[初回公開] 2009年07月27日
今やどの家庭や事務所でも光回線でインターネット通信されているのが一般的だが、一般電話回線を利用した ADSL もまだ一部で使われている中で ADSL のサービス終了日と ADSL の基地局までの距離や伝送損失の測り方、光回線にしたときの通信速度の違いについて紹介する。
このページの目次
1.ADSL とは
ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)とは、通話で利用する一般的な電話回線を使って高速なデジタル通信を提供する技術である。ADSL はダウンロード速度がアップロード速度よりも高い特徴を持っている。
また、ADSL の利用にあたっては回線提供事業者から ADSL モデムをレンタルする必要があるとともに、契約プランによりデータ通信速度が異なっている。
2.自宅や事務所から ADSL の基地局までの距離と伝送損失を測る方法
ADSL は利用する自宅や事務所から基地局との距離が長いほど通信速度が遅く、リンクダウンと呼ばれる通信切断が頻繁に発生して通信不能に陥ることがある。
そのためファイルのアップロードとダウンロードやオンラインゲームをする ADSL ユーザにとって基地局との距離は重要になってくる。
NTT の ADSL 通信プラン(モアIII)ではデータ受信が 47Mbps となっているが、基地局から通いほど契約プランほどの速度はでなくなる。
基地局から利用する場所が遠い場合は引っ越しするのは難しいため、通信速度を上げたり、リンクダウンを回避するためには電話線からモデムまでの配線を短くしたり、家電製品から出る電磁波の影響を受けないようにノイズキャンセラを取り付ることで改善が見られることはあるが、根本的には基地局との距離や立地条件に左右される。
NTT では基地局までの距離とその距離の間にどれだけ通信状況の劣化があるのかを示す「伝送損失」を確認できるウェブサイトを公開している。
伝送損失を測るにあたっては契約している電話番号を入力するだけで測定できる。
上図は実際に自宅から ADSL の伝送損失を測定した結果である。
契約している ADSL のプランはデータ受信の最大が 40Mbps、データ送信が 1Mbps の「モアII」となり、実際の通信速度は 10Mbps 程度しか利用できていないため、基地局から約 2.7km も離れると通信速度が落ちるのが確認できる。
また、基地局との距離が 4Km 以上離れてくると下りの速度は速くても 500Kbps 程度になり、数時間に 1 回の通信切断(リンクダウン)が発生しやすくなるのも確認できている。
加えて ADSL は基地局の距離が近くてもノイズなど周辺環境の影響を受けやすく、以前、新幹線の高架近くに住んでいたときは新幹線が通るたびに切断が発生し、風が強い日も切断が多い傾向にあった。
あまりにも通信速度が出ない、もしくはリンクダウンが頻発する場合は NTT で対応してもらることが可能であり、「電話線の工事」と「帯域制限をかけて通信の安定化」が取られる。
3.ADSL から光へ乗り換える方法
ADSL から光へ乗り換える方法としては、NTT など光回線を提供している事業者に問い合わせて、敷地内の光回線用の工事と光通信用の端末(ONU)を宅内に設置する必要があり、主に次の通りである。
- 光回線の提供エリアの確認 – まずは自身の住所が光回線の提供エリア内にあるか確認する必要がある。確認に際してはウェブサイトやカスタマーサポートに問い合わせる。
- 光回線の契約 – 光回線を提供している通信業者及び、プロバイダと契約する。
- 光回線の設置 – 光回線を利用するためには、自宅に光ファイバーケーブルを引き込む工事が必要となり立ち合いの元実施される。
- ネットワーク機器の接続 – 光回線を利用するためには、光モデムやルーターが必要となり、プロバイダ情報を機器に登録して利用する。
光回線は自宅または事務所に光ファイバーを引き込む必要があり、初期工事費用がかかる。
回線やプロバイダ提供事業者によっては ADSL から光回線に乗り換えることで初期工事費が無料になるキャンペーンが実施されていることがある。
ある光回線への乗り換えキャンペーンでは初期費用は事務手数料の 1,000 円となり、もし固定電話の電話番号をそのままで光電話に移行する場合でも手数料は 5,000 円で済む。
光電話は月額利用料金は 525 円になり通常の通話回線よりも安くなるため通話は携帯電話が主の場合は維持費が安くなる。
また、プロバイダの月額利用料金も光回線の方が安くなる傾向にあり、ADSL の場合は 2,000 円程度が平均だが光回線の場合は 1,200 円ほどになる。
4.ADSL から光に乗り換えた場合の通信速度の違い
ADSL から光に乗り換えた場合の通信速度の違いとしては、光回線の方がアップロードとダウンロードともに通信速度が 10 倍以上も早くなる。
下図は通信速度の測定サイトで通信速度を測定したもので、上側が ADSL、下側が光回線であるが光回線の方が向上しているのが確認できる。
ADSL の場合は測定した場所から基地局まで離れていることもあり、1.32Mbps で測定されている。
単位 bps は 1 秒あたりに通信するビット数なので、実際のデータ単位に変換すると 1 秒間に 164KB のデータ通信を行う速度となる。
対して光回線にした場合の速度は 59.89Mbps と ADSL に比べて 50 倍の差があり、データ単位に変換すると 1 秒間に約 7.5MB の通信ができる。
光回線も利用する時間帯や他の利用者の状況にも左右されるので常に通信速度は一定ではないが、別の日に測定した内容が次のようになり、ADSL に比べると比較的安定した通信が行うことができる。
本日の速度 1.NTTPC(WebARENA)1: 61.03Mbps (7.63MB/sec) 2.NTTPC(WebARENA)2: 29.21Mbps (3.65MB/sec) 推定転送速度: 61.03Mbps (7.63MB/sec)
5.ADSL のサービス終了日
NTT が提供している「フレッツ・ADSL」は2023年01月31日(火)をもってサービス提供を終了しているが、2022年02月1日(火)から2023年01月31日(火)に「フレッツ光」を提供開始するエリアについては、サービス提供終了時期が2025年01月31日(金)までとなっている。
そのため、サービス提供終了日をもって ADSL が利用できなくなるため、それまでに光回線やモバイル Wi-Fi を契約するなど他のインターネット回線を契約する必要がある。
また、ADSL 用のプロバイダ契約をしている場合は解約またや新しく契約した回線用のサービスに切り替えなければ利用料がかかり続けるので注意が必要である。
関連記事
ChatGPT とは?人口知能と対話する ChatGPT の始め方
今年に入り急激に話題に挙がっている ChatGPT だが、人工知能(AI)と対話できるだけでなく検索サイトの代用であったり旅行プランの組み立て、論文の下書きと活用シーンが多岐に渡るため ChatGPT の基本的な概要から…
【147 ツールが無料】レンタルサーバですぐに社内ツールや調査統計ツールを利用する方法
社内のコミュニティツール(グループウェア)やウェブサイトを更新管理する CMS を用意する場合はサーバに加えて、ツールのインストールや設定を社内 SE や外部業者に費用を払って依頼することが多かったが、最近…
YouTube への動画アップロードと「HD バージョンを処理しています」の対応方法
YouTube はアップロードされた動画を見るサービスであるが、再生回数に応じて収益化することができるので芸能人や一般人など多くの人が手軽に動画配信するツールとして利用されており、実際に YouTube へ動画をアップ…