メールヘッダの Return-Path と Reply-To の違いと確認方法


[初回公開] 2020年06月16日

インターネットで利用されるメールは件名や送信に利用したサーバなどの情報をメールヘッダと呼ばれるメールのプロパティ情報欄に保持されており、差出人情報となる Return-Path と Reply-To の違いと確認方法について紹介する。

メールヘッダの Return-Path と Reply-To の違いと確認方法

1.インターネットでメールが送信される仕組み

インターネットでメールが送信される仕組みは、メールサーバと呼ばれるソフトウェア同士が通信することでメールを送受信することができる。



メールサーバがメールのやり取りをする場合は、はがきや封筒に郵便番号や住所を記載して投函するようにメールヘッダと呼ばれる領域に宛先などを入れて行われる。

2.メールヘッダとは

メールヘッダとは電子メールのプロパティ情報で差出人(From)や宛先(To)の他、メールを受信するまでに経由したサーバなどが含まれている。

一般的にメーラーでメールを閲覧すると本文(Content)の他、件名(Title)や差出人(From)、宛先(To)の 4 種類が表示されることが多い。
これらはメールヘッダの一部となっており、メーラーがヘッダ情報を表示してくれている。

ただし、差出人(From)の情報は送信者が自由に指定できることから詐欺等に悪用されることがあるが、メールヘッダを確認すると実際に送信されたサーバ(ホスト名)が確認できるので成りすましかどうかの判断材料に使うことができる。

3.メールヘッダに含まれる差出人情報

メールヘッダに含まれる差出人情報には、From と Return-Path、そして Reply-To の 3 種類があり、それぞれ次の通りである。

3-1.差出人名として表示する From の情報

メールの From の情報はメーラーで差出人名の表示に利用される。
差出人のメールアドレスと氏名を全角文字または半角文字で指定することができる。

3-2.配送エラーの通知先となる Return-Path の情報

メールの Return-Path の情報はメール送信者がメールを送信した際に、何らかの原因でエラーとなり正常に送信できなかった場合にエラーの通知先となるメールアドレスである。



一般的には差出人のメールアドレスが入っていることが多いが、メールサーバを専任のシステム管理者が保守している場合はシステム管理者宛てのメールアドレスが、メーリングリストであればメーリングリスト管理者のメールアドレスが入っていることがあり、表示される差出人名(From)と異なる場合がある。

3-3.返信先となる Reply-To の情報

メールの Reply-To の情報は、メールを受け取った人がそのまま返信先として利用する場合に利用されるメールアドレスである。
そのため、メーラーでボタン「返信」を押下すると自動的に宛先(To)に Reply-To のメールアドレスが入力される。

例えば差出人 A がメーリングリストにメール送信して、そのメーリングリストを受け取っている受信者 B にメールが届くとする。
この場合、受信者 B が受け取ったメールの差出人は A のメールアドレスではなく、メーリングリストのメールアドレスが表示される。

もしメーリングリストに Reply-To の指定が無い場合、B が返信しようとするとメーラーの宛先(To)欄にはメーリングリストのメールアドレスが自動的に入るが、Reply-To に A のメールアドレスを指定していると、返信時の宛先欄には A のメールアドレスが入る。

このようにメーリングリストの運用例として Reply-To に実際の送信者のメールアドレスを入れるようにしておけば、返信時にメーリングリストではなく実際の送信者へ個別返信しやすくなる。

4.Return-Path と Reply-To の違い

Return-Path と Reply-To の違いは、どちらもメールの差出人の情報である。
Return-Path は送信者がエラー通知を受け取りたい場合に用いられるメールアドレスで、このメールアドレスに送信しても破棄される可能性が高い。



対して Reply-To は返信先として利用してほしいメールアドレスなのでよく使うのは Reply-To の方となる。

実際の運用では送信者は差出人(From)を連絡先として設定しており、Reply-To を別途設定することは少ないためメールの返信時は差出人(From)を利用するのが通例である。

5.Return-Path と Reply-To の確認方法

Return-Path と Reply-To の確認方法は、パソコンのメーラーでメールを開いた後、表示設定でメールヘッダも表示するようにすることで確認することができる。

スマホアプリはメールヘッダを表示する機能が無いアプリが多いため、From と Reply-To は同じメールアドレスにして送信するのが好ましい。

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