[初回公開] 2019年05月15日
ノートパソコンを利用していてソフトの起動や動作が遅い時の原因の 1 つにメモリの容量不足が挙げられます。その場合はメモリを増設またはよりスペックが高いものに交換することで解決できますが、パソコンによっては合わないメモリがあるため、メモリ増設と交換する方法と注意点について紹介します。

このページの目次
1.メモリ増設できずに困ったこと
実際に私が経験したことで困ったことは、ノートパソコンのメモリ増設ができずにパソコンの動作が遅くて仕事に支障が出たことです。
購入したパソコンがオンボードメモリのみで増設用のスロットがなく、あとからメモリ容量を増やすことができませんでした。

そのため、高負荷の作業をする際に頻繁に動作が遅くなり、作業効率が大幅に落ちてしまいました。
新しいパソコンを買い替えるしか選択肢がなく、予想外の出費と時間のロスに困りました。
2.パソコンのメモリの役割とは
パソコンのメモリの役割とは、ソフトウェアが動作したりファイルを操作する上で一時的にデータを保存する部品です。
例えば Word や Excel などソフトウェアを起動するとメモリ上で動作し、文字をコピーしたり、操作を戻すことができるのもメモリに保存しているためです。
メモリに保存されたデータはシャットダウンや再起動で初期化されるので、恒久的にデータを保存したい場合は HDD や SSD といったストレージに保存する必要があります。
また、ソフトウェアを複数起動したり、1 つのソフトウェアでも複雑な処理を行うものは大量のメモリを必要とするため、パソコンの動作が遅いといった事象が出た場合はメモリを増やすことで処理能力を上げることができます。
3.メモリが不足しているか確認する方法
メモリが不足しているか確認する方法としては、Windows に標準機能として備わっているタスクマネージャーで見ることができます。
タスクマネージャーはデスクトップの Windows マークを右クリックして表示されるメニューから起動するか、Ctrl + Alt + Del キーを押して「タスクマネージャー」を選択します。

上図は実際にタスクマネージャーを起動した様子で、タブ「パフォーマンス」をクリックするとメモリを始め、CPU などリソースの利用率を確認することができます。
グラフで視覚的に表示されるので、今回の図ではメモリ全体に対して約半分ぐらい利用しているのがわかります。
また、メモリの最大数は画面右上に表示されており、ここでは 6.0GB がパソコンに搭載されているのがわかります。

パソコンに搭載しているメモリはデスクトップの Windows マークを右クリックして「システム」をクリックすることでも確認することができます。
もしパソコンの動作が遅いと感じ、タスクマネージャーでメモリの利用率を確認して常に 85% 以上使っている状態であればメモリを増設またはメモリをサイズの大きいものに交換するとパソコンの動作が早くなります。
4.ノートパソコンのメモリを増設または交換する方法
ノートパソコンのメモリを増設または交換する方法としては、パソコンの裏面のネジ止めされているパネルを空けるとメモリが挿さっているスロットが現れます。
スロットが複数あれば空いている箇所にメモリを挿し込み、スロットが 1 つしかなければ挿さっているメモリを取り外して、新しいメモリを挿し込みます。
いずれの方法もメモリを挿した後にパソコンを起動すると自動的に OS がメモリを認識して利用できるようになります。
5.ノートパソコンのメモリに関する注意点
ノートパソコンのメモリを増設したり交換する際の注意点としては、「パソコンの最大メモリ」と「メモリの形状」、そして「メモリの表と裏」の 3 点が挙げられます。
5-1.パソコンに搭載できる最大メモリに注意する
パソコンにはメーカーや機種ごとに利用できる最大メモリが定められており、その規定値以上のメモリを挿しても最大値分しかメモリが利用できません。
また、挿したメモリを OS が認識できずに利用できない事態に陥ります。

搭載できる最大メモリ数はメーカーのサイトまたはパソコンに同梱されている仕様書等に記載されています。
上図のように購入時のメモリ数の他に「メインメモリー(最大)」とあり、このパソコンの場合は 16GB までのメモリが利用できるのがわかります。
また、ノートパソコンによってはメモリを挿すスロットが 1 つしかない場合があります。
例えば最大 16GB までメモリの搭載が可能なパソコンで、スロットが 1 つしかないと 16GB のメモリを購入する必要があります。
しかしスロットが 2 つあれば、8GB のメモリを 2 枚用意することで最大 16GB として利用することができます。
スロットがいくつあるかはメーカーサイトでも表示されていないことがあるため、事前に問い合わせるか、実際にパソコンの裏面のパネルを開いてスロットの数を確認したほうがよいです。
5-2.メモリの形状に注意する
メモリにはパソコンと適合するための種類があり、その種類はメモリの形状に見分けられるようになっています。
ノートパソコンのメモリにはスロットに挿し込む部分(端子がある方)に「切り欠き」と呼ばれる切れ目が存在し、この「切り欠き」により適合しないメモリは物理的に挿さらないように設計されています。
そのため、メモリを購入する前にメーカーサイト等で事前にどのメモリが適合するのか確認する必要があります。
例えば古いノートパソコンであれば DDR2 と呼ばれるメモリが主流でしたが、時代が流れるとともに DDR3、DDR4 と規格が進化しています。
下図は DDR2 のメモリの形状となり、切り欠きがメモリの端に近い箇所にあるのがわかります。

対して DDR3 は切り欠きがメモリ中央に近い箇所にあり、DDR3 に対応したパソコンは DDR2 が挿し込むことができない仕組みになっています。

5-3.メモリと表と裏に注意する
メモリには表と裏があり、パソコンのスロットに差し込む際はこの向きに注意する必要があります。
また、インターネット上で販売されているメモリの写真を見てみると、同じ DDR3 でも切り欠きが右寄りだったり左寄りだったりします。
これは撮影した写真が表か裏かの違いであり、実際にパソコンに挿し込む場合は表か裏かは気にする必要がなく、切り欠きの位置にだけ気を付ければよいです。
例えば DDR2 のメモリの表と裏を比較するため、前述の図を裏返したのが下図となります。
切り欠きの位置が変わる以外は、メモリ IC の数や厚みは変わらないため厚みの違いでスロットに挿さらないということはありません。

加えて、DDR3 のメモリの表と裏も比較しましたが、DDR2 と同様に切り欠きの位置が変わる以外は厚み等に大きく異なる点は見受けられませんでした。

5-4.オンボードメモリか確認する
最近のノートパソコンでは、メモリがマザーボードに直接はんだ付けされている「オンボードメモリ」が採用されることが増えています。
オンボードメモリは物理的に増設や交換ができないため、メモリ容量を増やしたい場合はパソコン自体を買い替える必要があります。
オンボードメモリかどうかを確認する方法は以下の通りです。
- パソコンの取扱説明書やメーカー公式サイトの仕様欄で「メモリ増設スロットの有無」や「オンボードメモリ搭載」の記載を確認する。
- 裏面のパネルを開けてメモリスロットの有無を目視確認する。ただし、保証を損なう恐れがあるため自己責任で行ってください。
- Windows のシステム情報(「msinfo32」を検索して起動)で「物理メモリの合計」や「メモリスロットの情報」を確認する場合もありますが、オンボードメモリかどうかを判別できないこともあります。
事前にオンボードメモリかどうかを確認しておくことで、無駄なメモリ購入や作業を避けられますので、特に中古や型落ちモデルを購入する際は注意しましょう。
6.まとめ
ノートパソコンのメモリは、パソコンの動作速度や処理能力に大きく影響します。
メモリ不足を感じた際はタスクマネージャーなどで利用状況を確認し、必要に応じて増設や交換を検討することが大切です。
ただし、増設の際にはパソコンの最大搭載容量やメモリの形状、向きに注意し、適合するメモリを選ぶ必要があります。
また、最近のノートパソコンではオンボードメモリの採用が増えており、増設できない場合もありますので、購入時にメモリ容量をよく検討することをおすすめします。