Windows でディスクを完全消去する方法:「clean all」コマンドの使い方ガイド


[初回公開] 2025年06月25日

パソコンのハードディスクや SSD を処分・譲渡する際、データの完全な消去は非常に重要です。ただファイルを削除するだけでは、データは簡単に復元されてしまいます。この記事では、Windows に標準搭載されている「diskpart」の clean al lコマンドを使い、安全にディスクを完全消去する方法を、初心者にもわかりやすく解説します。

Windows でディスクを完全消去する方法:「clean all」コマンドの使い方ガイド

1.ディスクを完全消去する必要性

パソコンのディスクには、削除したつもりのデータが実は残っています。
これを悪用されれば、個人情報や企業データが流出するリスクもあります。

ディスクを完全消去する必要性

「完全消去」は、そうした情報漏洩を防ぐための最終手段です。
とくにパソコンを売却・譲渡・廃棄する際には、単なる初期化では不十分なケースが多く、安全のためにしっかりと消去する必要があります。

2.ディスクを完全消去する方法

Windows には、diskpart という高機能なコマンドラインツールが用意されています。
このツールの clean all コマンドを使うことで、ディスク全体をゼロで上書きし、復元不可能な状態にすることができます。
ここからは、外付けディスクの接続から、clean allの実行までの具体的な手順を段階ごとに解説していきます。

2-1.ディスクを USB などでパソコンに接続する

消去対象のディスクは、まず Windows パソコンに正しく接続する必要があります。
ノート PC で使っていた内蔵 HDD を USB 接続ケースに入れて接続したり、SSD を SATA-USB アダプタで接続する方法が一般的です。

正しく認識されていれば、「ディスクの管理」や「diskpart」でディスク番号が表示されます。
場合によっては「PC」に外付けドライブとして表示されないことがあります。

もし外付けドライブとして認識しない場合は、「ディスクの管理」で『未割り当て』になっているかと容量を確認します。

「ディスクの管理」が『未割り当て』

2-2.「ディスクの管理」で状況を確認する

ディスクが正常に接続されているかを確認するには、Windows の「ディスクの管理」ツールが便利です。
ここで、対象のディスクが「未割り当て」や「正常」など、どのような状態かを確認できます。]

また、誤って別のディスクを消去しないよう、容量やディスク番号などをしっかりチェックしておくことが大切です。

2-3.ディスクを選択して「clean all」する

コマンドプロンプトで diskpart を起動し、対象ディスクを選択したうえで clean all コマンドを実行します。
このコマンドは非常に強力で、ディスク全体をゼロで上書きし、全てのデータやパーティション情報を完全に消去します。

処理には時間がかかりますが、復元できないほど安全に消去できるのが特徴です。
ディスクを消去する流れは次の通りです。

diskpart
list disk
select disk 1      ← 消したいディスクを選択(番号に注意!)
clean all
ディスクを消去するコマンド

3.ディスク消去の注意点

clean all は取り消しができないコマンドです。
誤って別のディスクを選んで実行してしまうと、大切なデータを失う恐れがあります。

また、SSD では上書き消去が内部の仕組みにより完全に効かないこともあり、メーカー提供の Secure Erase ツールを使う方が安全な場合もあります。
慎重に作業を行いましょう。

  • 一度実行すると 取り消し不可。
  • 誤ったディスクを指定すると、重要なデータを完全に失う危険があります。
  • 実行には 管理者権限 が必要です。
  • 実行には かなり時間がかかる(ディスクサイズによっては数時間以上)。

4.まとめ

Windowsの clean all コマンドを使えば、ディスクを安全かつ確実に初期化することができます。
パソコンの廃棄や譲渡前には、ただの初期化だけでは不十分です。
この記事で紹介した手順を参考に、安全にディスクを消去し、個人情報や機密データを守る習慣をつけましょう。

最後に、ディスクを消去するコマンドとして Windows には「cipher」が用意されています。
clean all と cipher /w の違いは下表の通りです。

特徴 clean all cipher /w
実行方法 diskpart ユーティリティ内で使用 コマンドプロンプトで直接使用
対象 ディスク全体(物理ディスク) 空き領域のみ(削除済みファイル領域)
目的 ディスクを完全初期化・セキュア消去 削除済みファイルの復元防止
データの扱い ディスク全体を 0 で上書き(全データ消える) 空き領域をランダムデータで上書き
使用前提 ディスクの初期化や廃棄・譲渡前 削除後の痕跡を消したい場合
影響範囲 パーティションも削除される 既存のファイルは消されない
実行にかかる時間 長い(ディスクサイズによる) やや長い(空き容量による)
管理者権限 必須 必須

また、clean all と cipher /w のどちらを使うべきかは次の表を参考に選んでください。

状況 推奨コマンド
PCやディスクを完全に初期化したい clean all
削除したファイルの復元を防ぎたい cipher /w
外付けHDDの空き領域のみ安全に消したい cipher /w
SSDの場合(TRIMに対応) メーカー製 Secure Erase ツールを使用

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