[初回公開] 2013年04月24日
メーリングリストはあるメールアドレスにメールを送ると複数の人に同時に同じメールを送信することができる仕組みで、情報共有するツールとして採用している企業は多く、自社で独自にメーリングリストを持つために今回は FML を例にインストールする方法を紹介する。
このページの目次
1.メーリングリストとは
メーリングリストとは、ある特定のメールアドレスにメールを送ると、そこから同時に複数の人に同じメールが送信される仕組みである。
メールの送信社はメーラーの To や Cc、そして Bcc などに毎回宛先を選択しなくても、メーリングリストとなるメールアドレス 1 つにメールを送るだけで同報送信できるので、宛先間違いや、送信漏れを無くすことができる。
メーリングリストは無償版、有償版のサービスを利用する他に、自社で所有するメールサーバにメーリングリストのミドルウェアをインストールすることで利用することができる。
無料で配布されているメーリングリストの中で FML のインストールとメーリングリストとして利用するための設定が次の通りである。
2.FML とは
FML とは、深町賢一氏により開発およびメンテナンスされているサーバにインストールするミドルウェアである。
プログラム言語は perl で作られているため、Linux 系のサーバであれば動作する。
Linux 系のサーバは OS を初期インストールした段階で既に perl がインストールされていることが多いが、もしインストールされていなければ、予め perl を入れておく必要がある。
また、FML は無料で利用することができるが、メーリングリストの作成や設定変更の他、エイリアスの設定なども必要となるため、サーバの root 権限が無いホスティングでは稼動させることはできない。
3.サーバにメーリングリスト FML をインストールする方法
サーバにメーリングリスト FML をインストールする方法としては、FML をダウンロードしてインストールコマンドを実行する。
インストールした後は、すぐにメーリングリストを作成することができるが、実際にメールを送受信するメールサーバと連携するように設定を行う必要がある。
今回はサーバの OS が CentOS、メールサーバは postfix の環境下で FML をインストールする
また、FML のバージョンは 4 系と 8 系があり、バグが枯れているバージョン 4 系を使うものとする。
3-1.FML をダウンロードする
FML のダウンロードは下記の URL で入手する。
ダウンロードしたファイルは tar で圧縮されているため、サーバにアップロードするか、OS に SSH などでログインした状態で wget コマンドで直接サーバにダウンロードも可能である。
ftp://ftp.fml.org/pub/fml/stable/fml-4.0-stable-20040215.tar.gz
3-2.FML をインストールするユーザを作成する
次にメールを受信してからの処理は FML をインストールしたユーザ権限で行われるため、そのユーザを作成する。
FML 用のユーザ名に指定はなく任意で決めることができるため、今回はユーザ名「fml」で作成する。
# useradd fml # passwd fml
3-3.FML のインストール先を作成する
ユーザ「fml」を作成すると、/usr/local にディレクトリ fml が作成されるため、このディレクトリが perl が実行できるようにパーミッションを 755 にする。
# mkdir /usr/local/fml # chown fml.fml /usr/local/fml # chmod 755 /usr/local/fml # mkdir /var/spool/ml # chown fml.fml /var/spool/ml # chmod 755 /var/spool/ml
また、FML で利用するメールボックスとして /var/spool の配下にディレクトリ「ml」を作成する。
3-4.FML をインストールする
4. FMLをインストールする
次いで、ユーザ fml の権限でダウンロードした FML の圧縮ファイルを解凍してインストールを行う。
# su - fml $ cd {ダウンロードした圧縮ファイルがあるディレクトリ} $ tar zxvf fml-4.0-stable-20040215.tar.gz $ cd fml-4.0-stable-20040215 $ perl makefml install
3-5.メーリングリストを作成する
perl コマンドで FML のインストールが完了すれば、実際にメーリングリストを作成する。
インストールにより /usr/local/fml 配下に FML 関連のファイルができており、その中に makefml コマンドの実行ファイルがある。
$ /usr/local/fml/sbin/makefml newml {メーリングリスト名}
FML でメーリングリストを作成する場合は上記のように makefml の後ろに新規作成を指示する newml と {メーリングリスト名} にメーリングリストのメールアドレスとなる @ の左側に該当する文字列を任意で指定する。
makefml のコマンドは配信されるメールのタイトル設定やメーリングリストに送信できるか否かの制限など、メーリングリスト毎に行う設定も makefml コマンドにオプション値を付けて行うことができる。
メーリングリストが作成されると、サーバ内にメーリングリスト名のディレクトリが生成される。
その中に配信先や送信可能者のメールアドレスの一覧がテキストファイルで保存されている。
FML の個々のメーリングリストの設定ファイルは config.ph というファイルで決められるため、makefml コマンドを利用せずとも vi コマンドで直接設定ファイルを編集することも可能である。
3-6.メールサーバと連携するように設定する
次にメールサーバと連携するように次のように設定する
今回はメールサーバに postfix を利用しているので、エイリアス(aliases)と呼ばれる送信されたメールを転送したり、受信をきっかけとしてプログラムを起動したりする設定ファイルに FML が動作するように設定する。
$ exit # cd /var/spool/ml/{メーリングリスト名} # cat aliases >> /etc/aliases # newaliases
また、メールコマンドパイプラインに関するパラメータを指定する必要があるため、postfix の設定ファイルとなる main.cf の allow_mail_to_commands の箇所を次のように変更する。
# vi /etc/postfix/main.cf → allow_mail_to_commands = alias,forward,include
3-7.メールサーバを再起動する
postfix の設定ファイルとなる main.cf を編集した後は、内容を反映させるためにメールサービスを次のコマンドで再起動させる。
# /etc/init.d/postfix restart
3-8.メーリングリストに所属するメンバーを登録する
ここまででメーリングリストのメールアドレスにメールが届けられる状態になったため、次はメールを受けると同報配信するメンバー(メールの配信先)を登録する。
# su - fml $ /usr/local/fml/sbin/makefml add {メーリングリスト名} {メンバーのメールアドレス}
上記のように makefml コマンドにメンバー追加の add をオプションに付けて、メンバーとさせるメールアドレスを 1 件ずつ登録する。
3-9.メーリングリストにメールを送って複数人に送信させる
最後に、作成したメーリングリスト宛てにメールを送信し、メンバーとなっているメールアドレスにメールが届くのを確認する。
FML はメーリングリストの運営に必要なコマンドが一通り用意されているので、比較的簡単に情報共有ツールとして導入することができる。
また、メーリングリストを作成するとサーバ内にメーリングリストごとにディレクトリが作成されるため、個々に詳細な設定を行うことが可能になるため、用途に応じて調整するとよい。
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