用の殺虫剤でなくても駆除することは可能である。

ハチアブマグナムジェット 蜂駆除スプレー [550mL]

上図の殺虫剤は地上から 2 階の屋根下まで届くので広い範囲で利用でき、ハチに刺される心配が無く安全に駆除することができる。
噴射が強力であるがいえに、噴霧できる時間は約 45 秒と短いので、ハチが多い場合や広範囲に噴霧したい場合は数本用意しておくとよい。

また、殺虫剤を巣に向けて日中に噴霧してもハチが出払っており、巣が空なので効果がないのと、もしハチがいても攻撃的な時間帯なので危険性が高まる。
そのため、日中ではなく夕暮れ時のハチが巣に戻ってきてから噴霧するのが効果的である。



アシナガバチの巣は前述のように卵が目視できる形状のため、巣から殺虫剤の液が滴るほど噴霧すると卵にも殺虫剤が浸透して孵化するのを防止することができる。
ハチの巣が遠く無ければ少なくとも 1 本を使い切るとよい。

殺虫剤を巣に向けて噴霧し、中から数匹のハチが出てきたもののすぐに巣から半径数 m の範囲に落ちるのも確認した。
しっかり殺虫剤が当たればすぐに効果があるので安心していい。

尚、ゴキブリ用の殺虫剤(ゴキブリを瞬時に動けなくするもの)でもアシナガバチの撃退に効果があるのは確認できた。
ただし、ゴキブリ用の殺虫剤は飛距離が長くても 1m 程度なのでハチまたはハチの巣に近づくリスクが高い。

4-2.ハチがいなくなってから巣を撤去する

ハチの巣が殺虫剤の液で浸るほど噴霧し、ハチがいなくなってもすぐに巣を撤去するのは避けたほうがよい。
殺虫剤の噴霧時にたまたま不在にしていたハチが戻ってくるかもしれないため、できれば数日にわけて素に向けて殺虫剤を撒き、ハチがいなくなるのを確認する。

今回はハチが活性化する夏に殺虫剤を噴霧してから秋は放置し、雪が降る寒い時期に巣を撤去することにした。
ハチの巣は通気口の中に作っていたので細長い棒状のもので無理やり突いて落とすつもりであったが、宿主不在となったハチの巣は乾燥して通気口から落ちかかっていたので棒で触れただけで地面に落ちてきた。

アシナガバチ撃退後の巣の状態

巣は上図のようにまだ孵化していない卵が残っているもの、これらが孵化して成虫になったり、卵がまだない育房に卵を産み付けられて成長することを想像すると早めの対応が功を奏した。

裏側から見たアシナガバチの巣


裏側から見たアシナガバチの巣は上図のようにシャワーヘッドのような形状をしており、巣上部の黒色の部分が巣が落下しないように壁などにくっつく場所となっている。

宿主不在となってから巣は半年近く放置されていたわけだが、落ち葉のように手でくしゃくしゃにできるほど柔らかさは無く、しっかりとその形状を保っている。
踏みつけると多少は圧縮されるものの破片一つ出ることなく、壊れる様子がない。

横側から見たアシナガバチの巣

上図は横側から見たアシナガバチの巣であり、通気口の形に合わせて巣が作られたのがよくわかる。
こうやって巣全体を見渡すと成虫のハチが出入りするのは表面の卵があるところからと見受けられるが、中の構造を見るに手で破こうとするもののかなりの強度があり何らかの刃物が必要となる。

巣を振ると何か乾いた大きな物体が動くのを感じたので殺虫剤で息絶えた女王ハチが巣の中にいたのかもしれない。

5.アシナガバチの巣の駆除のまとめ

アシナガバチの巣の駆除のまとめとしては、今回は幸い、アシナガバチの被害にあった人を出さずに殺虫剤だけで撃退できたものの、ハチの巣が 2 階以上にあると対応できていなかっただろう。

また、ハチの巣が容易に除去できたのも幸いであったが、時間が経過してもかなりの強度を保ったままで、棒などで突いてすぐに壊れるものではないので夏場などハチの活性時期にはやはり業者に依頼したほうが負傷者を出さずにハチの駆除ができるのではと考える。

関連記事

コメントを残す