[初回公開] 2018年11月12日
Excel はセルに入力したデータを集計したり抽出したりといったデータの利用の他に、検索や一括置換といったデータへの操作が可能ですが、セルに自由にデータを入力できるメリットがある反面、データが統一されないデメリットもあります。そこで、データを統一する一例として、小文字交じりの文字列をすべて大文字に変換する方法をご紹介します。

このページの目次
1.Excel で同じ意味でも違うデータと見なされる例
Excel で入力したデータが同じ意味でも違うデータと見なされる例としてよく挙げられるのが「大文字と小文字」の違いと「全角と半角」の違いです。

前者の「大文字と小文字」の違いは、下記のようにソフト名の『エクセル』を意味しているものです。違いとしては、上段は頭文字が大文字になっており、下段はすべてが小文字ですが、Excel では別のデータと認識します。
Excel
excel
次に後者の「全角と半角」の違いは、先ほどと同じようにソフト名の『エクセル』を意味しているものの、上段はすべてが全角文字、下段は半角文字になっていることで、Excel は別のデータと認識してしまいます。
Excel
Excel
このように、同じ意味の文字列でも、大文字と小文字、または半角文字と全角文字の違いで別のデータとして取り扱われることを念頭に置く必要があります。
2.同じ意味でも違うデータと見なされることの問題点
前述のように同じ『エクセル』という意味でも違うデータと見なされることの問題点としては、集計や検索時に該当しないデータが出てきたり、反対に含まれるべきデータが含まれなくなることが挙げられます。
例えば「Excel」という文字列がある行をカウントする場合に、「excel」や「Excel」といった状態で入力されているとカウントされなくなります。そのため、正しい集計が行えず、分析を誤ったり、報告間違いに発展するおそれがあります。
3.小文字交じりの文字列を大文字に変換する方法
実際に私も、Excel 上でデータを統一できずに困った経験があります。複数のメンバーが入力したデータを集計しようとしたところ、「Excel」「excel」「Excel」など、見た目では同じに見えるものがすべて別データとして扱われてしまい、関数での抽出や COUNTIF で正確な件数を出すことができませんでした。特に報告資料を作成する段階でこの問題に気付き、急遽全データを確認し、関数で統一するという余計な作業が発生しました。このようなトラブルを避けるためにも、あらかじめ文字列を統一する方法を身につけておくことが重要です。
小文字交じりの文字列を大文字に変換する方法としては、Excel に用意されている文字列変換の関数を利用します。次の例では、既にデータが入っているセルはそのまま残し、新たに大文字に変換した後の値を入れるセルを用意します。
3-1.半角小文字が混ざった文字列を用意する
文字列をすべて大文字に変換するにあたり、まずは半角小文字が混ざった文字列を下図のように用意します。今回はセル B2 に変換前の文字列を入力しています。

3-2.大文字に変換する関数を入力する
次に、大文字に変換する関数を次のようにセル D2 に入力します。関数を入力した後にキーボードのエンターキーを押すと、関数の処理が実行されて大文字に変換されます。
=UPPER(変換対象のセルの位置)

上図では、大文字に変換する前の文字列があるセルは B2 であるため、UPPER 関数の () 内には変換対象のセルの位置を示す B2 を入力します。
4.キー「変換」を利用する
Excel 上で文字列をすべて大文字に統一する方法として、関数を使う以外にも、文字入力時に日本語入力ソフト(IME)の「変換」キーを利用する方法があります。
これは特に新しく文字を入力する際に使える方法で、Shift キーを押しながら文字列を選択し、「変換」キーを押すことで、英字部分を大文字に変換することができます。
例えば、「Excel」と入力した後、Shift + ←キーなどで文字を選択して「変換」を押すと、「EXCEL」など候補が表示されるので選択することで変換されます。
この方法は関数を使わずに一時的に変換する用途に向いています。
ただし、既に多数のセルに入力されたデータを一括で変換する場合は、UPPER関数を使った方が効率的です。
5.まとめ
Excel でのデータ集計や検索作業では、見た目が同じでも形式の違いによって意図しない結果になることがあります。大文字と小文字、全角と半角の違いを正しく理解し、必要に応じて関数を使ってデータを統一することが重要です。今回紹介した UPPER 関数のように、Excel には便利な文字列処理機能が用意されているため、これらを活用して効率的に作業を進めましょう。









