不要になった Wi-Fi ルーターをハブとして再利用する方法と注意点


[初回公開] 2025年06月16日

家庭内のネットワーク環境が進化し、新しい Wi-Fi ルーターを導入することも増えてきました。とはいえ、古いルーターは使い道がなく、押し入れの奥にしまいっぱなしになっていませんか?実は、その不要になった無線 LAN ルーターを“ハブ”として再活用できる可能性があります。本記事では、家庭用ルーターをネットワークハブとして使う方法と、その際の注意点、専用ハブとの違いなどを丁寧に解説します。コストをかけずに有線 LAN 環境を拡張したい方や、ネットワーク機器に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

不要になった Wi-Fi ルーターをハブとして再利用する方法と注意点

1.ネットワーク機器のハブとは

「ハブ(HUB)」とは、複数のネットワーク機器を接続して通信を中継する装置のことです。
LAN ケーブルを複数本挿せる装置としてよく知られていますが、現在主流なのは「スイッチングハブ」と呼ばれるタイプで、接続された機器間で効率的にデータをやり取りします。

ネットワーク機器のハブとは


スイッチングハブは企業ネットワークだけでなく、家庭用にも多く普及しており、シンプルな構造と省電力性が特徴です。
家庭内で複数の有線接続が必要な場合、これを導入することで安定した通信環境を実現できます。

今回は、これと同様の役割を古い無線 LAN ルーターで代用できるのかを考えていきます。

2.不要になった Wi-Fi の家庭用無線LANルーターをハブとして利用できるか

結論から言うと、多くの家庭用無線 LAN ルーターはハブ(スイッチ)として利用可能です。
ルーターの背面には LAN ポートが複数あることが多く、これらを利用して他の機器を有線接続することができます。

ルーターの設定によっては、DHCP 機能をオフにし、既存のネットワークに干渉しないようにすれば、2 台目のルーターをハブとして機能させることができます。

ただし、機種によって設定手順は異なるため、事前に取扱説明書やメーカーのサポート情報を確認する必要があります。
未使用のルーターを再利用することで、追加コストなしでネットワークの拡張が可能になるのは、大きなメリットと言えるでしょう。

使い方としては、多くの家庭用無線 LAN ルーターには、背面に複数の LAN ポート(たとえばLAN1~LAN4など)があり、これらのポートは「スイッチングハブ(スイッチ)」のように機能します。

背面に複数の LAN ポートの様子

有線で複数の機器(PC、プリンター、NASなど)を接続すれば、これらはルーターを介して通信できます。

2-1.WAN ポートと LAN ポートの違いに注意してください

  • WAN ポートはインターネット(モデムなど)に接続するためのものです。
  • ハブ的に使うには LAN ポートに接続してください。

2-2.2 台目のルーターをハブとして使う場合

  • 既にインターネットにつながっているルーターがある場合、2 台目をハブとして使うには設定が必要です(例:DHCP機能をオフ、LANポート同士を接続など)。

3.耐久性の違い

専用のスイッチングハブと比べて、家庭用無線 LAN ルーターは多機能であるぶん発熱や消耗のリスクが高く、長時間稼働させると故障の可能性も上がります。

スイッチングハブは非常にシンプルな構造で、内部に CPU や無線モジュールがないため、故障のリスクが低く、10 年以上稼働するケースもあります。

対して無線 LAN ルーターは、無線通信、ルーティング処理、ファイアウォールなどを常時行っており、発熱もそれに伴って大きくなります。
ハブとして代用は可能ですが、長期間の安定稼働を求めるなら、専用ハブの方が安心です。
あくまで一時的な利用や予備機として使うのが無難です。

  • 無線LANルーター:
    • 無線機能、ルーティング機能、NAT、ファイアウォールなど、多機能である分、内部は複雑。
    • 通常は 24時間稼働を前提に設計されていますが、スイッチ専用機器よりは熱や故障のリスクがやや高い。
    • 無線機能が不要な場合でも、常に動いているため、長時間の連続稼働によって劣化する可能性がやや高いです。
  • 専用スイッチングハブ:
    • 機能が非常にシンプル(基本的にパケットの転送だけ)。
    • 可動部がなく発熱も少ないため、耐久性が高い。
    • 業務用では10年以上無故障で使えるモデルもあります。

4.消費電力の違い

無線 LAN ルーターは、その多機能性ゆえに消費電力が高くなる傾向があります。
一般的な家庭用ルーターであっても、5W から 15W 程度を常時消費し、ハイエンドモデルでは 20W を超えることもあります。

一方、スイッチングハブはシンプルな構造のため、消費電力は 1W~3W 程度と非常に省エネです。
これは長期的に見れば電気代にも影響しますし、発熱や冷却の観点からもスイッチングハブに軍配が上がります。

もし電力消費を抑えたい、または常時稼働させたい環境であれば、無線 LAN ルーターのハブ代用はやや不向きです。
再利用は可能でも、用途に応じて選ぶことが重要です。

  • 無線LANルーター:
    • 無線機能、CPU処理、ルーティングなどがあるため、消費電力は高め。
    • 一般的な家庭用ルーター:5~15W前後。
    • 高性能モデル(メッシュ対応やWi-Fi 6/7対応):20W以上のものも。
  • 専用スイッチングハブ:
    • 5ポート程度の家庭用スイッチハブ:1~3W程度。
    • ファンレスが多く、非常に省電力。

5.まとめ

古くなった Wi-Fi ルーターをそのまま捨ててしまうのはもったいない話です。
LAN ポートを活用して、ハブ代わりに再利用すれば、無駄なくネットワークを拡張できます。

ただし、耐久性や消費電力といった面では専用スイッチングハブに劣るため、常時運用や業務用途にはあまり向いていません。
一方で、一時的な増設や予備用途としては十分実用に耐えうる手段です。

環境にも財布にも優しいこの方法、ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
設定次第で便利に使える可能性があります。

比較項目 無線LANルーターをハブ利用 専用スイッチングハブ
耐久性 △(高機能で発熱多め) ◎(シンプルで長寿命)
消費電力 △(5~20W) ◎(1~3W)
コスト △(高価な場合あり) ◎(安価なモデル多数)
利便性(家庭) ◎(無線+有線が1台で) △(無線機能なし)

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