近視や乱視の人は眼鏡かコンタクトレンズで視力を補っているが、若い年代は遠くが見えるように選んでいたレンズも年を取って老眼が入ってくると近くの文字が見えづらくなるため、遠くも見えつつ、スマホや新聞など手元の小さな文字も見えるように遠近両用コンタクトレンズを活用する方法について紹介する。
1.手元の近くが見えづらい状態とは
近く(手元)の字が見えにくい、ぼやけるなどの自覚症状がある時、最も頻度が高い原因は老視(一般的にいわれる老眼)と言われている。
老視は眼のピント調節機能が低下して近くの物が見えづらくなる現象である。
また、眼鏡やコンタクトレンズを利用していて近くが見えづらくなる場合は老眼の反対に近視または乱視が進行している場合もある。
その場合は遠くの物体や文字も見えづらいので、遠近ともに見えづらいか症状を把握した上で症状が悪化したり、生活に支障が出る前に眼科またはコンタクトレンズ販売店に行くとよい。
2.遠近両用ソフトコンタクトレンズとは
遠近両用ソフトコンタクトレンズとは、老眼を矯正する手段として、1 枚のレンズに遠くを見る度数と近くを見る度数が同心円状に配置されているコンタクトレンズである。
下図のようにレンズの中心部から周辺部分に向かって徐々に度数が変化する、マルチフォーカル(MF、多焦点)といわれるタイプが多い。
一般的なコンタクトレンズは近視用が多く、遠くの物体や文字が見やすくなるように設計されているが、遠近両用ソフトコンタクトレンズは遠くも近くも自然な見え方が期待できる。
その構造のため、人によっては馴染むまで慣れが必要とする場合があるが、長年コンタクトレンズを利用している人は数分もあれば慣れることが多い。
また、ハードコンタクトレンズでもバイフォーカル(BF、二重焦点)といわれる 1 枚のレンズの中で遠用・近用の 2 種類の度数がはっきり分かれている製品もある。
しかしデメリットもあり、レンズ自体で遠近ともに見やすいように、ある程度は調整するが、見え方が若干「ぼんやり」するか「だぶる」ことがあり個人差があるので、実際にどのように見えるかはコンタクトレンズ専門店に行って、いくつかのレンズを試着させてもらうのがよい。
3.遠近両用ソフトコンタクトレンズの価格
遠近両用ソフトコンタクトレンズの価格は、一般的な近視用(乱視抜き)のレンズよりも 1 箱あたり 500 円ほど高い程度である。
安い製品であれば 1 箱 3,900 円(税抜)で購入が可能であるが、酸素透過率が低いことが多い。
酸素透過率が低いと目が乾燥して装用時に違和感を覚えたり、角膜に傷がつきやすくなったりする恐れがあるため、朝から夜まで 10 時間近くコンタクトレンズを装着する人は少々高価でも酸素透過率が高い製品を選択したほうがよい。
4.遠近両用ソフトコンタクトレンズを活用して遠くも近くも見る方法
遠近両用ソフトコンタクトレンズだけを利用するだけで、遠くも近くも見えやすくなるが、さらに利き目とレンズの組み合わせ次第ではさらに効果を発揮することができる。
利き目とは、手や足と同じように、右目または左目のどちらかでよく使う側を利き目と呼ばれている。
人は物体を見る場合は利き目を軸とし、もう片方の目で利き目を補いながら立体的に物を見るようになっている。
老眼の対策として、モノビジョンと呼ばれる、片目をコンタクトレンズで完全矯正にして反対側の目は度を弱くして近くが見えるようにする手法が取られることがある。
そのため、よく利用する利き目を遠くを見るように利用し、反対側の目のレンズの度数を落とすことで近くを見やすくなる。
遠近両用ソフトコンタクトレンズを利用せずともモノビジョンで遠くも近くも見えやすくすることは可能だが、遠近両用ソフトコンタクトレンズを用いることでさらに効果を得ることができる。
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