ウェブサイトの制作現場や個人が簡単にブログなどを公開するのに CMS がよく利用され、その CMS の中でも人気が高い WordPress と MovableType を比較した 11 のポイントと使い分け方を紹介する。

このページの目次
1.CMS とは
CMS(Contents Management System)の略で、ウェブサイトをブラウザで管理するシステムのことである。
CMS を利用するためには、それぞれの CMS で開発されているプログラム言語が動作するサーバが必要になる。
ブログも CMS を利用したもので、タグと呼ばれる各記事への付帯情報で管理するのに対して、ウェブページは URL の階層に重きを置く違いがあるものの、ブログもウェブページもインターネット上に公開するウェブサイトとしてほぼ同一である。
2.Wordpress と MovableType の比較表
WordPress と MovableType を比較して表にまとめたものが下記となる。
どちらも一長一短があり、状況に応じて使い分けるとよい。
比較項目 | WordPress | MovableType |
---|---|---|
表示形式 | 動的コンテンツ | 静的コンテンツ |
動作言語 | PHP | Perl |
制作のしやすさ | 良い | やや悪い |
汎用性 | 高い | 低い |
テーマの多さ | 多い | 少ない |
管理画面の使いやすさ | 悪い | 良い |
費用 | 無料 | 有料(一部無料) |
求めるサーバスペック | 高い | 低い |
デザインのしやすさ | 良い | 良い |
ブログ記事とウェブページの分離 | 可能 | 可能 |
向いている人 | 利便性を求める人 | 安定性を求める人 |
2-1.表示形式
表示形式は WordPress が動的コンテンツに対して、MovableType は静的コンテンツである。
動的コンテンツとは表示のたびにプログラムとデータベースが動作するため、両方が揃ったサーバでしか利用できない。
対して静的コンテンツとは HTML ファイルをインターネット上に公開するもので、MovableType においては静的コンテンツに書き出してしまえば、どの Web サーバでも公開することができる。
2-2.動作言語
動作言語は WordPress が PHP で MovableType が Perl となっている。
双方ともに一般的なレンタルサーバ(ホスティング)で利用できるプログラム言語である。
2-3.制作のしやすさ
WordPress の制作のしやすさは、編集した情報を保存するとすぐにインターネット上に公開されるため、確認もすぐ取れることから制作しやすい。
MovableType も記事やウェブページはすぐに公開できるが、テンプレートで編集した内容を各ページに反映させるためには都度「再構築」と呼ばれる書き出し操作が必要になるため、制作はややしづらい。
2-4.汎用性
WordPress は独自に利用できる関数(機能)以外にも自由に PHP でプログラムできるので汎用性が高い。
対して MovableType は独自に利用できる関数があるものの、数が少ないため汎用性は低い。
2-5.テーマの多さ
WordPress で利用できるテーマ(デザイン)は多いが、MovableType は少ない。
ただし、双方とも HTML と CSS は自由に変更できるのでデザインの汎用性は同等である。
2-6.管理画面の使いやすさ
WordPress の管理画面は機能が多いため慣れるまで使いづらい点と、テーマを切り替えるごとに各テーマが持っている機能が管理画面に現れるのでやや悪い。
対して MovableType はどのテーマでも一貫した機能が使え、デザインも見やすく使いやすい。
2-7.費用
WordPress は無料で利用でき、MovableType は一部(個人利用)を除き有料となる。
2-8.求めるサーバスペック
WordPress はどのページを表示する場合でも PHP とデータベースが動作するため、スペックが低いサーバでは表示が遅くなる。
MovableType も管理画面は Perl とデータベースで動作しているものの、インターネット上に公開されるものは静的コンテンツのため表示に関してはスペックが低いサーバでもよい。
2-9.デザインのしやすさ
HTML と CSS を利用したデザインのしやすさは管理画面に打ち込むだけなので WordPress と MovableType ともに同等である。
2-10.ブログ記事とウェブページの分離
ブログ記事とウェブページの分離は WordPress と MovableType ともに可能である。
2-11.向いている人
WordPress は利用者とテーマが多く、実現したいことをインターネット上で調べてもすぐにわかることからウェブサイト制作またはブログ運営の初心者に向いている。
MovableType は WordPress に比べると実現できることが少ないが、アクセスが多い場合にも耐えられ、セキュリティリスクが低いことから安定した運営を行いたい人に向いている。
3.Wordpress の導入で考慮すべき点
WordPress の導入で考慮すべき点としては「制作のしやすさ」と「利便性の高さ」が挙げられる。
「制作のしやすさ」とは HTML や PHP といった知識が少なくともインターネット上で数多く配布されているテーマと拡張機能(プラグイン)を駆使すれば立派なウェブサイトが構築できる点である。
特にテーマが多い点はウェブサイトの制作現場でも重宝され、クライアントが求めるデザインに似たテーマを採用して編集するだけでよいため、制作期間の大幅な短縮を図ることができる。
また、「利便性の高さ」とは表示のたびにプログラム(PHP)とデータベースが動作するため、サイト内検索が高速であったり、アクセス数の多いページをリアルタイムに表示するなどウェブサイトを見る人にとって使いやすいサイトが作りやすい。
4.MovableType の導入で考慮すべき点
MovableType の導入で考慮すべき点としては「安定稼働」と「セキュリティの高さ」が挙げられる。
「安定稼働」とは MovableType で制作したウェブサイトは最終的に HTML ファイルで書き出されるため、常にプログラムとデータベースが動作しないので多くのアクセスがあっても表示までの時間が短く済み、サーバダウンを回避することができる。
また、「セキュリティの高さ」はインターネット上に公開されるコンテンツは HTML ファイルであることから悪意ある攻撃パターンが限られ、ハッキングやコンテンツの改ざんのリスクを低くすることができる。
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