ブログの「WordPress」と「MovableType」の12個の比較で使い分ける方法


[初回公開] 2022年03月01日

個人が簡単にブログを公開するには利用者が多い「Wordpress」か古くから利用されている「MovableType」のどちらかで選択することが多いが、プログラムがわからなくてもブラウザで簡単に CMS として導入できるのでウェブサイトの制作現場でも利用されており、Wordpress と MovableType を12個のポイントで比較して使い分ける方法を紹介する。

初心者が簡単にブログを無償で公開できる WordPress と MovableType で12個の比較点

1.簡単にブログを公開する CMS とは

CMS とは Contents Management System の略で、ウェブサイトやブログをインターネットに接続できるブラウザで管理するツールのことである。
ブラウザから文章を打ち込んだり、マウス操作で簡単にウェブサイトやブログのコンテンツをインターネット上に公開できる特徴がある。

ブログを更新している様子


一般的に CMS は複数のプログラムファイルで構成されたシステムを差し、利用するためには CMS を構成しているプログラム言語が動作するサーバが必要になる。
以前の CMS はウェブサイトを管理更新するツールを指していたが、現在ではブログのツールを意味して利用されることが多い。

そのため、固定ページのウェブサイトと字けれ何時で表示されるブログと両立してインターネット上に公開することができる CMS が多い。
無償で利用できる CMS の中で「Wordpress」と「MovableType」は利用率が高く、インターネット上でも使い方やカスタマイズする方法の情報をすぐ得られるので初心者でも人気がある CMS である。

2.Wordpress と MovableType の12個の比較ポイント

無料で利用できる CMS の中から「Wordpress」と「MovableType」を比較して表にまとめたものが下記となる。
詳しくは章に分けて後述している。
「Wordpress」と「MovableType」は個人だけでなくウェブサイトを制作するビジネス現場でも採用されることが多く、どちらも一長一短あるため状況に応じて使い分けされることが多い。

比較項目 WordPress MovableType
表示形式 動的コンテンツ 静的コンテンツ
動作言語 PHP Perl
制作のしやすさ 良い やや悪い
汎用性 高い 低い
テーマの多さ 多い 少ない
管理画面の使いやすさ 悪い 良い
費用 無料 有料(一部無料)
求めるサーバスペック 高い 低い
デザインのしやすさ 良い 良い
ブログ記事とウェブページの分離 可能 可能
向いている人 利便性を求める人 安定性を求める人
セキュリティ アップデート頻度が多い アップデート頻度が少ない

上表からさらに WordPress と MovableType を比較した内容が次の通りである。

2-1.ブログを表示する形式

ブログを表示する形式は WordPress が動的コンテンツに対して、MovableType は静的コンテンツである。
動的コンテンツとは表示のたびにプログラムとデータベースが動作するため、両方が揃ったサーバでしか利用できない。

対して静的コンテンツとは HTML が記載されたテキストファイルをインターネット上に公開するもので、MovableType は静的コンテンツに書き出して利用するため、どのウェブサーバでも公開することができる。

2-2.動作に必要なプログラム言語

動作に必要なプログラム言語は WordPress が PHP で MovableType が Perl となっている。
Wordpress と MovableType ともに一般的なレンタルサーバ(ホスティング)で利用できるプログラム言語である。

2-3.制作のしやすさ

制作のしやすさとして WordPress は、編集した情報を保存するとすぐにインターネット上に公開されるため、確認もすぐ取れることから制作しやすい。
Wordpress の記事の作成画面は下図のようになっており、記事のタイトルと文章を入力だけでよい。

Wordpress の記事作成画面


対して MovableType も記事やウェブページはすぐに公開できるが、テンプレートで編集した内容を各ページに反映させるためには都度「再構築」と呼ばれる書き出し操作が必要になるため、制作はややしづらい。

しかし「再構築」の一手間が必要になるものの、大量のアクセスがある場合は「再構築」で書き出した HTML ファイルの方が動作が軽いため、MovableType の方が負荷に対する性能面では優れている。

MovableType の記事作成画面


2-4.公開した後の汎用性

CMS における公開した後の汎用性とは、カスタマイズの自由度のことを指し、デザインの他に問い合わせフォームなど機能面の追加の有無も重要になる。
Wordpress は独自に利用できるプログラムの関数(機能)以外にも自由に PHP でプログラムして機能追加できるので汎用性が高い。

また、既に特定の機能追加に特化したプラグインも数多く用意されているのでプログラムできずともプラグインのインストールで機能を大幅に拡張することが可能である。

対して MovableType も独自に利用できる関数が用意されているものの、数が少ないため汎用性は低い。
また、「再構築」の必要がある MovableType は機能追加の敷居も高いため、機能を追加したい場合は高度なスキルが必要となる。

2-5.テーマの多さ

テーマとは CMS を利用者向けに公開した場合のデザインのことで、HTML タグやスタイルシートといったウェブサイト制作の知識が必要になるが、Wordpress と MovableType は予めいくつかのテーマが用意されているので知識が無くても公開することができる。

利用できるテーマ(デザイン)は WordPress は多いが、MovableType は少ない傾向がある。
ただし、双方とも HTML と CSS は自由に変更できるのでデザインの汎用性としてはウェブサイトデザインの知識があれば自由自在にカスタマイズが可能である。

2-6.管理画面の使いやすさ

WordPress の管理画面は機能が多く、テーマを切り替えたりプラグインを追加するごとに管理画面の構成が変わるので、慣れるまで使いづらい点が挙げられる。

対して MovableType はどのテーマでも一貫した機能が使え、デザインも見やすく使いやすい。

2-7.導入の費用

WordPress と MovableType ともに無料で利用できる。
ただし、MovableType は個人利用を除きビジネス利用では有料となる。
そのため、ウェブサイト制作会社や広告代理店が請け負ったウェブサイト制作の業務で MovableType を採用する場合はライセンスを購入する必要がある。



2-8.求めるサーバスペック

WordPress はどのページを表示する場合でも PHP とデータベースが動作するため、スペックが低いサーバでは表示が遅くなる。
MovableType も管理画面は Perl とデータベースで動作しているものの、インターネット上に公開されるデータは HTML ファイルで書き出された静的コンテンツのため表示に関してはスペックが低いサーバでもよい。

2-9.デザインの自由度

デザインのしやすさは HTML と CSS を管理画面に打ち込むだけなので WordPress と MovableType ともに同等である。
しかし、Wordpress の方が配布されているテーマ数が多いので、流用して利用する場合は WordPress の方が公開までの時間短縮と手間の軽減を図ることができる。

2-10.ブログ記事とウェブページの分離

ブログ記事とウェブページの分離は WordPress と MovableType ともに可能である。
階層構成にしたいコンテンツはウェブページで記事を作成し、時系列やタグで管理したい場合はブログとして記事を作成するとよい。

2-11.利用に向いている人

WordPress は利用者とテーマが多く、実現したいことをインターネット上で調べてもすぐにわかることからウェブサイト制作者またはブログ運営の初心者に向いている。

MovableType は WordPress に比べると実現できることが少ないが、アクセスが多い場合にも耐えられ、セキュリティリスクが低いことから安定した運営を行いたい人や業務として請け負う事業者に向いている。

2-12.セキュリティ対策

WordPress は利用者が多いことから脆弱性が頻繁に発見されており、その対応によるアップデートの頻度も多い。
そのため、アップデートにより利用しているプラグインやカスタマイズしている箇所が正常動作しない可能性がある。

対して MovableType は商用版が提供されていることもあり、脆弱性はあまり発見されない。
また、静的コンテンツとして書き出すので攻撃されるポイントが少ないためセキュリティは高いと判断できる。

3.Wordpress の導入で考慮すべき点

WordPress の導入で考慮すべき点としては「制作のしやすさ」と「利便性の高さ」が挙げられる。
「制作のしやすさ」とは HTML や PHP といった知識が少なくともインターネット上で数多く配布されているテーマと拡張機能(プラグイン)を駆使すれば立派なウェブサイトが構築できる点である。

Wordpress のテーマ選択画面


特にテーマが多い点はウェブサイトの制作現場でも重宝され、クライアントが求めるデザインに似たテーマを採用して編集するだけでよいため、制作期間の大幅な短縮を図ることができる。
上図のようにテーマをダウンロードして有効化するだけで即時デザイン変更できるメリットもあるので、季節やイベントに応じてデザインを変更する運用も可能である。。

また、「利便性の高さ」とは表示のたびにプログラム(PHP)とデータベースが動作するため、サイト内検索が高速であったり、アクセス数の多いページをリアルタイムに表示するなどウェブサイトを見る人にとって使いやすいサイトが作りやすい。

4.MovableType の導入で考慮すべき点

MovableType の導入で考慮すべき点としては「安定稼働」と「セキュリティの高さ」が挙げられる。
「安定稼働」とは MovableType で制作したウェブサイトは再構築を行うことで最終的に HTML ファイルで書き出されるため、常にプログラムとデータベースが動作せず、ウェブサーバのリソースに依存するため多くのアクセスがあっても表示までの時間が短く済み、サーバダウンを回避することができる。

MovableType の階層管理画面


上図のように Windows のようにツリー状の階層を作成し、そのままウェブサーバで公開できるので自治体や公共団体のウェブサイトで利用されることが多い。

また、「セキュリティの高さ」として、インターネット上に公開されるコンテンツが HTML が記述されたテキストファイルであることから悪意ある攻撃パターンが限られ、ハッキングやコンテンツの改ざんのリスクを低くすることができる。

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