[初回公開] 2021年11月11日
自宅や事務所でインターネットの接続を Wi-Fi で行う場合に設置した無線 LAN ルーターのアクセスポイントを表示すると 1 つの機器から A と G の 2 種類見つかることがあり、A と G の特徴の違いと使い分ける方法について紹介します。これを理解すると、より快適で安定したネット環境を作ることが可能になりますので、ぜひ参考にしてください。

このページの目次
1.Wi-Fi の A と G が SSID に表示される様子
Wi-Fi の A と G が SSID に表示される様子は、下図のように無線 LAN ルーターの番号の前に A と G の表記がある 2 つのアクセスポイントが利用できる点にあります。
これは 1 つの無線 LAN の機器から周波数帯が異なる無線が出ていることを表しており、利用者は両方を利用することができます。

インターネットを Wi-Fi で利用する場合は、スマホであればネットワーク設定から利用する無線 LAN の名称(SSID)を選択してパスワード(アクセスキー)を入力することでそのアクセスポイントが利用できるようになります。

両方ともスマホやタブレットに接続設定を入れている場合は A での通信が優先され、A が使えない場合は G で通信することが多いです。
例えば Buffalo 製の無線 LAN の親機の場合は次のようになっております。
Gを含むSSID 例 Buffalo-G-XXXX Aを含むSSID 例 Buffalo-A-XXXX
私自身、自宅の Wi-Fi 環境で A と G の SSID が両方表示されている状況で混乱したことがありました。
特に、A の 5GHz 帯は高速で快適なのですが、部屋の隅など障害物がある場所では電波が届かず接続が切れることが頻繁にありました。
そのため、通信が不安定で作業に支障をきたし、どちらの SSID を使うべきか判断に困った経験があります。
結局、場所によって G の 2.4GHz 帯に切り替える必要があり、環境に応じた使い分けが重要だと実感しました。
2.Wi-Fi の A と G の違い
Wi-Fiの「a」と「g」は、無線LANで使われる周波数帯や通信規格を示す記号です。
「a」は 5GHz 帯の周波数を利用し、高速で安定した通信が可能ですが、壁などの障害物に弱く、電波の届く距離が短い特徴があります。
一方「g」は 2.4GHz 帯を使い、障害物に強く電波が遠くまで届くため広範囲での利用に適していますが、電子レンジなど他の機器との干渉を受けやすく、通信が不安定になりやすいデメリットもあります。
使用環境や目的に応じて「a」と「g」を使い分けることが快適なWi-Fi接続のポイントです。
3.Wi-Fi の A と G の違い
Wi-Fi のアクセスポイントで表示される A と G の違いは、機器から発せられる電波の周波数帯が異なっていることです。
A と G のそれぞれの周波数には特徴があり、まとめたものが下表でございます。
| SSID に含まれる文字 | A | G |
|---|---|---|
| 周波数帯 | 5.0GHz帯 | 2.4GHz帯 |
| 無線規格 | 11ax 11ac 11n 11a |
11ax 11n 11g 11b |
| メリット | 通信が安定し、高速通信できる | 5.0Hz帯よりも電波が遠くに届く |
| デメリット | 壁など障害物があったり、距離が遠くなると電波が弱くなる | 同じ周波数を利用している機器(他の無線LANや電子レンジなど)が多いため、電波干渉しやすく通信が不安定になりやすい |
上表のように、A は通信が安定しているものの距離が遠くなると電波が弱くなり、反対に G は遠くまで電波が届く代わりに不安定になりやすいといった違いがございます。
尚、A の電波が届く距離は無線 LAN 本体の電波出力の性能に影響され、数千円台の安価な機器ほど電波が届く距離が短くなります。
4.無線 LAN の親機が A と G のどちらに対応しているか確認する方法
無線 LAN の親機が A と G のどちらに対応しているか確認する方法としては、機器が梱包されていた外箱に記載されている仕様、またはメーカーの公式サイトで「IEEE802 11ax」や「IEEE802 11n」といった表記からわかります。
「IEEE802 11ax」や「IEEE802 11n」はその製品がどの通信規格に対応しているか示しているもので、下図のように最近の無線 LAN の親機は A と G のどちらにも対応していることが多いです。

A と G のそれぞれがどの通信規格かは前述した表に記載している通りですが、周波数が 5GHz を利用する A の通信規格には 11ac や 11a といった a の文字が入っています。
しかし、5GHz での通信は 11g と 11b は利用しないため、製品の仕様に 11g と 11b の表記が無い場合は 2.4Ghz 帯の周波数を利用する G の通信はできないことを示しています。
5.SSID の A と G を使い分けるポイント
SSID の A と G を使い分けるポイントとしては、障害物がなく通信速度を上げたい場合は A を、アクセスポイントから離れた場所にあり通信を安定させたい場合は G を利用するとよいです。
5-1.Wi-Fi の A を利用すると良い場合
Wi-Fi の A を利用すると良い場合は、無線 LAN の親機と同じ部屋で利用する場合に適しています。
また、下表のように 5.0Ghz 帯の周波数の方が通信速度の最大値が大きいため、動画の視聴など短時間に大量の通信が発生する場合は A で通信するほうがよいです。
| 通信規格 | 通信速度(最大) | 周波数帯 |
|---|---|---|
| (Wi-Fi 6)IEEE802.11ax | 9.6Gbps | 2.4GHz/5.0GHz帯 |
| (Wi-Fi 5)IEEE802.11ac | 6.9Gbps | 5.0GHz帯 |
| (Wi-Fi 4)IEEE802.11n | 300Mbps | 2.4G帯/5.0GHz帯 |
| IEEE802.11a | 54Mbps | 5.0GHz帯 |
| IEEE802.11g | 54Mbps | 2.4GHz帯 |
| IEEE802.11b | 11Mbps | 2.4GHz帯 |
5-2.Wi-Fi の G を利用すると良い場合
Wi-Fi の G を利用すると良い場合は、無線 LAN の親機から離れている場所での利用や、古いスマホやパソコンで利用するときに適しています。
2.4Ghz 帯の周波数を利用する G の通信は遠くまで届く特徴があることから、無線 LAN がある部屋の隣であっても A よりも G の方が通信しやすい場合があります。
また、古いスマホやパソコンは A の通信に対応できていないことがあるので必然的に G の通信のみとなります。
6.A と G の電波からさらに上位の高速な電波
Wi-Fi の「a」と「g」は昔から使われている周波数帯や通信規格の一部ですが、その上位にあたる高速で安定した通信規格も登場しています。
- 「n」規格(IEEE 802.11n):2.4GHzと5GHzの両方に対応し、「a」「g」よりも高速かつ広範囲に対応できる規格です。最大通信速度は理論上600Mbpsまで達します。
- 「ac」規格(IEEE 802.11ac):5GHz帯専用で、さらに高速な通信を実現。最大通信速度は数Gbpsに達し、動画ストリーミングやオンラインゲームなど大容量データのやり取りに適しています。
- 「ax」規格(Wi-Fi 6、IEEE 802.11ax):最新のWi-Fi規格で、5GHz帯だけでなく2.4GHz帯も効率的に使い、速度・接続数・遅延の改善がされています。最大通信速度はさらに向上し、混雑した環境でも安定した通信が可能です。
これらの新しい規格は「a」や「g」の周波数帯を利用しつつ、高度な技術で速度や安定性を大きく向上させています。
そのため、Wi-Fiの「a」と「g」は基本的な区分ですが、その上位にある「n」「ac」「ax」などの規格を使うことでより快適な通信が可能です。
7.まとめ
Wi-Fi のアクセスポイントに表示される A と G は、それぞれ周波数帯や特徴が異なるため、環境や利用目的に応じて使い分けることが重要です。
高速で安定した通信を求める場合は 5GHz 帯の A を選択し、通信距離や障害物を考慮して広範囲で安定性を重視する場合は 2.4GHz 帯の G を選ぶとよいです。
実際の利用環境で困ることも多いため、スマホやパソコンの接続設定で両方を登録し、状況に応じて適切に切り替えることをおすすめいたします。









