[初回公開] 2021年09月23日
パソコンで Google など検索サイトを利用していると画面下部に自分の現在いる住所がかなり特定された状態で表示されることがあり、位置情報を特定する GPS が無い環境下で Google はどのように所在地を特定しているのかと、それによる影響について解説する。
このページの目次
1.GPS の無いパソコンで住所が表示される様子
位置情報の参照に利用される GPS 機能が無いパソコンでも Google など検索画面に住所が表示される様子は、下図のように市町村名と地域名まで特定された状態で表示される。
スマートフォンで Google の検索を利用するとスマホに内蔵されている GPS で現在地または過去に取得した情報を Google に一緒に送信するので周辺の情報を優先的に得ることができるが、位置情報を収集する GPS 機能がないパソコンでも位置が特定されることに疑問に思う利用者は少なくないだろう。
表示される住所は現在いる場所から半径数 Km 圏内といったかなり特定された状態で表示されることもあれば、市町村単位といったあまり特定されずに広域な表示されることもある。
また、現在いる所在地とは全く異なる場所が表示されることもあるが、何等かの情報から位置を特定していることは窺える。
2.Google が GPS が無くても所在地を特定できる理由
Google が GPS が無くても所在地を特定できる理由としては、「アクセスポイント名から判断」と「他のデバイスの位置情報から判断」、そして「ウェブサイトの住所から判断」の 3 通りが考えられる。
2-1.アクセスポイント名で判断している
インターネットを利用するためには、インターネットに接続するサービスを提供しているプロバイダとの契約が必要となる。
そのプロバイダは地域ごとにインターネットに接続するアクセスポイントを設置しており、そのアクセスポイントはホストと呼ばれるインターネット上の住所を持っている。
Google を始めとするウェブサイトがあるサーバには、どの場所(アクセスポイント)からアクセスしてきたかをホスト名として次のような文字列で渡される。
p*******-ipngn*****marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp
上記からは「プロバイダは OCN」、「東京都丸の内」の情報を読み取ることができる。
このように、接続してきたホスト名から Google は位置情報を特定が可能になり、検索結果画面や Google Map で予め現在地を表示するのに役立てられている。
また、これは Google に限った話ではなく、ウェブサイトを公開している運用者であれば誰も取得できる情報であり、ウェブサーバのログやアクセス解析ツールを導入していれば容易に収集可能である。
2-2.同じアクセスポイントを使っているスマホの位置情報を収集利用している
次に、前述のホスト名でも住所に関係する情報が無いホスト名でも、Google は位置情報を推測して表示することができる。
それは、Google が開発提供しているスマホの OS(Android)の情報を利用しているからである。
例えば下図のように、同じアクセスポイントからスマホとパソコンのユーザが利用しているとする。
パソコンの利用者は GPS の機能が無いので位置情報はわからないが、スマホのユーザの位置情報は Google に送られているので、特定のホスト名からのアクセスがどのあたりの位置なのかは Google は推測することが可能である。
具体的に示すと、アクセスポイントのホスト名が「123456.sample.ne.jp」と住所がわかる情報が無くても、「東京都の渋谷」にいるスマホ利用者が「123456.sample.ne.jp」のホスト名を利用していると、スマホの GPS 情報から Google は「123456.sample.ne.jp = 渋谷」と判断して、Google Map を起動すると最初に渋谷が表示されるようになる。
ただし「123456.sample.ne.jp」が利用できる範囲が広かったり、利用者が大勢いる場合はホスト名と場所を紐づけることが難しくなり、住所の特定が曖昧になることがある。
反対に自宅で同じ Wi-fi を家族複数人で利用すると、同じホスト名からアクセスされるスマホの位置情報が特定地域に集中するので住所が特定しやすくなる。
2-3.企業・団体情報から特定している
最後に、ホスト名はプロバイダ名と住所の他に、下記のように企業名や団体名がホスト名となりサーバにアクセスすることがある。
*****.sample.co.jp
例えばこの sample.co.jp を URL に持つ企業がウェブサイトに住所を公開しており、その場所が新宿とする。
この *****.sample.co.jp にいる社員が Google で検索するとホスト名は *****.sample.co.jp という情報しか渡らないが、Google は別途、ウェブサイトの住所を保持しているので、こられの情報を照らし合わせて「*****.sample.co.jp から来たアクセスは新宿」と判断して Google Map 起動時に新宿を指すようになっている。
ただし、企業や団体が支店など複数個所に分かれており、どの拠点からアクセスしてもホスト名が *****.sample.co.jp になる場合は、本社がある住所が表示されることが多い。
例えば本社が新宿で、大阪の事務所にいる社員が Google Map を利用すると本社の場所が初期されるのはそのためである。
3.所在地が特定されることの影響
所在地が Google など検索サイトに特定されることの影響としては、例えば Google で「病院 夜間」と地域を入力せずに検索しても所在地の情報から今いる地点周辺の夜間診療を行っている病院の検索結果を返してくれる。
そのため、現在いる場所に関係無い情報が表示されることが減るので利便性が上がる。
反対に、検索で利用したキーワードやよく見るサイトといった嗜好や行動履歴も情報収集されているため、検索時に表示される広告が近い地域のものであったり、第三者のビジネスで利用されることもあることを念頭に置いておいたほうがよい。
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