Word や Excel を電子書籍ファイルフォーマットの EPUB へ変換する方法


[初回公開] 2013年05月10日

書籍が電子化されてパソコンやスマートフォンで読むことができる時代になり、書籍を出版する側としても電子化されることで印刷と製本といったコストが大幅に削減できるメリットがある反面、電子書籍の仕組みを知っておく必要があり、電子書籍のファイル形式の 1 つである EPUB の概要と Word や Excel から変換する方法について紹介する。

Word や Excel を電子書籍ファイルフォーマットの EPUB へ変換する方法

1.電子書籍を配布するメリット

電子書籍を配布するメリットとしては、出版にかかるコストが低いことと読者の手元に届くまでのスピードが早いことである。
一般的に書籍を出版する場合は、出版社を通じて書店に並べられる。
売れる見込みのある書籍は出版社が印刷と製本、流通の費用を肩代わりしてくれるが、見込みが低いものは諸経費を著者が負担する必要がある。



それに対して電子書籍は原稿となるファイルデータと、現行を電子化するソフトウェアトがあれば誰でも低コストで出版することができるメリットがある。

また、出版社を通して出版する場合、掲載内容に間違いがないか校閲が入ったり、印刷して店頭に並ぶまでに時間がかかってしまう。
しかし電子書籍の場合は作成すればすぐにインターネットを介して展開できるので掲載内容が陳腐化する前に新しい情報を世に出すことができる。

2.電子書籍の形式とは

電子書籍の形式とは、ファイルのデータ構成を差すもので主に電子書籍には次の 3 つがある。

  • azw
  • pdf
  • epub

これはワープロ文書を例に挙げると、Word で作成したファイル拡張子は .doc または .docx であるのに対して、一太郎で作成した場合は .jtd となるように一重に「電子書籍」といってもファイル形式に種類があるのと同様である。

電子書籍のファイルデータの特徴としては専用のアプリやソフトウェアで表示できるとともに、ページをめくるようにスライドすることができる。
また、指定のページにジャンプしたり書籍内の特定キーワードで検索することも可能になる。

反対に、利用する電子書籍のアプリが対応していないファイル形式では正常に表示されないなど弊害も発生する。

前述の電子書籍の種類の中で azw は amazon 社が提供する電子書籍アプリ「Kindle」で利用できる形式である。
pdf は Adobe 社が提供する電子データをページ化するファイル形式で電子書籍以外でも自治体の公開資料やビジネス、印刷業界など多種多様で利用されている。
最後に epub は電子書籍の形式を統一することを目的に作られた国際な規格で電子書籍アプリの多くで epub に対応している。

3.EPUB とは

EPUB(Electronic PUBlication)とは、国際電子出版フォーラム(International Digital Publishing Forum、IDPF)が策定した電子書籍ファイルの形式であり、利用制限や、利用に際してコストがかからないのが特徴である。

epub はファイルの拡張子も .epub となっており、ウェブサイトを構成している HTML を発展させた XHTML 形式のデータを ZIP で圧縮している。
そのた解凍ソフトで展開すれば中身はテキストデータとなっており軽量で扱いやすい。

epub の中身を確認した様子


上図は epub を解凍した様子である。
PDF のようにバイナリファイルになっていないので専用のソフトが無くても閲覧が可能である。

解凍後に展開されるフォルダには画像が入った Images フォルダ、CSS が入った Styles フォルダ、XHTML 形式のコンテンツが入った Text が存在する。

4.資料ファイルを EPUB へ変換する方法

資料ファイルを EPUB へ変換する方法としては、インターネット上で公開されている変換サイトか、無料で提供されている EPUB への変換ソフトウェアを利用して EPUB に変換する。

電子書籍の原稿となるファイルは Office の Word や Excel の他、 Adobe の Illustrator などで作成したファイルなど印刷できるものであれば書籍化が可能である。
Adobe 製品であれば EPUB に書き出す機能が搭載されているため、別途、EPUB に変換するソフトをインストールする必要は無い。

ただし、インターネット上で公開されている EPUB への変換ツールを利用する場合は、原稿ファイルをアップロードすることになるので掲載内容が変換ツールの運営者に見られたり不当に利用されるリスクがある点に注意しなければならない。

5.電子書籍の EPUB を表示する方法

電子書籍の EPUB を表示する方法としては、電子書籍対応のアプリやソフトウェアを利用する他、ウェブサイトの表示に利用しているブラウザでも見ることが可能である。
ブラウザの Google Chrome は特に設定することなく EPUB に対応しているが、Firefox は EPUB 表示用のアドオンを別途インストールする必要がある。
Microsoft Edge においては EPUB のサポートをしていないため利用するブラウザによって EPUB への対応が異なる。

Firefox で EPUB を表示するためにはアドオン「EPUBReader」が用意されており、Firefox を起動して「ツール -> アドオン」を選択して EPUBReader 検索するか、下記サイトへ Firefox でアクセスするとインストールすることができる。
-> Firefox ADD-ON EPUBReader

EPUBReader をインストールしてを有効化すると、EPUB で電子書籍を配布しているサイトを開いたり、EPUB 形式の電子書籍をダウンロードしている場合はその EPUB”ファイルを Firefox にドラッグ&ドロップすると自動的に認識して表示される。

EPUBReader で表示した電子書籍


配布されている電子書籍が PDF のように目次となるしおりが設定されていれば上図のように左部に見出しが表示され、右側にコンテンツが表示される。

6.通常の出版と電子書籍との使い分け

通常の印刷した出版と電子書籍との使い分けとしては、出版にかかるコストと目的で見極めるとよい。
紙媒体で提供する場合は印刷・製本のコストがかかるのと店頭に配送するコストがかかるため、コストがかかってでも紙で提供する目的を明確に持つ必要がある。
対して電子書籍は公開するウェブサーバがあれば提供できるので紙媒体よりもコストはかからないが、店頭に並ばないため読者の目に付くための施策や広報費が必要になる。

また、出版のは自費出版と出版社を通す方法の 2 通りがある。
前者は経費含めて全て自分で行うため、値決めも自由であり売れた分がそのまま利益となる。
出版社を通す場合は経費を徴収されることがあるがで著者以外の第三者のチェック(校閲)が入るので正しい情報が提供でき、より読み手を惹きつける掲載内容の提案、売り上げにつながる販売促進と販路の確保が行えるメリットがある。

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